第2話
お姉さんの家なんだけど、あんまり広くはないんだ。ぼくがてくてくと歩いても、端から端までそんなにかからない。といっても4畳半一間ほど狭くないんだよ。いわゆる1DKなんだって。
犬だから1DKを知っているかって??実はぼくのトイレに新聞紙とか広告のチラシを使ってもらっているんだけど。時々家の広告のチラシがあるのよね。それを見て1DKだの3LDKだのの言葉を覚えたんだよ。
お姉さんは一人暮らしだからそのぐらいでいい・・・と思うでしょ。お姉さんは衣装持ちだから置く場所に大変なんだって。入りきらないのはど〜しているのかなぁ??って思ったら、トランクルームに預けているんだって。たまにお姉さんの運転する自動車に乗せてもらうんだけど。お姉さんがお休みの日に、衣類を入れ替えしているんだって。
なぜにお姉さんは衣装がいるのかって??お姉さんはスナックのママさんなんだって。大人の人がお酒をのんだり、お話をしたり、カラオケとやらで歌を歌ったりするんだって。いろんな人がいるようで、帰る前に起立して阪神タイガースの歌(六甲颪)を激唱するひともいるんだって(ん?)。
時計が16時ごろになったら家を出て、次の日の朝6時になったら帰ってくるお姉さんだけど、だいじょうぶかなぁって心配になるんだ。犬とか猫は夜行性ってことで夜起きているのは大丈夫だけど、猿から進化した人間は体中の毛とともに夜行性まで失ってしまったんだって。昼間寝て夜間起きるってことは人間の身体の動きに反することらしいけど、お姉さんのように夜の仕事をしないといけない立場の人もいるんだよね。
お客さんに楽しんでもらう仕事のお姉さんだけど、時には辛いことがあったのかへべれけに酔って帰ってくるときもあったんだ。玄関でどて〜〜んと横になってしまって、そのまま寝ちゃったんだよ。服のままで・・・皺になるのにぃ。ぼくが横になっていたらお姉さんがだっこしてくれるんだけど。お姉さんが寝ているのをぼくがだっこしてベッドに連れて行くことはできないので、お姉さんが目覚めるまで一緒に玄関にいるの。
でも明日は帰ってきたときに、ぼくを抱っこしてね。