表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が禁忌を犯すまでの五日間  作者: なかみゅ
3/6

第三話

二九三九四九日目

 目が覚める。大きな屋敷のようだった。すぐ傍で、女の人が倒れていた。血塗れだった。

 力の強そうな男の人が座っていた。女の人を見下ろしている。片手に赤く濡れたフォークを握っていた。

 身の竦む思いがした。

 震える声で呼びかける。

自己紹介をしようよ。

 男は言った。

「あうう」

 それから、気持ちの悪いくらいに無邪気な笑みを浮かべて、一言。

「ふぉおく」

 見せびらかすようにフォークを掲げた。

 僕は恐ろしくなって駆け出した。

 彼(?)はまだ言葉を覚えかけのようだった。遊んでいるつもりなのかもしれない。

 男は四つん這いになって追いかけてきた。走っているのに、なぜかあまり距離をつけられない。鏡の前を通りかかった。僕は小さな子供だった。金の長い髪がたなびいていた。

 男が僕の足首を掴んだ。僕は前にすっころぶ。慌てて上体を起こす。男に向き直る。男はご機嫌な顔でフォークをぶんぶんしている。

 視界が滲む。僕は懇願する。やめてやめてやめて。機械みたいに何度も繰り返す。

 男が僕のお腹にフォークを突き刺した。赤い液体が飛び散る。僕は甲高い悲鳴をあげた。

 男にはそれが面白かったらしい。だあ、とか、うー、とか言ってはしゃいでいる。

 男はフォークを引っこ抜くと、僕の体に何度も突き刺した。僕は痛い痛いと泣き叫んだ。沢山血が噴き出して、男の顔にも赤い点々がついている。

 そのうち意識が朦朧としてきて、何も分からなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