第8話 Pasta
高校1年生になりまし天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
「えっ……と、」
「心配しなくても、もうすぐ着くわよ」
「あ、はい」
卯年の執行人、志乃と2人で玲瓏へと向かう道の途中。
沈黙に耐えかねた葵の切り出しをを勘違いした志乃は、相変わらず葵の前に立ち先導していた。
「あ、あの志乃……さん」
「どうかしたのかしら?」
「す、好きな食べ物は…」
「……人間界の食べ物だとパスタかしら」
「………あ、パスタ好きなんですか?!美味しいですよね、私も大好きです!!」
「急に饒舌になったわね…」
答えてくれると思わなかった質問に答えてくれた上、人間界の食べ物が出てきて思わず声を上ずらせた。
「フェットチーネが好きですか?それともノーマルですか?因みに一押しのパスタの種類とか……」
「そ、そんなに詳しくないわよ…」
「私はペスカトーレが好きです!」
「お、美味しいわよね…」
「時雨夜にはパスタあるんですか?」
「似たような食べ物はあるけどパスタ自体はないわね」
「え〜!そうなんですか?!」
パスタ話で若干志乃を引かせ、葵は本題に切り込む。
「玲瓏ってどんな場所なんですか?」
「……罪人がいる場所よ」
「え、罪人…ですか?」
「まぁ、そうね。
重罪人は牢に入れられるけど…まぁ、色々あるのよ」
返ってくる声は重く暗かった。
「……罪人が異界の扉の場所を知ってるんですか?」
「まぁ、たまたま扉を知ってる神が罪人になっただけよ」
「はぁ」
「さ、もうすぐ着くわよ」
「あ、はい」
ぱすた話が終わり、図ったかのように視界が開けてくる。
周囲にあった古風な建物が少なくなり、
ーー玲瓏は、突然に姿を表した。
「わぁ、ここが……」
「想像どおりかしら?それとも想像と違った?」
「私はてっきり牢獄みたいなところかと……」
葵は思わず息をついた。
玲瓏は葵が想像していた刑務所とはかけ離れていた。
小さめの、古風な建物が広い敷地にまばらにあり、真ん中には大きな鳥居。
木もあちこちに生い茂っていて、大きな街を一部分だけ切り取って持ってきたようなかんじだ。