生涯通して全否定してきたバナナを今一度見直す話
前略、いかがお過ごしでしょうか。稲村某です。お久しぶりの皆様は元気ですご心配無く、初めましての皆様は字を書くコメディアンかテロリスト程度に思ってください。そんな奴だ。
ではでは早速タイトル回収。
①バナナと私
稲村某、子供の頃はバナナと若干近しい間柄だったと思う。但し、全然食った記憶がないんだな、これが。お陰でつい最近まで率先して食った事も無い。どの位無いかというと、過去にスーパーで青果担当だった頃。特売でバナナを箱から出して房ごと販売していた際、
(……買う人、お年寄りばっかじゃん。物が無い時代の記憶でバナナが高級品だったからか?)
みたいな感想しかなかったんだな。他人が食べる物で、全く食欲が湧かなかった。只の黄色い物体、若しくはゴリラが食べるイメージ(野生のゴリラの生息範囲にバナナの木は存在しないが)。
②急展開
稲村某、そんな訳でバナナと無縁の人生だった。全然食わなくて、しかし全く困らない。昨年末まではね。だが、何事にも変化は起きる。
妻が突如、バナナを買うようになった。
食事前に摂取し、急激な血糖値スパイラルを抑える理由である。何だそりゃ、と思ったがダイエット二十キロを成功させてマジで目つきが変わった彼女は、俺にもバナナ食えと迫る訳である。断れなかった。
③そして、バナナの日々
出勤時、バナナを半分、若しくは小さめなのを一本手渡される。食うタイミングは帰宅前の夜九時過ぎなんだが、最初はこれが苦痛だった。何で飯前に甘いもん食わされるのか、と。稲村某、甘いモノは食えるが他に食いたいモノが有る時には食いたく無い性分である。嫌だなぁ、嫌だなぁ……と、言いながら食うしかない(お残しは厳禁なのだ)。帰宅の車中、運転しながら皮を剥いて一口。
……おや? こいつは……悪くないぞ。
そう、今まで感じた事の無い酸味と香り、そして控えめな甘さ。これがバナナの良さなのか、と初めての味覚に驚く。いや、只のバナナなんだが、時と場合によって化けるのである。お年寄りが夢中になる理由が、少しだけ理解出来た。
バナナの味をクソ真面目に書くと、ほのかな酸味は果物の中でも食べる者を選ばない。子供でも大人でも無理無く食べられるし、好き嫌いは起きないだろう。そして甘みは、やはり控えめである。バナナと共にたま〜に渡されるサツマイモ(炊飯器にアルミホイルで包んで調理される)の鮮烈な甘味とは全く違い、自己主張は乏しい。だが、それが逆に空腹時には有り難いのだよ。
さて、今まで馬鹿にしてきたバナナである。個人的にはそのまま食べるのも悪くないが、稲村某はカレーに入れる。はぁ? アンタ馬鹿ぁ?と言われても構わないが、辛口カレーにジャガイモの代わりに入れると、これがまた一風変わった味になるのだよ。それはまるで……南の島を吹き渡る、爽やかな風のように。カレーは何でも良くて安いトップバリュ◯でも構わないが、辛口じゃないとイカンのだ。
と、駆け足でバナナのお話をお送り致しましたが……皆さんはバナナはお好きですか? 玉子と違い値段も安定し一年中手に入る優等生的存在ですし、何より食べる際に手も汚れない。実に有益な果物だが、
……バナナの皮よ、お前はどーにもならん。剥いたら捨てるしかないのに、ビニール袋に入れないとカバンが汚れちまうのだけは許せんぞ!




