忠順な足取り
「時間も無いし、シャワーだけにしとこうか。」
確かに。ぬるい湯船には浸かりたく無い。
ボディーソープを泡立てて身体を洗ってくれている。慣れた。もう何かね。恥ずかしいとか無い!
下半身を洗う時に思わぬ弊害が出た。
「滲みる…」
そう。さっきめちゃくちゃ痛かった所がとても滲みるのだ。滲みすぎで直球で言う以外に合う言葉なんて無い。
「あー。滲みちゃうのね。どうする?自分で洗った方が痛いの回避しやすい?」
どうなのだろう…自分で洗っても痛いのは痛いと思う。
「そのまま洗って。痛いのは仕方ないし。」
「強いなぁ…」
痛いけど耐えた。頑張った自分!!
「お返しにレイの体も洗ってあげる。」
「…とても嬉しいご提案なのですが。可愛い女の子にそんな事をされたらまた元気になるので。今日はご遠慮致します。」
とても丁寧にご遠慮された。
「元気になると困る?」
「そりゃあもう。時間までに家に帰せなくなっちゃう!」
?はて?何故元気になると家に帰してもらえなくなるのか…大人はよく分からないがそう言う事らしいので洗っている姿を眺めた。
サクッと大事な部分だけ洗って終了!
自分の身体はそんなもんでいいのか?!
「もう終わり!?」
「もう終わりぃ〜。家でまた入るから良いのです!」
バスルームから出てバスタオルでまた丁寧に水分を拭き取られていると、鏡に自分の姿が映った。
「あ!首のココ赤くなってる…胸のとこもある…虫刺されかな?痒く無いけど…」
首元をさすっていたら鏡越しに何故か言いた気にニヤニヤしているレイがいる。
「サツキちゃん…それは…キスマークと言うものです。」
「ほぁ!?コレが!!」
初めて見たのだが。まさか自分の首にこんな…コレが…
「取れる?」
「いやぁ…多分2.3日取れないかなぁ…内出血だから。絆創膏貼っちゃうと逆にエロいんよなぁ…」
「虫刺されという事にして「痒い」って言って誤魔化します…」
そうするしか無いだろう…まさか自分の娘がキスマーク付けて帰ってくるとは思わないだろうし。敢えて言うならその方が自然だ。
「悪い虫が憑いたなと…。」
「本当に。悪い大人だよね。」
鏡越しに言って、ふふっと2人で笑った。そのまま後ろから顎クイをされて鏡の前でキスをされた。チラッと横目で鏡に写っている自分を見た。
…こういう感じでキスされてたんだなぁ。
と、どこか客観的に自分の姿を見ていた。
私にキスをしている男性は目を閉じているので鏡を見るのをやめて私も目を閉じた。
「鏡見てた?」
解放されて第一声がそれだった。バレてた。
「見てた。見てた?」
バレてるならしょうがないので正直に答えた。
「いや。わざと見える角度でキスしたから。見れたかなぁと思って。」
見てへんのかい!後ろから抱っこされた。
「どうだった?自分のキス顔どうだった?めっちゃ可愛いと思うんだけど。」
めちゃくちゃ頭スリスリしてる姿が見えるのだが?
「ふーん。こんな顔かぁ…くらいにしか思わなかった。」
「あれ?意外と冷静に見たね。もっとキャーキャーしてるのかと思った。」
何だよそれ。キャーキャーって…
「キャーキャーしてない。でも…」
「でも?」
「キスしてる人イケメンだなぁ…って。」
「ええ〜?イケメンかなぁ…?自分ではそうは思わないけどなぁ…」
イケメンが自分の顔に手を置いて物憂げな表情だ。やはりイケメンだ。鏡越しでもカッコいい。
「イッケミェ〜ン!」
って言いながら頭撫でといた。
「そんな事言うのあなたくらいですよ。イケミェン。」
暫し鏡越しイチャイチャタイムだったのだがレイが思い出した!
