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自己紹介で人の事ってわかるの?

ずいぶんと長い間お休みしてしまいました。


これからはちゃんと投稿する予定なので、暖かい眼で見守ってください!!

「やっとわが部屋についた」

炎魔は女子寮の十階までの階段を上り(エレベーターなんぞない!)、やっとの思いで自分の部屋にたどり着いた。

回復力が尋常ではないとは言え、肋骨を大量に折って平気な人間などいない。

おまけに病棟を出た途端に警察に出くわし、飛竜の件について軽く職務質問をされた。

どうやら手がかりが全く無くて、困り果てている。

飛竜は殆ど炭の塊で役に立たなく、入っていたコンテナの残骸からは何も見つからなかったらしい。

唯一、雷神アテネが自分の力を示したくてやったとのささやかな疑惑があるが証拠が無い以上、どうすることも出来ない。


炎魔は青いキーカードを取り出し、ドアを開けようとしたら横に設置されている部屋番号の下にあるネームプレートが何時もと違うことに気付いた。

普段は‘鬼崎炎魔‘としか書いてないのに今は炎魔の下に‘天草空‘と付け加えられていた。

そしてもう一つ気付いた事は、もう部屋に誰かがいる、ということだ。

しかも複数に。

炎魔は誰がいるのかをすでに予想し、ため息をつきながらドアを開けた。



「せっかく新アイドルミミちゃんがいいお尻をしてるって聞いて行ってみたのにぜんぜんだめだったわ。でかいけど、揉み心地が腐ったメロンみたいだったわ。」アテネがぶーぶーと文句を言う。

「それはあまり鍛えられていない証拠だ。我が命桜撃流に通えばちゃんと引き締まる。」優はお茶をすすりながら冷たく言い放つ。

「だよな~。アイドルっていっても大体は外で遊んでないし、座ってばかりだからお尻が硬くなっちまうんだよ。」光は優に同意する。

「でもアイドルですからお尻にはそこまでこだわっていないじゃないでしょうか?」と鈴奈は正当な意見を述べる。

「そうですね。でもこの‘モチモチローション‘を買えばそんな悩みもすぐ解決します。これを塗ればその塗った部分が柔らかくなる優れものです。今ならもれなくこの‘ローションマンフィギュア‘も付きます。」


炎魔の部屋に生徒会の皆がいた。

部屋の真ん中に置いてあるテーブルを囲い、今何処ぞのアイドルの話で盛り上がっている最中である。

すでに長時間ここにいたらしく、空のチップス袋やジュースなどが散らばっていた。

それに加え、部屋が少し模様替えされていた。

この一週間、炎魔のベッド代わりに勤めていたハンモックは無くなり、その場所には白黒のシマシマ模様のソファーが置いてある。

そしてその部屋の反対側(入って左側)にはベッドがあり、何処にでもありそうな感じだがハンモック睡眠だった炎魔にとっては高級ベッドに等しい代物に見えた。


「あ、やっと来たわね、鬼崎クン。そんな所で突っ立ってないで早く来なさい。」

アテネがドアに立っている炎魔に気付き、チョイチョイと手招きしてくる。

「いや、これ突っ込み所がありすぎて困るんだけどとりあえずやってみるか。お前等何人の部屋で当たり前のようにいるんだ?って言うかどうやって入った?しかも何か勝手に模様替えされてるし、せめて一声掛けてくれりゃいいのに。それにヒメッチ、お前わざわざアイドルのお尻を触りに行ったのか?ファンに殺されるぞ?それに土方、引き締まったら余計固くなんじゃね? それにアイドルっつても座ってばかりじゃないと思うぞ。そしてエル、それどう見てもペ○シマンじゃねぇーか、何パクッてんだ!?」

