九話「普通に怖い」
「…んん」
何だかいい匂いがする。
「…フフッ、起きた起きた、思ってたより早いし異邦人って中々タフだね?」
…何か聞いたことある声
…てかこれは、膝枕されてんのか
…もしや生きてる?
「ッ生きてる!?」
俺は飛び起きた。
「危ないよ。」
「うぁぁ!」
森の中、太い木の枝に俺は座っていた。
…死ぬかと思った。
─ふと違和感を覚え胸元を見ると、そこには乳白色の魔晶が埋まっていた。
「…フフッあの!あの!あの!あの!あの!」
四方八方から声が聞こえる。
「うわぁぁ!やっぱあの時の声!」
またも落ちそうになったが体勢を整え横を見る。
…覚えがあるのは容姿もだ。
「…は?」
「魔晶が着いた気分はどう?最高?」
「君に着けたのはね、機能不全の魔晶だよ。」
「普通は手に入らないんだけど、依頼中に見つけてくすねて来ちゃった♪」
可愛い!…とかの前に普通に怖かった。
「…何で着けたの?俺多分ニブイチくらいで死んでたよ?」
「だって魔晶、欲しかったんでしょ?それに思っちゃったんだもの、この魔晶なら不可能をひっくり返せるかもって。」
「ちゃんと大丈夫だっていう保証はあったよ?ギルドの高位魔法使いを信じて?」
…イカレてるだろ。
「…あっ自己紹介とかしといた方が良い?、敵か味方か知りたい?」
「!あぁ~ははっ、怯えてるの何か可愛いかも~。」
…怖すぎる。
「…じゃあ、お願い。」
「…えっ?普通敬語じゃないの?私って君より下の人間かな?」
「…自己紹介、お願いします。」
「はい、承知しました。」
「私はね、アレタルトの高位魔法使いにして
ギルドランカー二番、年はハタチ。」
「アデル・ルークドレト!」