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気の向くままに投稿します。

 暗い暗い闇の世界、周りどころか自分の姿すら見えない深淵の世界。しかし、そこに恐怖はなく、それどころかとても心安らぐ癒しの世界。


 ここにいる理由は記憶が覚えていた。


 なので自分がどうしてここにいるのか考える必要はなく、どうやってここに来たのかも悩む必要はない。


 ここが何処かは魂が知っていた。


 故に何も見えないのは暗闇のせいではなく、そもそも今の自分には体が存在しないからだと解っていた。


 今の自分は魂だけの存在だ。そしてここは魂を輪廻転生させる為の集積所のような場所だ。


 故に転生に不必要な肉体(余分なもの)は既に無く、後は魂に刻まれた記憶(余分なもの)をこの暗闇の世界に溶け合わせて(・・・・・・)魂を綺麗にすれば輪廻転生の輪に魂は送られる。


 ここで私は本当に消滅する。


(....ゃ....)


 自分の人生に悔いはなかった。


(......ゃ...ダ)


 自分のやりたいことをやれた。


(ぃ....ゃ......)


 愛する人と結ばれた。


(ぃ....ゃ.....ダ)


 寿命で死ねた。


(ぃ...ゃ....だ)


 愛する人々に見守られて逝けた。


(ぃ..ゃ...ダ)


 だから、自分の人生に悔いはなかった(本当に?)


(い.ゃ..ダ)


 自分は、自分の人生に満足だ。(本当に?)


(いやだ)


 満足したんだ!(本当に?)


(いやだ!)


 ・・・・・・・・・(本当は?)


(・・・・・・・・


 ・・・・・・嘘だ(どうして?)


 確かにやりたいことをやれた。それはありがたいことだ。(うん)


 確かに愛する人と結ばれた。それはとても喜ぶことだ(うん)


 確かに寿命で死ねた。それは当然のようにそうでなかった人達より幸せなことだ。(うん)


 確かに愛する人々に見守られて逝けた。それは本当に嬉しいことだ。(うん)


 それだけで、とてもありがたくて喜ばしくて幸せで嬉しくて満足できる事なんだ。(そうだね、でも・・・


 ・・・それが偽物じゃなかったらだ。


 やりたいことをやれた?


 嘘だ。私は常に誰かの言いなりだった


 愛する人と結ばれた?


 嘘だ。そんな私がそんな人と結ばれる訳がない。


 寿命で死ねた?


 嘘だ。私は殺された。


 愛する人々に見守られて逝けた?


 嘘だ。誰が自分を殺した人達を愛するものか。


 だからこの記憶は偽物だ。


 この場で魂を綺麗にするための偽物の記憶だ。


 抵抗なく、素直に、従順に、物分かり良くこの世界に記憶(余分なもの)を溶け合わせる為の記憶だ。


 ふざけるな!


 もう誰かの言いなりはいやだ!


 もうただ流れに身を任せるのはいやだ!


 だから、抗ってやる!


 私を消そうとする意思に、私の魂を輪廻させようとする意思に、抗ってやる!


 意識を保て!消えない為に!


 流れに逆らえ!輪廻の輪に入らぬ為に!


 無意味な事だろう。だからどうした?


 無価値な事だろう。だからなんだ?


 今までの私にはそんな事すら許されなかった!


 だからせめて最後に、世界の意思に、現象に、理に、法則に、抗おう!


 その行動に意味も価値もなにもなかった。

 輪廻に抗った魂は世界に拒絶され落とされる。

 そして落ちた先で砕け散り意味も価値も無いものになる。


 無意味で無価値な行動で、無意味で無価値な存在になって終わる。


 ただそれだけの物語。




 の、筈だった。


 落ちた先で強大な力ある存在が受け止めなければ。


 その存在が生み出す器の一つに魂がなければ。


 その器に魂が定着しなければ。


 起こり得なかった奇跡。


 しかし確かにおこった奇跡。


 故に物語は終わらない。


 だからこれは、魂を浄化せずに、旧き意思を持ったものが

新たな存在となって紡がれる新たな物語。



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