第5話 グリーンアップル
高校1年生、15歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
あの時、自分は桜を探すため、渚冬と瑠依と別行動を取った。
無我夢中で桜の名前を叫び、走り回り、希望が潰えたその時、雅に会った。
桜が何処にいるかわかる、なんて言われたから、思わず着いて行った。
だけど、そこは闇市のような場所でーーーー
「本当に、あの場所は何度取り締まってもキリがないわね」
葵の話を全て聞き終わった卯年の執行人は嘆息してそう零した。
渚冬は考え込むように俯いていて、瑠依はーー顔をとてつもなく青ざめさせている。
その青さといったら、青りんごなみに青い。
いや、少し盛りすぎた。
でも、かなり真っ青だ。
「あおちゃんが、そんな、危ない場所に………」
「桜がそんな奴らに捕らわれたなんて……」
瑠依と渚冬の妹を心配する声が、重なる。
「えー、葵オネーさん、雅ってやつ、瑠依オネーさんの体乗っ取ったんだしょー?そんな奴らのこと助けに行くのー?」
桜の純粋な疑問が葵の胸を貫く。
否定は出来ない。
実際、雅は姉を乗っ取り神代を壊そうとした。
そんな神を助けに行くなど、事情を説明したところで説得力にかける問題なのだ。
「そう…なんだけど」
「私にはよくわからないけど、あおちゃんが助けたいって思うなら助けに行けばいいんじゃないかしらぁ」
「お姉ちゃんにはよくわかってほしかった……」
言葉に詰まる葵にのほほんとした笑みを浮かべた瑠依。そのあまりの穏やかさに葵は苦虫を噛み潰したような顔をするしかなかった。
しかし、
「そのーーお城、みたいな場所に転移した、と言ったかしら?」
鈴の声でそう問いかけるのは卯年の執行人。
「…はい。何か、大量の御札が天井から吊り下がっていて…」
御札のジェスチャーをしてみせた葵に志乃は息をついた。
「…なら、雅は多分、この世界にはいないわね」
「え…?!
時雨夜にいないならどこにー」