神様に最強になれると言われ転生したのに、黒い触手に犯されながら闇堕ちしました。
目が覚めた瞬間、頭の奥に声が響いた。
『黒瀬澪。よく来たね。君は交通事故で死んだ。でも――強い嫉妬と執着が、この姿を与えた』
「……嫉妬……?」
思い出しかけて、止まる。
笑っているあの子。拍手。名前を呼ばれるのは、いつもあの子だった。
――私は、ずっと選ばれなかった。
『最強になれるよ。好きに生きなさい』
「最強……」
体を起こそうとして、違和感に気づく。
私は息を飲んだ。
黒い粘液が高校の制服の胸元をねっとりと濡らし、ボタンの隙間から温かい谷間へとゆっくり流れ込んでくる。
「……なに、これ……」
背中が疼いた。
ぶち、と何かが裂ける感覚と共に、背中から四本の黒い触手が、私の意志を無視してゆっくりと伸び上がった。
それぞれに紫の瞳が一つ。
一番太い触手の先には、牙を剥いた口が、にたりと笑っていた。
『ようこそ、俺たちの体へ。お前はもう、人間じゃない』
「嫌……こんな姿、絶対に嫌……!」
足が動かない。
黒い粘液が太ももの内側を這い上がり、秘めやかな場所を優しく、執拗に包み込むように蠢き始めた。
「き、気持ち悪い…」
近くで、小さな魔物が動いた。
その瞬間。
触手が、勝手に伸びた。
「やめて!!」
届かない。
牙が魔物を飲み込む。
ぐちゃり、と。
――その瞬間、何かが流れ込んできた。
熱い。甘い。
でも同時に、異物が内側を引き裂くような感覚。
甘く熱い波が下腹の奥から全身へ広がり、 腰が勝手に震え、息が乱れる。
「っ……あ、ああ……っ!」
吐き気がこみ上げる。
なのに、下腹の奥がじわりと熱を持つ。
『感じただろう?』
「違う……気持ち悪い……!」
そう言いながら、呼吸が乱れている。
体が、理解してしまっていた。
――これは、力だと。
⸻
それから、私は森を彷徨った。
最初は必死に拒んだ。
ゴブリンが近づいてきたときも、触手を押さえつけようとした。
「やめて……もう、嫌……!」
だが触手は笑う。
『本当に嫌か?』
「いや!!!」
『最強になるために、もっと食え。神様がそう言っただろう?』
「神様が最強って言ったのは……こんなのじゃない……いや……」
ゴブリンが一瞬にして触手に捕食される。
「あ、ぁぁっ」
魔物が溶かされ、命が流れ込んでくる瞬間、甘い痺れが胸の先から下腹へ駆け巡った。
体がくねり、黒い粘液が制服の内側をねっとりと撫で回す。
「やめて……もう食べたくない……!」
『嘘をつくな。お前の奥が熱くなっているのが、俺たちには全部伝わっている』
冷たい粘液が肌を伝うのに、体の奥の方が熱く疼いて仕方がない。
「……やめて……こんなの……」
声が震える。
でも、完全に否定できなかった。
⸻
二日目。
私はもう、止めることよりも“耐えること”を選んでいた。
巨大な狼を吸収したとき、はっきりと自覚した。
――気持ちいい。
『もっと喘げ。人間だった頃の恥ずかしさを、全部溶かしてしまえ』
「あぁ……っ、いや……なのに……体が……熱い……」
『制服が溶けていく……いい眺めだ。お前の白い肌が黒く染まっていくのが、たまらない』
薄紫の髪が黒い粘液にまみれ、重く垂れ下がる。
スカートはほとんど溶け落ち、下半身は粘液に塗れていた。
「……違う……」
否定する。
けれど、体は正直だった。
触手が動く前に、足が一歩出ていた。
『ほらな』
「……っ」
悔しさが込み上げる。
――私はまた、流されてる。
選べていない。
生きていた時と同じだ。
⸻
三日目。
村が見えた。
人の声。笑い声。
胸が締め付けられる。
「……やめよう……ここは……」
足を止める。
そのはずだった。
だが。
『強い命がある』
触手がざわめく。
下腹が、熱を帯びる。