「時間無いんやった!!早く服着ないと!」
「わあ…わああ…パンツどこだ…あっ!パンツに血が付くかも…ナプキン付けとこ。」
パンダちゃんポーチからナプキンを出した。
「…もしかしてさ。ナプキン入れてるポーチにタバコ入れてる?」
「そう。生理不順でいつ来るか分かんないから常に持ち歩いてるポーチ。親もナプキン入れてるって知ってるからバレない。」
パンツを途中まで履きながらナプキンを着けていたら
「なるほど。タバコの隠し場所もなるほどだけど。ナプキンの付け方もなるほどだわ。先に履いてから付けるのか…」
「見た事無かった?お姉さんとか付けてるの見ない?」
「見ない見ない!姉貴の何か見たくも無いわ。見たら見たで極刑喰らわされるわ。」
成人男性でも見る機会が無いのか。お姉さん怖いんだなぁと言うのがよく分かった。
「ふぅん。極刑かぁ。位置とか有るから。履かないで付けたらズレて漏れたりする。パンツ洗うのめんどい。」
急いで服を着る。黒パン忘れそうになった。危ない。
「忘れ物無いですか?タバコ入れた?」
「大丈夫です。シーツ持っ…てるな。ちゃんと畳んでるし。」
しっかり持ってた。
「お会計してくる。」
「はーい。」
忘れ物を確認。部屋をウロウロ…
会計システムの音声が聞こえる。
「アリガトウゴサイマシタ」カチリ!
「鍵が開く音した!開く音した!!」
「お金払ったら開きます。」
「途中で出たくなったら?」
「フロントに電話します。」
なるほど。そういうシステム!!
「途中で出たくなる理由とは…」
「タバコ買い忘れてたりかなぁ?あんまり途中で出ることも無いよなぁ。」
靴を履いて退室!!
手を繋いで廊下を歩く。誰かに会ったらどうしよう…という感じなのだが。
まぁ、誰かに会う事など無く駐車場へ。
「どうぞ。」
と助手席の扉を開け手を差し出して車内へ誘導。
「さて、行きますか。どちらまでお送りしましょう?最寄駅じゃ無い方がいい?」
確かに。誰かに見られるのはちょっとヤバい?いや、かなりヤバいかも知れない…
「じゃあ…隣の駅で。」
隣の駅の名前を告げた。
「了解致しました。」
サクッと了解された。
「この時間混むからちょっと抜け道走るよー。」
またタクシードライバー並みの抜け道を進む!この道何処だよ!!という感じである。
しばらく走って信号待ち。
「あ、そうだ。」
サイドボードからメモを取り出して何かを書いて渡された。
「今度からここに掛けて。公衆電話でも良いから。」
電話番号をゲットした!!
「レイの電話番号!!家に帰ったら電話帳に書く!!大事!!」
手の平サイズの赤いパンダちゃんの電話帳にメモを挟んだ。無くさないぞ!何なら覚えるぞ!!
喜びの舞を踊りそうになりながらもここは車の中。テンションだけ上げておいたが、その様子を見て少し考えながらレイが話しだした。
「私の番号くらいで喜んで頂けて光栄なんだけどね。サツキちゃんさぁ…もうあそこにはかけちゃダメよ。一応あれ18歳未満はかけちゃダメな所だから。今度から週末でもいつでも、私の番号にかけて。仕事中は出れないけど。喜んで出るから。」
「喜んで電話に出てもらえる!!じゃあここにかける。レイの番号にかける!」
イケボが聞ける!最高か!!
「うん。そうしてね。あの場所はね、出会いを求める大人が来る所だから。正直に言うと、サツキちゃん補導寸前だったからね。」
「はぇ?マジですか!誰にも会う気無かったけど…どうやって補導…」
会わないと補導されないと思うのだが…レイまさか補導員とか?補導員が中学生とやっちゃう?
