特になし~~~~1
恐らくサブタイトルは、数字だけが変わると思います。
2か3で完結かな?
それは植物すべてに言えることだが、木は二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出す。それにより地球の生命は成り立っていると言えるだろう。
それ以外にも木は様々な場所で活躍している。果実を実らせ、人や動物の飢えを満たしたり、建築にも使われている。また、斜面に植え地盤を固め、土砂崩れの対策としても役立っている。そう、これから何を伝えたいかというと.....木は偉大であると!!
決してバカにしてはいけないものだと。何故、このようなことを言っているかというと、現在俺は木になっているからである。忘れもしない、あれは数日前のこと.....
~
「文化祭の劇の役はみんな決まったかな?」
皆は一斉に返事や合づちを打ち決まっていることをそれぞれ表した。ただ一人を除いて.....
「あの.....俺まだ決まっていないんだけど.....」
皆の視線がある生徒に一斉に集まる。
「えー余っている役は.....すいません無いですね.....」
「えぇ.....どうして.....」
本当に劇の役の人数くらい考えてほしいものである。
「流石に出ないというのはかわいそうですよね.....」
皆が困り果てていたとき一人の生徒が
「じゃあ、木でもやっていれば?」
という、無慈悲な意見を挙げた。そんな意見普通であれば断るだろう。しかし、皆からの無言の圧力によって、断ることはで
きなかった。
「.....はい。それでいいです。」
劇にで木の役といえば、全くセリフを発さず実に楽な役である。その代わり、劇が終わった後に話のネタにされたりするた
め、素晴らしい学園生活の終了を告げるものである。
しかし、もとから素晴らしい学園生活とは無縁だった俺は文化祭を楽に乗り切ることができるので、いいかと心のどこかで思っていたりしていた。この諦めた末の選択があんなことを引き起こすとは知らず.....
文化祭の準備のときはセリフが無いため酷使された。何度苛立ち覚えたことか.....そんなことがあったが、ついに本番がやっ
てきた。
俺のやることできる限り動くことなくただじっとしているだけである。簡単だか、普通に疲れることである。
そして、時は過ぎ、無事に劇が終わった。
「「「ありがとうございました!!」」」
そういい終えると同時に謎の光に包まれた。
すると、平原に転移させられていた。不自然なほどに一つだけ生えている木がある平原に.....
「ここは?」
皆が困惑する中、クラスのリーダーが第一声を発した。そして、そこから皆が口々に自分の意見を発した。その中にこんな言
葉を発したものがいた。
「夢だ!!こんな事あるわけない!!これは夢なんだ!!」
見事なフラグである。しかし、皆は口々に
「そうか夢か!!びっくりした。」
などと言い、お互いの頬をつねりだした。もちろん夢などでは無いため
「「痛い!!痛い!!」」
という悲鳴が多々上がった。その時、俺は何もできなかった。決して頬をつねり合う友達がいなかったからでは無い。友達が
いないことについては否定しないが.....そんなことなど関係なく、そもそも動けなかったのである。
普通であれば一人くらい俺がいないことに気付いてほしかったものである。
それから、数十分後.....
