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宵闇のサクリファイス  作者: 連理
『第一章 ハロー ニューワールド』
3/5

残るギフトとアプリについて

 しばらくギフトの壊れた効果に放心していたが、ずっとそうしているわけにもいかず、おれは項垂れた。


 負の感情増加(中)と正の感情増加(中)の効果のせいか、感情の振れ幅がひどい。

 効果からみて完全に相殺してるかと思ってたけど、若干相殺してないんだな。だって、今、制御不能の感情に振り回されて、若干、吐き気を催してる。

 おそらく、どちらか、もしくはどちらとも、おれの感情に作用しているのは間違いないだろう。このあたりは、今のところ考えてもわからないな、とため息を吐いた。


 スキル説明からしてg/iodとoはこの世界の神様なんだろう。何の力も無い一般人に、こんな壊れた効果のギフトを付けるなんてやつらは人でなしか。……あ、いや、人じゃ無かった神様だ。

 でも、きっとg/iodのほうのギフトは善意なんだろうな。

 【g/iodの祝福】がなかったら、負の感情増加(中)の効果で、今頃、ひどいことになっていただろうから、感謝した方が良いのかも知れない。――不老効果はいらなかったけどな!!


 あと考察してないのは正属性のスキル習得率増加と負属性のスキル習得率増加か。

 これは、まあ、普通の範疇だろう。……たぶん。

 習得率がアップするってことは、スキルが覚えやすくなるってことか。普通に良い効果だと思う。


 最後に。ずっと、スルーし続けてたけど、依り代能力とかのことは正直、考えたくない。

 依り代ということは、神様、幽霊など、ほかの存在がおれに乗り移ることも可能だということだろう。

 これ、悪い方向に考えれば、おれの体が何者かに乗っ取られる可能性も考えなきゃならない。


 ……まあ、ギフトのことはひとまず置いておこう。今、考えるとドツボにハマる気がする。――まだ、調べてないアプリが残っているしな。


 残ったアプリは【形状変化】……? なにを形状変化するんだろう?

 アプリを起動すると文字が出てくる。


 『このアプリはスマートフォンの形状を、質量を問わず、脳で想像したものに変化させることが出来ます。

 尚、形状変化の制限として、

 一・アプリケーションを立ち上げた方が構造を理解していないものに変化させることができません。

 二・形状変化により使えないアプリがでる可能性があります。

 三・形状変化で変化したものを元の形に戻したい時は「解除」と音声入力する必要があります』


 ん~、なんとなくわかったような。わからなかったような。とりあえず使ってみよう。

 このままスマホを手に持ったまま、想像すればいいんだろうか?

 おれはとりあえず、身につけるものとして指輪を思い浮かべた。

 すると、スマホが淡く光り出し、指輪の形へと変化した。

 一瞬の出来事である。なんて不思議パワーだと驚いた。

 変化した指輪を手の上で転がして観察する。どこをどう見てもシンプルなシルバーの指輪にしか見えない。中指に指輪をはめてみた。と、そこでアプリが使えないことに気がつく。

 指輪だと不便だな。おれは「解除」と呟く。すると、指輪が淡く光り、一瞬でスマホの形にもどると手の上に戻ってきた。

 とりあえず、いろいろ試してみるか。

 

 そろそろ、三十分ぐらいたった気がする。

 スマホの形から、眼鏡の形へ形状変化させたものを調べていた手を止めた。

 スクエア型のメタルフレームが印象的なその眼鏡を見つめて、おれは呟いた。

「やっぱり身につけるなら、眼鏡かゴーグル型のほうがいいみたいだな。想像次第でアプリ使用可能だし、便利だ」

 そう言って、眼鏡のフレームに取り付けられた、よく見ないと気がつかないくらい小さい装飾に触れる。

 すると眼鏡のレンズ内側にステータスの文字が映し出された。脳内で外側からレンズに投影される文字は見えないと設定したので、これなら外からみても眼鏡かけているだけにしかみえないだろう。

 おれは眼鏡をかけた。伊達眼鏡なんてはじめてかけたから、変な感じだ。


 とりあえずアプリは一通り調べ終わった。使い方もそれなりに把握した。

 となれば、次に出来ることといったら、この部屋を調べるか、外へ出るかだけど……。


 おれはしばらく悩んで、外をいったん見てみることにした。

 まずは、入り口からちらっと外をみてみよう。……チキンとかいうな。

 魅了効果(大)の効果がどの程度か確かめない限り、対・生き物に対して、おれは警戒を怠ることが出来ないのだ。――無意識に魅了とかして、襲われたりしたら、おれは泣く。

 第一、ここは未知の世界なんだから、警戒しつくしても、十分とはいわないだろう。


 よし、とりあえず、部屋の入り口まで移動しよう。

 おれはその場を立ち上がり、白い石材で出来た、床を歩いて行く。

 痛いほどの静けさの中。コツリ、コツリと、黒い革靴の底が床にぶつかり音を鳴らす。

 床はところどころ劣化して、緑色の苔や雑草が生えていた。

 おれが倒れていた台座から、部屋の入り口までの道を譲るように立ち並ぶ白い石像たちを観察しつつ歩く。

 精巧に作られたそれは、ほんとうに今にも動き出しそうだ。

 ここは今までの情報から、察するにg/iodの神殿だったところなんだろう。

 では、この石像たちは何を意味するのだろうか?

 無数に存在する同じ形の無い石像たち。神様の神殿なのだから、天使かなにかだろうか?

 おれはそんなことを思いながら、部屋の入り口へとたどり着いた。

 そこには木造の朽ちかけた大きな両開きの扉がある。おれはそっと手を伸ばして、片方の扉へ触れると力を入れて体で押した。

 思ったよりあっさりと扉が開く。力を入れすぎたせいか、勢い余っておれは外まで飛び出していた。たたらを踏む。そして、室内の暗さと打って変わった外のまぶしさに目を細めて、おれは初めて異世界の姿を見た。


 ――おれは思わず、息を飲んだ。

 空は地球よりも深い青が広がり、空気が澄んでいるのか、異様なまでに遠くの景色が見えた。おれの立っている場所はかなり高い場所にあるらしい。強い風がほほを叩く。

 白い廃墟が眼下に広がり、森が周囲を囲んでいる。森は見渡す限りに広がっていて、果てが見えていない。遠くには山々が連なるのが見えている。

 ……きれいだ。おれは素直にそう思った。


 しばらく景色に見ほれていたが、おれは我に返って、周囲を確認する。

 ……誰も居ないな。鳥の声が遠くに聞こえるぐらいで、周囲に音は無い。

 そういえば、遺跡を鑑定したときに、許されないと入れないって言ってたな。

 なら、もうすこし周囲を探索しても良いかもしれない。

まだ、冒険しない主人公(笑)

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