十話「大陸リヴァクル」
「ギルドランカー…二番?」
「それって…どれくらい凄いんですか?」
「実力を見せようか?今すぐに。」
アデルはそう言うと背中から、魔晶を先端に埋め込んである杖を取り出した。
「でもここはまだアレタルト周辺だから…まず移動しよっか♪」
「えっ」
俺の足が空高く浮いた。
「リヴァクル旅行行ってらっしゃ~い、飛んでけっっおらぁっ!!」
彼女は大きく杖を振りかぶった。
そしたら腹側は浮き、背中側は重くなり、何かに圧し挟まれている様な感覚を覚えながら俺は人間大砲みたいな体勢になって…放たれた。
「ッガぁぁぁぁぁああア!」
「ぶっ、ぶつかるゥゥゥ!!」
─森を抜けた後、俺は色んな景色を見た。
小麦色の草原には何種類もの魔物がいて、群れを為して走ってるのもいれば、鎮座してるデカイのがポツポツ居たりもしている。
遠くの方には霞みがかった巨大な山があって、麓では青紫の光が点滅していた…魔法か?。
草原、渓谷、湖、湿地、岩山、そして巨木の森。
自然が豊かだ…。
!!ありゃ凄い、明らかダンジョンの入り口みたいなのがある!
ハハッなんだあれ、凄い光ってる森がある!
アッハッハっハ!あんなん絶対ゴーレムとぉオークとぉ…後、後!
思えば、俺は強欲な人間だ。
リスクは冒したくない、けど退屈は嫌だなんてそんなの強欲以外の何でもない。
でも俺今、アイツのさじ加減で急に落ちるかもしれないし、落ちた時に無傷の保証も無いのに…!
笑ってる。
一生懸命水の底に沈めた筈の物が、多量の酸素を得て浮かび上がってくる感覚。
━それは最高に気持ちが良くて、心が躍った。
ここまでがプロローグです。