状況は皆の協力により、かなり理解することができた。まあ、俺は何もしていないが。
わかったことは、
・劇の役に変化してしまっている
・一人一つずつ特殊な能力を持っている
この二つである。
「ここでいていてもしょうがないから、とりあえず町に行こう。」
くそっ!!このイケメンめ!!リーダーなら一人いないことに気づけ!!まあ、結局気づかれること無く放置された。
~
そして、今に至る。この数日でこの体についてもわかったことがある。
・動けない代わりに、根を動かすことができる
・根を動かすことができる長さには、限界がある
・自分の特殊な能力は天候を操るもの
この三つである。このほかにこの世界についてわかったこともある。それは、
・ステータスがある
・魔物がいて、それを倒すとステータスが上がっていく
この二つである。
そこから、俺は自分の前を通った魔物を片っ端から倒していった。まるで何かに呼ばれているかのようにこの近くでは魔物が
多く通った。
そのおかげで効率がすごくよく、ステータスがみるみる上がっていった。
~数年後~
俺は、ステータスが上がり、ほとんどの魔物をワンパンできるようになった。また、新たな特殊な能力を得ることができた。
その能力とは、根の一部を切り離し、自分の分身として動かすことができるというものである。
この能力を得て使い始めた時は分身を動かすことに意識を向けすぎて、本体が攻撃されることが多々あった。しかし今では、分身を動かしながら本体の根を動かすことができるようにまでなった。
そして、この能力のなんと便利なこと、分身を人の形に変化させることができるだけでなく、離れていてもエネルギーを送ることができ、半永久的に動かすことができる。
すなわち、これを使えば人としての生活を送ることも可能なのである。一つ難点を挙げるとすれば、話すことができないことである。
まあ、その代わりに脳内に直接話しかけることができるので会話をすることは可能だが、一人ずつにしかできない.....つまり、話しかけられた人は、周りから見れば痛い人にしか見えないのである。
この能力のおかげでもしかしたら、これから人として生きることができ、ついでにもとの世界に変える方法を見つけられるのではと、そう期待に胸を躍らせていた。
一方その頃、クラスメイト達は.....
一人足りないことに今更気付いたが今更探せないということで、放置された。
その一人の役が木だということをすっかり忘れ.....
まあ、そんなことはさて置き特殊な力を駆使し、様々な魔物を倒し村の英雄として扱われていた。そして、その生活がもとの世界よりもかなり裕福だったため皆戻らなくてもいいかなという考えだった。
何故この世界に来たのか、そんな理由など考えずにただ魔物を倒し、食べて、寝るそんな日々を無駄に過ごしていた。そんな日々を過ごしていると、ある依頼がクラスメイトのもとにやってきた。
その依頼とは.....『平原の近くにある洞窟の中のにいる魔物の討伐』というものだった。
「また、ありきたりな依頼だなー。」
「そうだね~♪っで、どうするの?受けるの?この依頼。」
すると、全く迷うことなくクラスのリーダーはこう答えた。
「受けるよ。この村の人が困っているんだからね。」
キリ!!という効果音が聞こえてきそうなほどの決め顔で.....あえて言おう、その決め顔は、イケメンのみに許されるもので
ある。
これが、イケメンでは無かったら、それはただのかっこつけである。びっくりするぐらいかっこよくなく、ひじょーー
にうざく、同性だけでなく、異性にも嫌われるやつである。そして、もう一度言おう!!決め顔は、イケメンのみに許される
ものであるとっ!!
まあそんなわけで、明日のすることが決まったのであった。
「さあ!!みんな準備はできたかい?」
そう、リーダーが問うと、皆は一斉に答える。
「「「はい。」」」
ちなみに、彼らは毎回討伐には、全員で行っている。理由は、建前では全員で行った方が早く、安全だからということになっ
ている。が、実際は、一度別々に討伐をしに行こうとなったが、報酬を分けるときにもめてしまったのである。
だから、そんなこと防ぐために全員で行っているのである。どこの世界に行ってもやはり金は大事なのである。そして、友情とはちょっとのことで崩れてしまうものなのである。まあ、今回は崩れなかったのだが。
地図を頼りに、少し歩くと懐かしい場所に着いた。
「この近くなのか?その洞窟って言うのは?」
もう一度地図を確認する。
「確かにここだ。」
そして、皆辺りを見渡す。
「洞窟なんて一つも.....」
「イタズラの依頼だったのかな?」
イタズラの依頼は、そう珍しくない。既に彼らも数回イタズラの依頼を受けていた。
「けど、もう少し探してみようよ。」
そういう意見もあり、辺りをもう一度見渡した。
「おい、この木の近くに洞窟があったぞ。」
実は、その木は俺だったりするのだが、面白そうだから、というか話す手段がないから、黙っているしかなかった。そして、
クラスメイト達は洞窟の中にぞろぞろと入って行った。
気になったので、最近手に入れた能力を使って、ばれないようについていった。少し仕返しができたらいいなと思いつつ.....
感想やアドバイスを頂けると幸いです。