炎魔は息継ぎもせずに丁寧に突っ込んだ。

「姫と呼びなさいって言ってるでしょー、この低脳。」とアテネは冷たく言い返す。

「引き締まれば弾力も上がる、そんなことも知らないのか、このウジムシが。これだから男は・・・」と優。

「アイドルは外に行くと記者とかカメラに追われてるから外では遊べないんだ。常識無いな、君は。」と光。

「ペ○シマンではありません、ほらロゴが違うでしょうに、この変態。」とテュラエル。

「お前に言われたくねえよ!!」

「大体、模様替えしたのは私たちじゃないわ。」

アテネは告げる。

「じゃあ、誰が?」

と炎魔が質問した直後、「・・・私。」と後ろから呟きが聞こえた。

振り向くとそこには女の子が、龍牙魔術学園の制服を腕に抱えて立っていた。

今は夏の始まりでもう周りが熱くなり、そろそろ衣替えの時期。

それとは反対に女の子は黒いマントを羽織っていた。

それには見たことが無い古代文字らしきものがビッシリ塗ってあった。

だが炎魔はその不思議なマントよりもその女の子の顔に驚愕していた。

別にその娘はとてつもないブスだったと言う訳ではない。

顔が・・・信じられないほど炎魔とそっくりなのだ。

後ろで束ねられた白くて長いシルクのような髪、異様なその赤い眼、細い顔立ち。

唯一、違うことと言えば性別と可愛いという事実である。


二人は無言のまま、お互いを見つめた。

「・・・誰?」

少女は首を傾げ、猛獣でさえ大人しくなりそうな優しい声で沈黙を破った。

「鬼崎炎魔。そういうお前は誰だ?っていうか熱くねーのか、その格好?」

「・・・大丈夫。」

そう言うとクスっと笑った。

炎魔にこの微笑がストライクゾーンに命中したのは言うまでも無い。

「・・・君、おもしろいね。」

「何で?」

炎魔は少し困惑した。

一体何を見て、そう思ったのかを、是非知りたい所だ。

「・・・私を真直ぐに見てくれてる。・・・名前も聞いてくれた。」

「いや、それ当たり前じゃね? それに、そんなことなら俺の後ろにいる阿呆の連中だってしてくれる。」

そう言って、後ろの方に親指を向ける。

っていうか鬼崎クンが邪魔で見えないんだけど、退いてくれないかしら?客人が来たならちゃんともてなしてやらんか、このウジムシが。お嬢さん、ローションプロレスに興味はありませんか? 

「ところで、この部屋に何の用だ?」

後ろで騒いでいる生徒会を無視し、要件を尋ねる。

「・・・私、今日からここに住むことになった。よろしくね。」

「・・・」

どうやら部屋のプレートに、知らない名前があると思ったらそういうことだったらしい。

まあ、そこまで難しいことではない。

というより、この娘が入ってきたときから薄々感づいていたが、まさかなと思うのが自然。

本来なら説明が欲しい所だが、この一週間で色々な事が続いたため、炎魔は驚くことをやめてしまった。

おまけによくよく考えてみれば女子寮で寝ている炎魔の方が異常だ。

「・・・私はネクロマンサー機関にここへ派遣された天草あまくさ そら。これからよろしくおねがいします、鬼崎君。」

ネクロマンサーとは何かと聞こうとしたら隣にアテネが現れた。

「はい、自己紹介終わり。これから会議するから、エル、アレお願い。」

「アレって?」炎魔は聞くが先にテュラエルが立ち上がり、炎魔の前に立った。

「これです。」そういうとフラッシュのように辺りが眩い光に包まれた。

数秒後、光が収まり、周りが見えてきた。

アテネは満腹したような勝ち誇った顔で、先ほど天草が着ていた黒いマントと天草が着ていたと思われる服が彼女の腕に収まっていた。

そして天草は腕に抱えていた制服を着せられていた。少し顔が赤くなってて、涙目だ。

「奥義‘女神の一閃着替え術‘」とアテネは宣言する。

「だせえ!!」炎魔は突っ込む。


「新しいメンバー三人加えたところで会議を始めたいと思いまーす。」

全員で真ん中にあるテーブルに腰掛け、会議が始まった。

「まず全員、自己紹介とコードネーム(笑)をおねがいします。ではこの私から、」

話をグイグイ、マイペースに進めていくアテネ。

「私は雷神 アテネ、一年C組で生徒会長の座を見事に奪いました。趣味は女の子の体とプロデュース、そして野望は世界征服。コードネームは‘姫‘、もしくは‘女神‘でもいいわよ。ちなみに鬼崎クンは馬鹿だから特別に‘ヒメッチ‘って呼ばせてあげる。生徒会であなたたちをこき使うからよろしく ♡じゃ、あとは時計回りで紹介。」

「どんな自己紹介だ?!色んな意味で危ない要素の塊じゃねえか!!大体、何で俺がけなされてるんだ?!」

「では次は私だ。」

「あれ?俺無視ですか!?」

炎魔の突っ込みは空しく響き、優は自己紹介を始めた。

「私の名前は土方 優、16歳。一年A組の委員長と風紀委員長を任せてもらっている。私の家は道場で代々‘桜斬琉‘を告いでいる。上にお兄様が一人。そして私は‘アームズ魔術‘を駆使している。」