「誰にも会う気無くても私に会ったでしょ?他の人にもあの押され方されたら、下手したら会わされてた可能性が絶対無いわけじゃ無いよね?実際押しに弱いし。」
「確かに…その相手が警察に通報したら…」
押しに弱い…確かに…押しに負けて今パンツにナプキン付ける羽目になってる…
「で、あそこによく行ってる奴が私の友達にいるんだけどね。「最近日曜日に15歳の子が電話してくる」って教えて頂きまして。ロリコンの私に白羽の矢が立った訳です。」
この人友達にもロリコンってバレてるのか…
「サツキちゃん有名になってたよ?だから補導される前に何とか確保しないと!って。まぁ、好奇心もあったのは事実だけど。先週と今週で2回張ってた。」
「有名になってた…」
「先週は掛かってきてたみたいだけど取れなくてね?今日は先にスタッフとか店に居る人に言っておいたの。あとどんな感じかとか情報貰って「絶対会えない。けど押したらパンツの色とか教えてくれるからもしかしたら…」って。」
パンツの色教えた事あるなぁ…しつこく聞かれたからなぁ…
「で、私が今日電話して来たと…」
「そう。先に言っておいたからみんなワンコールで取らずに私優先。1回目で掛かって来ました。」
「うわぁ…」
変な連携プレイされてた…
「電話切ったらみんな「いけた?」って待ってたからね。「行ってきます!」って敬礼して出てきた。」
「出征かよ!何処の兵士だよ!!」
「いやいや、本当に。みんな「マジか」って言ってたからね。猛者を見る目よ。」
幻の珍獣に挑む人間の方だったかも知れない…
「だからね、15歳かぁ…って。正直なところあんな所に電話してくるような子には期待してなかったんだけどね。最悪注意だけして解放かなぁ…って思ったんですけど。」
「なんか悶えてたね。」
気持ち悪かった。言わないけど。
「そう。隣にいる子に一目惚れしたの。人生で初めて一目惚れした。」
「は?」
「気持ち悪いでしょ?」
「うん。一目惚れなんて存在する?」
はっきり言って半信半疑だ。私もレイの顔を見た瞬間一目惚れに近い感覚はあったけど。あそこまで取り乱す程では無い。
「する!存在した!全部可愛い!本能が出て理性が吹っ飛んだ。あー、この子が好き!ずーっと抱きしめてたい。ずーっとキスしてたい。全部欲しい!…そんな感じです。」
「それでいきなりファーストキスを奪われたのか…」
ファーストキスどころじゃ無かったけど。出会って4時間程で色々奪われたけど。
「そう。この子は絶対逃したく無い!って何故か焦りました。ごめんなさい。好きなのは本当で本心だから。」
「ん。私もレイが好きだから許す。」
手を握った。私からレイ手を握りに行った。
「でも本当にもうあそこには電話しちゃダメだよ?これも約束してくれますか?いいですか!?」
「分かった。もうしない。レイの携帯にだけかける。」
「因みにめっちゃ通話料高いから家からはあまりかけない方がいいよ。」
「え?そうなの?」
「そうなの。サツキちゃん携帯持ってないしなぁ。ポケベルも無いし。どうしましょうかね…私からの連絡が出来ないなぁ。」
「公衆電話から掛ける。」
「予定の無い日曜日に会うことにする?」
日曜日に会う!!会える!!こんな嬉しいことはない!!
「会う!!」
「じゃあそうしましょう。予定のやり取りは電話で。」
テレクラに暇つぶしで電話する必要も無い!図書館に行く必要も無くなった!ありがてぇ!!
「あ、レイもテレクラ行っちゃダメ!」
それはそれでちゃんと言っておこう。
「実は友達に言われて先週初めて行ったんよね…今日は2回目。中々のおっさん率でしたよ。」
やはりそうか…暇なおっさんとかおじいちゃんしか居ないよな…
「もしあんなおっさん達にサツキちゃんが会ってたらと思うとゾッとするわ…私も中学生からしたらおっさんやけど。」
「レイはおっさんじゃない。明らかにお兄さんです。声の質からして違う。」
そう。明らかに違った。良い声だった。
「第一声が「いい声ですね。」だったからなぁ。まさか中学生がそんなアプローチ掛けてくるとは思ってなかったから。可愛い声の人が掛けて来たなぁ…と思って年齢聞いたら15歳って言うしびっくりしたわ。この子が噂の!?って。話し慣れてるなぁ〜って感心した。」
一体何歳くらいだと思われていたのだろうか…ただただいい声だなと思って言っただけなのだが。そっか…話慣れしてたのか。でも実際初めて人に会ったから緊張してちゃんと話せてた自信は無いな…
「初めて会った時私、ちゃんと話せてた?」
