第5話 既視感と名づけ
おまたせしました。普通はこんなペースになります。
「―にいちゃ―――!見て、よくでき――しょ?」
「おぉ、―――いな。やっぱ――――ゃないか?」
「うーん、―――だよ」
(リル?いや、違う。そもそも、ここは…っ!)
魔王城ではない。しかし、ここがどこかはわからない。めまいがする。靄がかかったように、目の前の景色が薄れていく。
知っているはずなのに、わからない。そんな気持ちに反比例するように、目の前の手がかりも、意識も、闇に呑まれていく。
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「だいじょうぶ?」
「…リルか。だいじょうぶだ」
さっきの光景はなく、いつもの食堂だった。…どうやら夢?のようだ。
「あ、そうだ」
「ん?どうしたんだ、リル」
「きのう寝てるときに名前考えててね、いいの思いついたから言おうと思って」
「へぇ。何て名前?」
「アルトリア。かっこいいでしょ~?」
「アルトリア、アルトリアね。いいと思うぞ」
「いい名前じゃあないでしょうかね。これからもよろしくお願いします、アル」
「えへへ~。これからもよろしくね、アル」
「こちらこそだ。よろしく、リル、ジーク」
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「そうだ、アルは“擬態”使わないの?」
「あ~そうだな、できれば人間みたいな姿になりたいんだけどな。できっかな?」
「さあ。想像でできるなら可能性がありますけど…1回やってみたらどうですか?」
「ふむ、じゃあ1回やってみるか」
アルは床に降りると集中し始めた(見た目わかんないけど)。
(イメージだよな。ええと、こんな感じの…)
アルのイメージが固まるにつれ、体のほうも変化していく。1m75cmくらいの身長、そこそこ整った顔立ちに、スマートに鍛えられた身体であることがわかる。少し細められた黒い目に、若干乱れた黒髪。一度も見たことがないはずの、しかしアルにとってはどこか懐かしい感じのする青年だ。
「お、できたできた。いい感じだな」
「とてもよくできていますね。これで戦う方法も考えておいたほうがいいかもしれませんね」
「アルすごいねー!あ、でもこれだとわたしがぎゅーってするのとかできないね」
「そんときは戻ればいいだろ。そうだな…この城に刀ってあるか?」
「刀…ですか。倉庫に1本くらいあったと思いますね。あれは扱いが少し難しいのですが」
「なんとなく、使いこなせるような気がするんだ。基本は魔法だし、ダメだったら変えればいい」
「また、あの場所で試してみますか」
「なんだかよくわからない場所だけど、便利なとこだな。よし、ちゃっちゃと準備していくか!」
次回投稿も未定です。




