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第二話
二九三九四七日目
目が覚める。上品な部屋だった。鏡を見ると、僕は精悍で紳士的な顔立ちだった。今は寝間着姿だ。でもクローゼットにはスーツやネクタイもある。
僕はいかにも気品あふれる紳士な身なりで外へ出る。
不思議なことを言う人に出会った。小さな少年だった。
自己紹介をすると、僕よりも年上らしい。
彼はなんだかよく分からないことをまくし立てた。
君達は破廉恥だとか、この世界は狂っている、とか、人類を救ってやらなければならない、とか。そうして哀れみの眼差しで僕を見る。
彼は何が言いたいのだろう?
二九三九四八日目
目が覚める。鏡を探そうとする。体がうまく動かない。声を出したらしわがれている。
周りには何人かの大人がいた。彼らのうちの二人が僕の世話をしてくれた。
僕は年老いた老婆らしい。
この器は寿命が近いということだった。