ストレートに聞いてみた。緊張して全く話せて無かった気がする。
「結構無口な子だなぁ…って思ったかなぁ。抜け道走ってる間一切話して無かったし。手を膝に置いたまま固まってたから「これは緊張してるなぁ〜」って」
バレてた!緊張してたのバレてたわ!まぁ、そりゃそうだ。
「で、これはちゃんと1から挨拶した方が良いのかな?って運転しながらまず何から言おうか考えてた。」
挨拶…したような…?したか?したか。
「緊張してて覚えて無いや。気が付いたら隣に可愛い可愛い言って何か悶えてるイケボの人がいた。」
「そこ!?こっち見てちゃんと可愛い声で「初めましてこんにちは!」って言ってくれてたのに!?うわー。マジか…失態犯してるわ…大失態だわ…」
運転しながらめっちゃ嘆いてらっしゃる。"変な人が来たらどうしよう…って思ってたら本当に変な人が来た"って言ったらとどめを刺しそうだから胸の内に仕舞った。偉い。自分偉い。
「そろそろ着きますよ〜。駅前でいいかな?」
「はーい。お願いしまーす。」
駅前のバスターミナルの外れに停めてくれた。
「到着です。お疲れ様でした。こっち側の改札で良かったよね?」
「バッチリです!お疲れ様でございました。今日はありがとう。」
「いえいえ、こちらこそ。ありがとう。」
運転席から助手席側に身を乗り出してキスをされた。おお…さよならのキスか…と普通に受け入れた。
口が離れ切る前に
「電話待ってる。」
もう一度軽くキス。
「分かった。電話する。」
私から軽くチュッとキス。
「ふふ…待ってる。」
ぎゅーっと抱きしめてキス。
「ダメだ!キリがない!!時間時間!早く帰りなさい!!このまま連れて帰るよ!」
「ほんまや!帰らないとちびまる子ちゃんが始まってまう!!じゃあ!またね!」
「はーい。またね。気をつけて。」
車の外に出た。手を振って改札を通って振り返る。また手を振ってホームの階段を走って登った。
さよならのチューだけで4回もするんだな…時間があったらあのまままだまだ続行中だったな…
まだ何か中に入っているような感覚はするけど足取りは軽かった。
電話帳持ってましたわ。
ほんまに手の平サイズのパンダちゃんの赤いやつ。
制服のポケットに生徒手帳、リップ、ソックスタッチ、電話帳って感じで入ってました。
ティッシュとハンカチなんか入ってないよとww
今はスマホに全部情報が入ってるので電話帳単体なんか持ってないじゃないですか。
当時はスマホどころか携帯も中学生は持ってませんから。
友達に書いてもらったり教えてもらって書いたりしてました。
そしてまたその番号を覚えてるんですわw
友達の家の番号を。
携帯の番号とかも。
今は自分の親の番号も覚えてませんが。
当時覚えた番号はいまだに覚えてたりするのが有ります。
最近職場のバイトの高校生から聞いたのですが、今090の番号のスマホ使ってる人って若い子からしたらおじちゃんおばちゃん以上の年齢らしいですよ。
0903の人はおじいちゃんに多いらしいです。
そう言えば携帯が出た頃の番号って030で一桁少なかったんですよね。
途中から0903で今の11桁に変わったんですよ…
ギリギリ知ってる私のスマホの歴史です。
その前はポケベルでしたが。
私は世代的にポケベルを持つ事は無かったので語る事は無いです。
45歳以上の人がポケベル世代かな?
若い子はお父さんお母さんに聞いてみて下さい。
ポケベルは色々技があるみたいです。
さて、お待たせしたのかしてないのか。待ってる人なといるのか分かりませんが。
扁桃炎になりまして。
38.4という…気のせいかな?気のせいだな。とおもうような。医者に「中々の高得点出たね。」と言われてしまう発熱をしました。
3日ほど寝てましたが熱は下がったものの喉の痛みはまだまだ引かず。
ゼリーをちゅーちゅーする能力ぐらいしか今の私にはございません。
ゼリーちゅーちゅーして抗生物質を1日3回毎食後です。
食事として成り立っているのか?と疑問ですが。まぁ何も入ってないよりは良いでしょ。
という事です。
レイさんとサツキちゃんはとりあえずお家に帰らせます。
まだまだ続くのですが、色々時系列が有りまして。
先にかなり先の話も書いているのですが。これいつ出すん?という感じです。
20代サツキさんは書きやすいです。サクサクと進んでますが大人なのでとんでもない事になりつつあるのでw
ちゃんと10代のフワフワしてるサツキちゃんを書き切ってから出します。多分。




