意地悪な性感帯
この人以上に私の人生でキスが上手だった人を私は知らない。
まだ部屋にも入っていない玄関ポーチで初めて素肌を異性に触られ、その上自分以外の人間が外した事のない下着のホックを外されるという何たる醜態!!何たる破廉恥!!
服の中でいつも下着に守られている部分が解放され、解放された空間に新鮮な空気が入って来た。
人肌の温度になっていたと思われる下着が肌から離れたのだ。
服の中とは言え少し冷んやりとした温度を感じた。
先程手早くホックを外し終えた手が密着していた下着の線を辿るように前に移動して来た。
まだゆるゆると体にまとわりついている下着の下の、申し訳程度に有る膨らみを下から手で包まれるように触れられた。
何度も角度を変えて口の中の探索はまだ続いているが、呼吸は余裕で出来ている。
何ならちょっとした手の格闘戦が有ったので過呼吸なくらいの荒い呼吸だ。
酸素は充分に足りているはずなのに、膨らみに手が触れてから身体が足元から震え始めた。
怖いのか恥ずかしいのか分からない。
今自分は、病院の触診以外で誰にも触らせた事の無い部分を柔らかく触られている。
指先が少し硬目で自分の存在を主張している場所に触れた。
初めて触れられた場所に恥ずかしさが爆発した。
押さえ付けられていない頭と、少し動く上半身を共に捩らせて硬い男性の胸元部分を力があまり入らない左手で押して口内探索を無理矢理終わらせながら「ゃぁぁ〜〜…」と精一杯の声で抵抗した。
無理矢理に探索を停止させられた舌で自らの口元を少し舐めながら
「嫌だった?」
と嬉しそうに聞いてこられた。
まだ服の中に有る手を服の上からそれ以上動かない様に固定して
「めっっっちゃ恥ずい!!いきなりブラホック外すとか!胸触るとか!?こんなん無理過ぎ!!」
「そっかぁ〜。じゃあスカートのボタン外して足元に落とした方が良かったかなぁ?」
服の中から手を出して叱られても嬉しそうにもっととんでもない事を提案して来た。
恐ろしい大人だ…。
「それはもっとダメ!!」
「はいはい。ごめんねぇー。」
全く反省してない謝罪を軽く言われながら、外されたホックを掛けた。
服を戻したら私の頬にレイの少し体温の低い手が触れた。
顔が熱かったので丁度いい冷たさの手に気持ち良さを感じていた。
頬からそのまま髪の毛を避けて普段髪が被って見えていない耳をさりげなく曝け出させて喉の奥の方から「ふふっ…」と笑った。
「耳まで真っ赤。可愛い。」
耳まで赤かったのか…通りで顔が熱いわけだ。
両耳の縁を手で押さえた。
「熱いだけだから…」
「え〜?お兄ちゃんにお胸触られて恥ずかしかったんでしょぉ〜??違うのぉ?」
キェェェェ!と言うところだが。
「違うもん。恥ずかしさと熱さは別問題やもん。」
スンっ!である。
「ハイハイ。もう靴脱いで。部屋入りますよ。」
ニヤニヤされながら言われた。
扉を開いてやっと玄関ポーチから部屋に移動である。
広過ぎず狭すぎない明るい部屋が目前に広がっていた。
「おわ…部屋だ…」
「うん。部屋だねぇ。」
当たり前なのだが初めての場所に語彙力が飛んだ。
「先にお風呂にお湯入れちゃいますよー。」
「お風呂!!」
部屋が気になって仕方ないのでレイの行く所に着いて行く。
と、あちらも慣れていない部屋だ。
2つ有る扉のうちの一つを開けた。
「あ、こっちトイレか…」
「トイレ!!」
「おしっこ大丈夫?お兄ちゃんがおしっこするところ見ててあげようか?」
「いらない!!」
所々発言が変態である。即答で拒否だ。
「お風呂は多分こっち。」
「お風呂!!」
扉を開いたら綺麗めな洗面所だった。
「色々置いてある!!」
「そだねー。何か使う?」
フンフンと置いてある物を見ていた。
化粧品でしょ〜?乳液でしょ〜?洗顔フォームでしょ〜?シェービングフォームかぁ。
こっちは入浴剤で…何だコレ?ローション?入浴剤かな?ほうほう…歯ブラシ、ヘアゴム、ブラシ…
見つけた!
「カミソリ!!」
「カミソリ!?髭剃るの?」
鏡越しで顔を見られた。
「剃るような髭は生えてるようには見えませんが?」
「脇!」
「脇!?生えてるの?」
「会う予定もなかったから何の準備もしないで来た。脇毛剃れてない。」
何せもう語彙力も恥じらいも初めての場所のテンションで消し飛んだのだ。
「え?脇の毛見たいなぁ…生えてるの見たい。」
「絶対やだ!絶対見せたく無いから剃る!!」
「えー?」
真面目に残念そうな顔するのやめろ。
バックハグしながら鏡越しに私の上にちょっと悩んでいる整った顔のレイが見える。
鏡越しに私と目が合ってニヤリと笑うと耳元に顔が降りて来た。
「じゃあ、剃らせて?」
耳元でとんでも無い発言をされた。
整った顔でコイツは何を言うとるんやと!
