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幽体離脱-夢の世界を旅する二人-  作者: 砂風(すなかぜ)
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Epilogue/夢の世界を旅する二人

 目を覚ますと、そこは見慣れない天井……病院だった。


「砂風さん! 砂風さん!」


 看護師が慌てて声をかけてくる。

 やがて、室内に慌てて両親と医師が入ってくる。

 てっきり怒鳴られると思っていたが、母は泣き、父も心配そうに僕の身体を抱き止めてくれた。


「今までつらく当たって悪かった。おまえにも、おまえの事情があったんだよな。気づけなくてすまなかった。これからゆっくり、おまえなりにやっていけばいいさ」


 と、父親からやさしい言葉を投げ掛けられた。

 なんだか、それだけで救われた気持ちになる。てっきり両親からは、死んでくれたほうがマシだと思われていると考えていたから……。


「お父さん、お母さん。僕、きちんと働くことにする。引きこもり生活もやめて、まっとうな生活を送りたい」


 瑠奈にも言われたし、なぜだか、自分でも今回の経験でそうしたいという気持ちが強まったのだ。

 両親に働くことを決意すると、両親は驚きながらも喜んでくれた。


「あなた」

「ああ。こいつも、いつの間にか成長してくれていたんだな……」


 父親まで涙ぐむ。

 やがて、面会時間が終わり、しばらくしたのち両親は心配そうに病室から出ていった。まだ様子を見るため、1日だけここで入院することになったのである。


 ふと、一番大切な存在がいないことに気がつく。


 まさか、まさかあれで亡くなってしまったんじゃ……と絶望する。

 あれで……瑠奈が死んだ!?

 瑠奈は言っていたじゃないか!

 幽界での事柄は、すべて僕の想像力でなんでも叶うって!

 だから、だから生きていてくれ!


 じゃないと、僕は再び絶望ーーしかけたところで、ベッドの足元の床から、瑠奈が立ち上がり姿を現した。そのまま距離を取りつつも布団に上がってきた。


『驚いた? 驚いたでしょ? 砂風が死んでいないのにわたしが消えるわけがないじゃん! あっは!』


 瑠奈は明るく笑い僕を元気付ける。

 僕の絶望と落胆を返してくれ……と共に嬉しさがよみがえる。生きていてくれて、本当によかった、と。


『これからどうするの?』

「なにが?」


 瑠奈に訊かれて問い返す。


『現実と幽界での活動だよ。幽体離脱は今までどおりつづけるつもりなの?』


 少し悩み僕は答えた。


「まだ知らないこともいっぱいあるし。会いたい二次元の女性キャラクターもいるしね」


 と、そこまで言うと、なぜか瑠奈は頬を膨らませ、『わたしがいるのに?』と疑問を投げ掛けてきた。


「だって瑠奈は男嫌いのレズじゃん」


 と返事する。なにを今さら。


『それはそれは、これはこれ。わたしは砂風のことを異性としてそういう目線では見られないけど、砂風からはわたしのことを異性として認識してくれなきゃ、なんかむかつく』


 なんとも理不尽なことを言われる。


『で、現実ではニート引きこもり生活?』


 瑠奈の問いに対して、僕は静かに首を左右に振る。


 少しずつでもいい。

 今の堕落しきった生活をやめにして、明るい世界をつくろう。


 たしかに幽界ではなく、ここは物質がすべてを支配する世界。現実(物質界)。だけど、意識で周りを変えることはできなくても、意志を持って自分自身は変えることができる。自分が変わることで見ているこの世界も変わるだろう。


 これは、瑠奈から学んだことでもあるのだ。

 これから僕は、僕なりの世界を創造するのだ。

 幽界でも。

 現実でも。

 布団に入ってきた瑠奈の隣で横になる。


 今日は幽体離脱できるだろうか?

 次はなにをしようかな?



 どうせなら、夢の世界(幽界)を二人で旅する、っていう案もいいだろう。



 そんなことを夢想しながら、僕は瑠奈と共に夢の世界へと旅立つのであったーー。




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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れさまです!8話あたりからエピローグまで一気に読んでしまいました笑 単純にとても面白かったです。読みやすいし構成もシッカリしてますし、幽体離脱のことを知ってる人からしたら"なるほどそうい…
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