第7話
みなさ〜〜ん、おげんき〜〜〜???
ってなんか、ぼくの文章を書いているおばさんが、メールを書き出すときに書く文章みたいになってしまいました。なぜに遅くなったのかは、おばさんによると年末は忙しいからなんだそうです。ぼくが見ている分には、おばさんは忙しくなくて時々キーボードにうつ伏せになって寝ていることが多いんだけどね。・・・というとおばさんが気を悪くするのでここらへんにしておくね。
さて、長期連載になっているんだけど、以外に物語の中の時間の進行は・・・そんなに早くはないだよね。ぼくはまだ生後3ヶ月を過ぎたぐらいなんだ(本当は1ヶ月って書いてしまいました)。これはぼくの文章を書くおばさんがゆっくり書いているからなんだけどね。あまり早く書け・・・というとおばさんが暴走して故障する恐れがあるので、無理は出来ないらしいんだ。
今日は獣医さんところへお姉さんと一緒に行くことになったんだ。なんでも予防接種とかいうのを受けないといけないらしいん。注射針を刺されるのは痛そうだなぁ・・・と思っているうちに、お姉さんの運転する自動車は獣医さんとこへついたんだ。
獣医さんの中は・・・そんなに居心地悪くはないなぁ。犬と猫を飼っている人って沢山いるんだねぇ。お姉さんのお隣に座ったおばさんは猫ちゃんを連れていた。実は犬と猫は人間には聞こえない音波で会話をすることができるんだ。
「ぼうや、はじめてなの??」猫ちゃんが聞いてきた。
「うん、そうだけど」
「今日は予防接種なんだって」・・・って言うと、
「あたしはね、なんでも糖尿病なんだって。身体は大事にしないといけないわよ」
「でもお姉さんとっても綺麗なのに」・・って聞くと。
猫ちゃんは笑って。
「綺麗に見える??嬉しいわ」
「あたし元男なのよ。タマタマとおちんちんを切り取ってもらったの」
「???????」
「つまり、子供が出来ないようにするのよね」
「へ〜〜そうなの」・・・ぼくが答えると。
「あたしの飼い主さんも、実は元男なのよ。これは内緒ね」
猫ちゃんの飼い主さんを見たら、加賀まり子というか松田聖子というかとても綺麗な女の人なんだけど・・・よくわかんないや。
どういうわけかワンちゃんを連れた人が沢山診察室に入っていくんだ。さっきの猫ちゃんが言うには
「さっきね大怪我した犬ちゃんが運び込まれたの、人間はAB・O・B・Aの血液型ってものがあって、輸血できる血液が決まっているんだけど、犬はそうでもないから大怪我で血液が足りなくなったときには、ご近所の犬ちゃんを動員して血液を輸血するんだって。」
そんなこともあるんだなぁ。
「怪我した犬ちゃんも、ここに来て怖がって逃げ出して、居合わせた人がみんなで説得して帰ろうとしたときに車にはねられたたのよね。はじめからおとなしく診察を受ければいいのに」
・・・・気の毒な話だなぁ。
「あなたも痛かったら声を出してもいいのよ。痛がらないと人間の医者にはあなたの痛みはわからないんだから」
・・・・うん、そうするよ。
とか言っている間にぼくの番がきた。
ぼくの前の猫ちゃんも注射だったけど、そんなに表情を変えることなく香箱すわりしていた。
獣医さんは若い女の人だった。
「ぱぐ美ちゃんっていうんですね。ぱぐ美ちゃん暴れちゃだめですよぉ」
お尻に注射針が刺さって・・・、あれ??ぼくの手を誰かが持っていてくれる。注射している間お姉さんが手を持ってくれていたのだった。お姉さんありがとう。
獣医さんがお姉さんに
「星野さん、ぱぐ美ちゃんにご苗字がないですから、星野ぱぐ美とかいておきますね。」
お姉さんも了承したらしい。
ぼくの名前は“星野ぱぐ美”なんだって。
後日お姉さんが保健所に行って、ぼく“星野ぱぐ美”を登録してくれたんだ。登録番号は8322なんだって。でも登録番号8322 星野ぱぐ美って名刺を出すわけでもないけどね。