「もー!絶対嫌や!ほんまにあかんし!!」
「あかんかぁー!」
「あかんに決まっとるやろ!!変態や!!」
「ざーんねん!!」
身体が私の背中から離れると浴室の扉を開けた。
「全くもう!この大人!!」
プンプンしながら浴室を覗き込んだ。
「お風呂だ…」
「お風呂だね。」
また語彙力崩壊の始まりである。
「お湯が入ったら一緒に入ろうねっ!」
イケメンがニコニコである。
「ヤダーーーっ!!!」
「ええっ!?何で!!?そこはお兄ちゃんがサツキちゃんの大事な所まで丁寧綺麗に洗ってあげるから!」
「ダメーーーっ!!!このお兄ちゃんには変なことされる!!」
「変なことするよ!!!」
サクッと重大発言された。
「…変なことされる…」
「うん。あんな事やこんな事を…」
お風呂でする、あんな事やこんな事ってどんな事だよ…よく分からなかった。
「一緒に入ったら脇剃れないじゃん…」
しょんぼりである。私の顔があまりにも困っていたのか何かを察してくれたのか
「じゃあ、サツキちゃんが先に入って暫くしてから私も入ってもいい?」
結構真面目に聞かれた。
ホテルに来たら男女が一緒にお風呂に入るのはやっぱり常識なのか…
「剃った後ならいい…」
「やったね!」
仕方なし。
ポツリとあまりよく分かってない大人の事情を無理矢理飲み込んだ。
広いお風呂のお湯はまだ溜まらないので部屋に戻った。
「ベッド…」
「ベッドだよー。」
三度目の語彙力崩壊タイムである。
レイはソファに座って喫煙タイム中。
部屋の中をウロウロ探索している私を眺めている。
「テレビ…」
「何か見る?」
「…いい」
「カラオケ」
「ここで歌ってる人はいるのかねぇ?」
「クローゼット?」
「かなぁ?中に冷蔵庫とか有るかも。」
「冷蔵庫!?」
「クローゼット開けていいよ。」
開けた。
上はポールにハンガーがかかっていた。下に四角い小窓が並んだ白い金属っぽい箱状の物質が鎮座していた。
「何か箱に箱が入ってる!」
「何か良い物入ってる?」
ソファから立ち上がってタバコを吸いながらレイが見に来た。
「極薄…何?」
「コンドームだね。」
コレが…あの…コンドームという物か…
「…買う?」
「いやー…ベッドに2個くらい置いてあるでしょ。ちゃんと使うから安心して。多分いきなりコレ買ってまで回数は出来ないと思うし…」
「ほう…」
よく分からないがそういう事らしい。
「この下は初めての子にはまだハードだから。また今度ね。」
頭を撫でられてクローゼットは閉じられた。
子供にはまだ早い。という事か…?
隣のクローゼットらしい扉を開けた。
「冷蔵庫!!」
「おっ!見つけましたか!!何か入ってる?」
四角い小さな冷蔵庫を開けた。
モーター音だけが鳴っている白い空間だった。
「何も入ってない。」
「何か頼む?ドリンク持って来て貰えるけど。」
「飲む!」
テーブルの横にメニュー表が有った!!
「飲み物以外も有る!!」
「お腹すいてる?頼んでもいいよ?」
色々ありすぎてお腹いっぱいだった。
「飲み物だけでいいかも…烏龍茶。」
「私もそれかなぁ。」
ベッドの方に置いてある受話器を取ってフロントに電話で烏龍茶を2つ頼んだ。
フロントに電話!大人だぁ…あんなサラッと電話で注文なんて…私には出来ない…。
「電話…」
「どんなホテルでも大体が枕元だね。」
ベッドに腰を掛けている大人が言った。
「確かに。旅行行った時のホテルも枕元の横のテーブルみたいなのに置いてあった。」
「モーニングコールとか色々便利。と言うより睡眠時に緊急事態が起こっても即座に連絡を受け取れる様、枕元に電話等の通信手段を置くのは鉄則だね。」
私を見ながらポンポンと自分の座っている隣の場所を指定して来た。
何の戸惑いも無く指定された場所に腰を掛けた。
「へへ…ベッド。」
隣で自分の膝に肘を乗せて少し前のめり気味に座っているレイとニコニコお座りタイム…では無かった。
隣に座っていたらキスをする。それがこの男だ。
キスをしながら頭を支えてゆっくりベッドに沈められた。
口へのキスはすぐに離れた。
その後、額、瞼と流れるように軽くキスをされ…耳の上端を甘噛みされた。
「ふふ…耳齧られた。」
少し変な感じがして笑いが漏れた。
「さっきまで真っ赤だったのに戻っちゃったなぁ…と思って。」
耳の縁を指先でなぞられてくすぐったい。
唇にまた軽くキスをすると次は首筋に口を付けた。また初めての場所だ。
血管が多く通っているからこんなにゾワゾワビクビクするのかな?というくらい"くすぐったい"によく似た首筋への柔らかい感触を感じていた。
「チュッ」
音が鳴るくらいの強さで首筋を吸われた。
「あっ…」
初めての感覚で思わず声が出た。
「感じちゃった?」
吸った所に舌を添わせてパーカーを少し下げて鎖骨辺りにもう一度同じ音を鳴らした。
「分かんない…」
感じる。とは?エロい漫画とかでよく言うアレか…?