「‘アームズ魔術‘って何?」と炎魔は質問を挟む。

「マナで武器を形作り、好きな時に召喚する魔術です。」

隣に座っているテュラエルは説明する。

「男嫌い、と呼ばれているが私は男としか戦わないから、そう呼ばれているだけだ。呼び名は気にしていないから好きに呼べ、そこのウジムシ以外はな。」

そう言うと優は炎魔を睨んだ。

「おーい、何で俺だけこんな扱い?グレルぞ?」

「まあ、わ、私と毎朝六時に稽古の相手になってくれるんだったら、‘土方様‘と呼ばせてやらんでもないぞ。」

土方の顔が少し赤くなる。

その反応を見たアテネは、新しいおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせ、ニヤニヤし始める。

「わーったよ。」

炎魔は頭を掻く。

「その代わりに毎朝起こせや。」

「いいだろう。」と土方は少し嬉しそうに同意する。


「じゃあ、次はアタシだな!」

光は元気良く自己紹介を始める。

「学園一の暴れん嬢とはこのアタシ、鳳凰光様だ!趣味はスポーツ全部だ!最近はバンジージャンプにはまってるぜ。生徒会では生徒会新聞をやってやってるぜ。‘炎の魔術‘だけしか使えないけど少し興奮し始めると周りが熱くなり始めるから少し気をつけた方がいいかな? アタシのことは‘光‘って呼んでいいぜ。」

「やっと普通の自己紹介か、なんかバンジーが聞こえたような気がするがほっとこう。」

「夢は不老不死の仙人になることだぜ!!」

炎魔のコメントが気に入らなかったのか、ニヤリと笑いながら余計な夢を付け加える。


「私は雪白鈴奈と言います。」と雪白は少し恥ずかしそうに自己紹介を始める。

「皆さんと同じくこの学園の一年生で、生徒会長さんと鬼崎君と同じクラスに所属しています。一応、保険員なんだけど知らない内に生徒会に入ってしまいました。水系の魔術を使うけど、癒し系も使えるので皆さんが何か怪我でもしたら私に言ってください。」

今の自己紹介はつっかえずに終えたが、あまりにも恥ずかしそうに言う姿は男のハートをえぐるものがあった・・・

「きゃあああ、可愛い!!」

しかし感激したのは女のアテネと光だった。

「もうこの恥じらいがたまらないわ!!カメラよ、今すぐカメラを持ってきなさい!!!」

「よし、ちょっと待ってろ!今すぐ救急車を呼んで、お前らを精神病院に叩き込んでやる!!」と炎魔は疲れたように突っ込む。


・・・充電中・・・


「では、自己紹介を続けたいと思いまーす。」

光は黒こげになっている炎魔がいない様に天草空に自己紹介を振った。

「・・・天草空です。ネクロマンサー機関からこの学園に派遣されて、皆さんとは転校生という形で会うことになりました。よろしくお願いします。」

「ネクロマンサーって何?」

焦げている炎魔は手を上げて聞く。

「死と死人に関係する魔術を扱う人たちと言われています。」テュラエルは説明する。

どうやらこの中で一番の物知りらしい。

「彼らの事は謎に包まれていて、運良く会うことが出来たとしても自分たちの事は絶対に語りません。それに色々な特権を持っているので情報操作などしている可能性があるとも言われています。まあ、死に関する人たちですので一般の人はあまり関わりたくない傾向があるようです。」

「なるほどね。」

どんな掟があるとはいえ、人から避けられてばかりでは孤独感に浸りやすくってしまう。

だからこそ、炎魔の対等な扱いが少し嬉しかったのだろう。

そして自己紹介もこれで足りるし、誰も余計な質問をしなかった。

「では次は僕、テュラエル・エンジェルダストです。皆さんと同じく龍牙魔術学園、一年生です。趣味はローション・・・」


・・・充電中・・・


「切りよく、エルが終わってくれたから、最後に鬼崎クンの自己紹介に移ろうかしら。」

部屋に雷柱を二本くらい立て、男二人を黒焦げにした張本人は何事も無かったように炎魔に自己紹介を振った。

「俺は鬼崎炎魔、多分16歳。戸籍問題でこの学園には転入してきた。そしていきなりそこのヒメッチに生徒会に入れられてしまった。まあ、学園の連中になんか目ぇ付けられっちまったし、とりあえず生徒会にいることにした。ちなみにニックネームは認めん!!!」

「はい、良くできました。」アテネは拍手する。

「俺は子供か?!」

「では、龍牙魔術学園生徒会役員は全員集まりましたー!」

(一同、拍手)

「これで正式に私の生徒会が学園側からも文句なしに認められることが出来ました。明日からは‘龍牙体育武道際‘の準備を始めるから皆、明日の放課後、ここに来るように・・・」

「ちょっと待て、何でココ?」

この部屋は狭い、そして何より炎魔と空の部屋だ。

「生徒会室は光が興奮して使えなくなりました~。」とアテネは口を尖らせる。

光はテヘッと舌を出した。

生徒会室で何やってたんだ、こいつ!!!!


次回は自己紹介をします。

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