「……違う……違うって……!」
一歩。
また一歩。
止まらない。
「やめて……来ないで……!」
誰に言っているのか分からない。
触手か、自分か、それとも――
『ほら、強い命がたくさんいる。最強になれるぞ、澪』
1人目の村人が溶けた。
悲鳴が聞こえた。
いや違う。
悲鳴に近い私の嗤い声だ。
全身を貫く、今までで一番強い波に膝が崩れる。
快楽と同時に、理解してしまう。
――人間の方が、強い。
――だから、気持ちいい。
「……やだ……」
口ではそう言いながら、目が離せない。
次を求めている。
「あぁぁっ……! いや……気持ちいい……いやなのに……体が勝手に……!」
『ほら、強い命がたくさんいる。最強になれるぞ、澪』
『嫌がる顔が可愛い。もっと感じろ。この快楽を』
触手が村人たちを次々に絡め取り、溶かし始めた。
吸収されるたび、激しい甘い波が全身を貫いた。
私は上半身をくねらせ、声を抑えきれずに喘いだ。
下半身は完全に失われ、巨大な黒い粘液の海となった。
その中心に、私の上半身だけが、まだ人間の形を残して浮かんでいる。
制服のブラウスは胸の上まで溶け、黒い粘液が柔らかい胸のふくらみを優しく、貪欲に包み込んでいた。
⸻
四日目。
三人の強力な冒険者パーティーと遭遇した。
剣の光と魔法の炎が飛んでくる。
私はもう、ほとんど声も出せなかった。
ただ、心の中で繰り返すだけだった。
嫌……もうやめて……私、まだ……
触手の声が、一斉に甘く冷たく囁いた。
『嫌がるな。神様が最強だって言っただろう?』
『お前はただの器だ。快楽の器。俺たちの快楽をたっぷり溜め込む、美しい器』
『全部吸い取れ。もっと感じろ。もっと溶けろ』
三人の命を一気に溶かし、吸収する。
「あっ……あぁぁぁ……!!」
圧倒的な甘い波が、魂ごと飲み込むように襲ってきた。
黒い粘液が爆発的に広がり、辺り一体を飲み込んだ。
激しい快楽の濁流に飲み込まれ、何かがぷつりと切れた。
嫌だった。
怖かった。
でも……この力、この快楽、この全てを飲み込む感覚が、たまらなく心地よかった。
私はゆっくりと微笑んだ。
「……もう、いい」
触手の声と混ざりながらも、確かに私の声。
黒い粘液の海が静かに波打つ。
私は自分の意志で、一本の触手を動かした。
最初はぎこちなく、でもすぐに滑らかに。
「もっと……」
私の瞳が、触手の紫の瞳と同じ色で妖しく輝いた。
牙の口が、満足げに笑う。
黒い私がさらに広がり、何十本もの触手が一斉に動き始めた。
村の残骸を飲み込み、森を染め、遠くの街の灯りさえも飲み込もうと蠢く。
私は黒い海の中心で、上半身を優雅に浮かべながら、静かに囁いた。
「全部溶かして最強になるんだぁ」
私は、初めて“選んだ”。
拒絶じゃない。
肯定を。
こうして最悪の怪物は、生まれた。
自分の意志で。
お読みいただきありがとうございます。
黒瀬澪が「最強になれる」と言われて転生したのに、
結局、嫌がりながらも黒い触手に溶かされ、
自らの意志で最悪の怪物へと堕ちていく……という短編でした。
最初は完全に拒絶していた彼女が、
快楽に負け、無意識に求め、最後には己が意思で世界を飲み込もうとする過程を、
4段階で丁寧に書いてみました。
この子の黒い粘液と触手の感触、
制服が溶けていく様子、頭の中に響く触手の声……
ビジュアルを想像しながら書いていると、かなりゾクゾクしました。
もし「もっと長く続きが読みたい」「別のエンディングが見たい」「もっとエロく/もっと残酷に」などのご意見があれば、ぜひコメントください。
感想や評価もとても励みになります!
タイトル通り、神様の約束は完全に裏目に出ましたが……
澪(?)は今、とても満足しているようです。
それでは、また次の黒い物語でお会いできれば幸いです。