首回りの色々な所を口と舌で探られながら、さっき声が出たところにまた同じようにされると身体がゾワっとして「はぁ…っ…」とまた声が出た。
「感じるってどういう感じ?」
「そういう感じ。ココ…ほら。」
また同じ所を吸われて身体がピクッと反応して「あっ!」と反応した。
「ここ弱いね…性感帯かなぁ?他にもいっぱい感じるところが見つかると思う。」
性感帯とはよく聞くようなワードだが。これが…感じるという事か…
「時間掛けて探していきたいところだよねぇ…いっぱい気持ちよくなって貰いたいし。」
太腿の内側を撫でながら言った。
「そこはあんまりかも…」
「そうみたいね。首のここほどでは無いかなぁ?」
さっき見つけた首筋の弱い所を舐められてずっと声が出てしまう。何故か息も荒くなる。
手はずっと太腿の内側を指先でなぞっている。
唇にキスが降りて来た。
太腿の内側をなぞっていた指が下着の中の大事な部分を守る布が厚い所を触って来た。
「んっ!あっ!そこ汚いからダメ!!」
手で下着を隠しながらキスを中断して言った。
正しくは下着隠しの黒パンなのだが。
コレはコレでスカートからのチラリよりダイレクトに見られる方が恥ずかしいものがある。
「大丈夫。ぜんっぜん汚く無いから!何ならめちゃくちゃ綺麗!何よりも綺麗!純潔!」
「違う違う!おしっことかしてるし!汚いから!!おりものとかそういうのも有るから!」
「純粋にそれもいい!!」
ダメだ!話が通じない!!ロリコンだからか!?世の男性はみんなこうなのか!?アホなのかバカなのか!!
「でもダメ!お風呂入ってから!!」
「入ってから?入ってからなら良いと?」
「…入ってから…なら…」
何かちょっと腑に落ちないが。
「じゃあ、パンツ見たいからその可愛いお手手をどけて欲しいなぁ…触らないから。」
「触らない?」
「触らない!見るだけ!拝むだけ!」
拝まれるのか…
でもまぁ見るだけならいいか…良くないけど。
「じゃあ黒パン脱ぐから待って。」
「え?脱ぐの?いきなりパンツ脱ぐの?」
?である。
「パンツ見たいんやんな?じゃあコレ脱がないとパンツ出てこないし。」
「あ、下にもう一枚履いてる?」
「そう。コレはチラリしても大丈夫な見せパン。」
かなり納得の顔をされた。
捲れ上がったスカートを整えて、寝転がったまま黒パンをよいしょよいしょと脱ぐ。
隣で座って脱いでる姿を真剣に見られていたのだが…どういう心境なんだこの大人?
「はい。黒パン脱いだ。」
ジャジャーンと中身のない黒パンが手に登場!!
「おお!黒パン!さて、パンツ見せて!」
キリッ!とした顔で言われた。
そのタイミングで、某コンビニの入店音が部屋に鳴り響いた…
「えっ?ファ◯マ?」
「ちょっと〜…このタイミングでぇ?」
部屋の入り口の扉を開けて玄関ポーチにレイが向かった。
私も起きてついて行く。
カチャ…小さな扉を開くと「お待たせしました〜」とちょっと甲高いおばちゃんの声。顔は見えない状態でトレーに乗ったグラスを向こう側の扉から入れ、またしても甲高い声で「ごゆっくりどうぞ〜」に対して
「はい、どうもー。」
と言った後ガチャンと向こう側の扉が閉まり、レイも片手でトレーを持って小さい扉を閉めた。
「お茶が届きましたよ。」
わーい。お茶だー。
下着売り場に行くと、今でも"スクールショーツ"とか"中ばきパンツ"が黒々と売っていて今でも女の子は黒パン履いてるんだなぁ。と懐かしく見てます。
スカートをはためかせながら自転車で爆走してる女子高生をたまに見ますが。
彼女達も黒パン履いてるんだろうなぁ…と。
そう言えば、
「お尻の穴とうんこ。好きな人に見られたくないのはどっち?」
という質問がありましたな。
ちょっと前に職場のバイト女子高生にこの質問をしたらめちゃくちゃ照れながら
「どっちも無理ぃ〜」
と言ってて
「何だ!この可愛い生き物は!愛い奴よのう…」
って脳内ノックダウンされました。
私にもそんな時代があったんだろうか…この質問は私が乙女の時代にはまだ存在しませんでしたが。
大人になってからこの質問をされて失笑した後
「うんこだ!尻の穴など広げて見せてやるわ!!」
と中々の猛者っぷりでした。
皆様はいかがかしら?
この質問から分かる事?
内緒だよ。




