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第38話 Shall weタコパ?

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますがが読んでいただけると嬉しいです!

淡い碧緑の癖っ毛に、真ん丸な目。


小学生男児のような、ヤンチャそうな顔つき。


小柄な身体だが、しかし、その佇まいにはどこか異次元なオーラが滲む。


「だ、誰……?」


「あ、怪しい人じゃないんで安心してくださいっス!!解術師って言うのを生業にしてる者ッス!」


「ーーーーーーーー」


「ほ、本当に怪しくないっスから!ほ、ほら解術師!妖魔にかけられた呪いとか術式とかを解く仕事ッスよ!安心安全な職業ッスよ!」


「ーーーーーーーー」 


そんなジト目で見るのやめてくださいッス!」


両手を全力で振って不審者疑惑を晴らそうとする少年、ーーー風の男、咲夜。実際の年齢は不明だ。


今だ疑いが晴れない葵達に、


「な、渚冬さんに頼まれて来たんスよ!

渚冬、稲荷渚冬さんっス!皆さん、知ってーー」


「渚兄に?!

渚兄は無事なの?!」


渚冬という切り札言葉にいち早く食いついたのはやはり桜だ。その食いつきっぷりに少し引き気味に、


「は、はい、無事っスよ……?

今はいろいろ会って先に時雨夜に、戻ってますっスけど……」


「「「良かったぁ……」」」


3人分の安堵の溜め息と、


「あいつがそんな簡単に死ぬわけねぇだろ」


雅のどこか冷たい、しかし信頼のある言葉に咲夜は頬をかいた。


「俺も渚冬さんくらい強くなりたいものッス……じゃなくて!!」


強引に安心ムードを壊して咲夜は、


「と、とりあえず解術するッス!

1人ずつやるんで、皆さんちよっと待ってくださいッスね!

ん〜、まずは桜さんからッスね、一番酷そうっス」


「げ、解術…、?」


桜に向き直り腕をまくる咲夜に桜は目をパチクリさせた。

困惑する葵と瑠依と桜。

しかし、雅は1人腑に落ちたというように、

ああ、と呟いた。


「”記憶の罠“のペナルティーか」


「そうッス!え〜と、」


「雅だ」


「雅さん!

妖魔の作った記憶に閉じ込められたあと、そこから抜け出した者は誰しもペナルティーが課されるンスよ」


「早いとこそのペナルティー解かないと後々呪いに発展したりして死んじまったりするんだよな?」


「死……?!」


顔を青ざめさせる面々に、


「こ、怖がらせないでやってくださいッス、雅さん!!誰も死なせないために俺がいるんスから!」


「おぉ〜カッコいいな」


「茶化さないでくださいッス!

ああもう、とりあえず失礼するッスよ!」



雅の言葉に顔を赤くしつつ、咲夜は桜の腕を優しく捲る。


そして、そこにあったものに咲夜と雅以外の一同は言葉を失った。


「何、コレ……」


桜の腕には奇妙な文様が入れ墨のように刻まれていた。


「この文様がやがて全身に呪いをもたらすんスよ。

早めに対処、しない、とっ……!」


そう言い咲夜の手から眩い光が放たれる。


桜の腕の文様が、光で浄化されていく。文様が、消えていく。


「凄い……」

「よっし、1人終了っス!!

あと2人!!」


そうして同じ工程を葵と瑠依に施し、咲夜は額の汗を拭った。


「ふー、終了っと。」


「あ、あの!」


やりきった感満載な咲夜に瑠依は声を上げた。


「志乃さんはどうなったの…?

意識は戻ったのかしら?

渚冬さんと一緒にいるはずなんだけど、志乃さんも私達と同じように、記憶の罠にかかったはずなの…!だから、」



「あ〜、志乃さんなら俺の同僚がペナルティー既に解いてくれてるんで大丈夫ッスよ」


涙目になる瑠依に咲夜は安心させるように優しく笑いかける。


その言葉と笑みに瑠依は吐息をついた。


「よ、良かったわ…」


「……状態、あんま良くねぇんだろ」


ボソッと咲夜に誰にも聞こえないように耳打ちした雅。


その声は思惑通り、誰にも聞こえていない。


葵達は仲良く談笑を始めている。


唯一人、咲夜だけは、雅の勘の鋭さに、言いにくそうに頬をかいた。


「まぁ…あんま、良くないっスね。

しばらくは執行人の役目はお預けになりそうッス

………他の皆には言わないでくださいッスよ?」


「……あぁ。」


短すぎる返答。しかしその返答には様々な感情がないまぜになって込められていた。


「皆多少の怪我はあれども、命は無事出良かったッスねー!お祝いに、さっさと時雨夜に、帰って皆でタコパでもしないッスか?」


「時雨夜にも、タコパってあるのね!

私、クルクル〜って回すの上手いのよ!」


「タコパ?なにそれー?!」


「思いっきり人間界の文化が登場した……」


それぞれがタコパに対する反応を示すが、どれも良いものだ。


咲夜は、場の空気を変えるのが上手い。

そう、雅は評価する。


先に帰った志乃と渚冬のことを心配する心を持たないように即座に楽しいことをぶち込む。


それは一種のマインドコントロールだ。


そうとは知らない3人は笑みを浮かべながらタコパなるものについて楽しげに話している。


「さ、帰りましょーッス!

あ、城はしばらく燃やしっぱなしにしときましょう!制裁のために!」


時雨夜へと繋がる扉へと向かおうとする咲夜の思ったより厳しい天罰に笑いつつ、瑠依と桜がその後ろについていく。


「行きましょう、雅さん!

タコパ、やりましょう!?」


「俺もやるのかよ……」


「当たり前ですよ!」


「わぁーったよ」


何故か興奮気味な葵に手を引かれ、全身痛いが無理やり立ち上がり、咲夜達のあとを追う。


「雅さん、ロシアンルーレットのたこ焼きって知ってますか?」


「……なんだ、それ?」


「知らないんですか?

人間界では有名なんですよー、ね、お姉ちゃん!」


「何か楽しそうな名前ッスねー!」


戦いのあと。


平和が戻ってきた5人で、楽しげに談笑を繰りひろげる声が、異界の空にこだましていくのだった。


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