お腹が痛い
「うーん、うーんん」
「ちょっと!どうしたの?」
「お腹痛い…」
「なんか悪いもんでも食った?」
「じゃなくて、ほんとに痛いよぉ」
お姉ちゃんに連れられて真夜中救急外来に行くことになった。
がやがや……。
何この人だかり!?
「みんな具合悪いのかな?」
あの人もこの人もお腹を押さえて苦しそう。
「集団食中毒かしら?」
「お姉ちゃんはどうもないの?」
「うん。妊婦だから、私のほうが痛がってるのが正解?なんだけどなぁ」
お医者さんたちがばたばた走り回ってる。
「重症の方から先に診ます!」
「ちょっと!私は違うってば!」
なんでか、お姉ちゃんが先に連れられていく。
「妊娠してるからお腹が出てるだけで、痛くも痒くもないんですってば!」
診察室に入っていくと、何人もお腹が出ている人たちが寝かされていた。
「原因がわからない……」
お医者さんが青い顔で天井を仰いだ。
「妊娠……?!まさか」
お医者さんがはっとして、エコーで患者たちのお腹を見る。
「確かになにかの生物が腹部にうごめいている!」
もしかして、エイリアン?!
お腹食い破って出てくるんじゃないよね?
私のお腹もそうこうしているうちに大きく膨らんで痛みが走る。
ぎゃー!助けてええ!
パニックに陥りジタバタ暴れる。
「ちょっと!ちょっとってば!」
「お姉ちゃん?」
「睡眠妨害よ!どんな夢見てんの!」
「お腹が…」
「お腹が?」
あれ?あんなに膨らんでたのに、今はぺったんこだ。
「お姉ちゃん、お腹、大丈夫?」
「うん。順調よ」
イタタタタ。
トイレに這っていく。
生理が始まっていた。
うー。お腹が痛いよぉ。
でも、変な夢見たな。
私は長いため息をついた。
「ファーム計画はどうなっている?」
宇宙人が仲間に話しかけていた。
「シミュレーションでやってみたのですが、一度に一斉に種子をつけるとうまく行かないようです」
「徐々に増やして見たら?」
「そうですね…」
どういうわけか宇宙船のシミュレーションの波長が私の脳波と合っているらしく、次のシミュレーションも夢という形で出てくるのだった。