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#17 どこかの誰かの話

幕間 一


「悪く……思わないでください」

「ははは。じゃあなんて思えばいいのか教えてくれよ。でもまあ、お前はやっぱり甘いよ。俺を殺してしまえば話は早えのにな。黒龍の血を飲んだ俺は不老なんだ。不穏分子はちゃあんと摘んでおかないと、いつか長い月日が経っちまうとどうにかなっちまうぜ?」

 消魔石で作られた牢獄の鍵を閉め、呪いの言葉を背中で聞いた。

 本当にこれで良かったのだろうか? いや、迷うな。これでいい。王国のためには。もしかすると、改心するかもしれない。切り札はあったほうがいい。決意を固め振りかえり見る。鏡に映したように同じ強い視線が返ってきた。

「いつか恩赦があることを期待してるぜ。なんせいつまでも待てるからな俺は。永遠に筋トレができてうれしいよ」

 笑っている。

 確かに。恩赦はあり得る。改心したフリをして世に出てくることがあるかもしれない。記憶は薄れゆくものだし、表向き、彼の業績は華々しい。なぜこんな牢獄に閉じ込められているのか? 捻じ曲がってしまった裏の心を知らなければ、疑問しか湧かないだろう。王が代る過程で、秘密が伝えられなければどうなるのだろう? しばらくの間山ごもりで修行していて世間から離れていたと言えば、誰しもそのストーリィを受け入れるだろう。もし、この檻を抜け、また、世に出てくることがあれば……。それは王国を救うヒーロとしてなのか、はたまた転覆を狙うダークヒーロとしてなのか。

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