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追いかけられるって意外と怖い!

炎魔は湯気を立たせながら学園へと向った。本来ならあの寮母を一発殴っているところだが、そんなことをしても何にもならなかったし、第一、初日で騒ぎを起こすのはまずいという考えが動いたからだ。が所詮、血の気の多い思春期。むかっ腹が立たない分けなかった。

‘同年代と過ごし、経験を積む‘という師匠の課題がこんなに難しいとは炎魔は想像もしてなかった。今、女子は彼を誤解をして避けているため、弁解の余地がない上に信じてもらえそうにも無かった。

「おい、そこのクソガキ、ちょっと止まれ。」炎魔の背後から声がかかった。

炎魔は呼び止める声を無視しする。

そうしたら複数の足音が聞こえ、彼を追い越し、前に立った。5人の女子が炎魔の前に立ち憚る。

「何無視してんのよ?!」真ん中の背の高いリーダーらしき女子が突っかかる。

「駄目か?」炎魔は真面目に聞く。

「当たり前でしょ!先輩に声をかけられたらすぐに応じるのが常識的でしょ!」

「初対面に‘クソガキ‘という奴らに常識を語られたくねーよ。」

「うるさい、この変態が!私たちの可愛い後輩を汚して、そしてあろうことか林様に大声で怒鳴りちらすお前は最低だ!!」そう罵倒しているリーダーに残りの四人が‘そうよそうよ‘と加勢する。

炎魔は大きくため息をついた。

「だからどうした?」

「は?」五人組は少し、あっけとられる。

「だからどうしたと聞いている。」炎魔はおとなしい口調だが何故か脅迫的なものがあった。

「いや・・・・その・・・・だから」リーダーはたじたじになる。

「そこまでにしろ、貴様」と突然、凛とした声が炎魔の背後から響く。

今度は炎魔は振り向いた。そこには昨日、炎魔に全裸を拝まされた土方優がいた。今回は性欲まみれの男子読者には悪いが、ちゃんと制服を着ている。キッとした目で炎魔を睨み、黒いロングヘアは風に優雅に揺れていた。

「何だ、バズーカ娘?」炎魔は挑戦的に聞く。

「先輩、心づかい在り難いですがコレは私の問題なのでこいつとのケジメは私がつけます。」土方優は言った。

「おい、無視か」炎魔は突っ込む。

目で‘がんばって‘と訴え、五人組と炎魔は学園へと去っていった。

優はやさしい眼差しで彼女らを見送った。

・・・・・

「ってちょっと待てええぇぇぇぇぇ!!!!」異状に気づいた優はすぐさま炎魔を追いかけた。「何で貴様まで一緒に行ってるんだあぁぁぁぁぁ!!!!」

「うおおお、以外に怖っ!!!」ボケで逃げた炎魔は常人ならざるスピードで追いかけてくる優に驚き、捕まるまいと足を速めてしまう。

「何で貴様も一緒に学園に向おうとしてるんだ?!」土方は炎魔を追いかけながら怒鳴る。

「いや、一回ぐらい女の子に追いかけられる体験をしてみたかったんだ。それが以外に怖いから足が止まんねーんだよ!!せめて笑顔でも作って追いかけて来い!!」炎魔も怒鳴り返す。

胸の中に溜まっていた憂さは土方優の登場で晴れ、走っている間に何故か消えてしまっていて、あろうことかイタズラっ気まで起きてしまった。後で後悔することは見えていたが。

「なら、これでどうだ。」優は飛びっきりの笑顔を披露した。彼女の周りの空気が穏やかになり、周りの人たちをもさえ笑顔にしていた。が炎魔に向けられている殺気はそのままなので炎魔は止まるはずも無く、しかも振り向いたら前髪に隠れて額に青筋が立っているために、怒り顔よりさらに不気味だった。

「おい貴様、さっきよりさらに早くなってないか?!って言うか止まれ!!!」優もさらにスピードを上げる。

「げっ?!何て早いんだ?!」炎魔は自分の逃げ足には自信あるものの、どんどん距離を詰められて行き悔しがる。そしたらいきなり巧妙、とは言い違いが、思いついた。

炎魔はストップした。足に負担がかかるのを感じたが30センチ前へ滑り、完全に止まり、その場で振り向いた。だが優は炎魔の思いがけない行動にビックリしてしまい、走りを止めなかった。その上、炎魔より早い速度で走っていたため、猛スピードで彼に向って走っていた。

炎魔は右へよけて衝突を避けようとした。残念なことに土方も同じ事を考えていて彼を避けようとしたら、避けた方向にその本人が動いてしまった。

二人は案の定ぶつかり、すごい状態で絡まり、そのまま学園の校舎の外壁にガッツンとぶつかった。

最終的には炎魔が頭をぶつけ、土方優は彼の上に乗っている状態にあった(炎魔は↓にいることになる)。絡まって転がった以上仕方が無いのだが炎魔の腕は無意識に自己防衛の構え、つまり腕を×に重ね、掌が外を向いていた。

炎魔の掌には柔らかい感触が伝わった。なんと両手で優の胸をつかんでいるのだった!!

こんな展開では飽き足らず、壁にぶつかった勢いで炎魔と優の顔が接近しすぎ、唇まで重なってしまった!!!二言で言えばキスをしていた。

二人は自分らの状況をすぐに理解することが出来ず、数秒間そのままだった。

「この・・・・・・」優が先に麻痺状態から溶け、顔は真っ赤になり、頭を後ろに上げた。「ドドへんたいがあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」と叫び、炎魔に渾身の頭突きを食らわせた。

炎魔の麻痺も溶け、避けようとと思ったが一足と言うより人頭遅かった。ちょうど壁から頭を上げた所に頭突きが入り、転がってきた勢いよりも強くコンクリート壁が凹むほどのダメージを受け、気絶してしまった。


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