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第36話 遅くなったけど

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!

「こっちね!わかったわ!」


右も左も、わからない場所を、渚冬が瑠依に貸してくれた狐の精霊ーーーー神使いの跡を追いかけて走る。


青い光の残像を残す狐の駆けるスピードは速く、瑠依は脇腹を抑え、荒ぶる呼吸に肺が絞られるような感覚を味わっていた。


それでもかけ続けるのは、ただ、手遅れになりたくなかったから。


もしその城に、葵と桜がいたら。


もしその城でもうすでに葵と桜が妖魔と戦闘を交えていたのなら。


もし、葵と桜が、妖魔に、殺されてしまっていたら。


(そんな事ないわ!無事なはずよ……!)


襲いかかる恐怖を頭を振って振り払う。

何度も、何度も、何度も。


そうして、何時間にも思える時間走り続け、


「そう……ここだったわ……」


ついに、到着した。


しかしそこは少し前に最初にここに来たときとは様相が一変していた。


「崩れ、て……」


絶句する。

瑠依が立派だと思っていたお城は影も形もない。


全壊寸前の瓦礫の塊。そんな印象を受ける。 


随分とあちこち風通しが良くなっていて、天井に至ってはオープンカー並みの風抜けの良さだ。


だから、


「私を、えーと、と、飛ばせて……?

ひ、ひゃあっ…!」


飛び方がわからないのでとりあえず口に出して言ってみたが案外成功するものだ。


瑠依の体は宙へと浮かび、高度を高めていく。


城の、真上まで。


真上まで行けば、見える。


遥か下に、ぼやける4人の人影が。


「あおちゃん、桜ちゃん……!」


やはり、この城にいた。

そして、すでに戦っていた。


記憶だと気づかずに笑って過ごしていた馬鹿な姉を置き去りに。


目を凝らせば鮮明に見える。


黒靄が。戦場が。桜が、黒靄に沈んでゆく雅を助けようと必死に権能で黒靄を攻撃している。


そして、葵はーーーー


視線をずらした刹那、瑠依の心臓が凍る。


「あおちゃんっ!!」


葵が、大切な妹が。


黒靄を渦巻かせている女の下敷きになって、首を絞められていて。


「やめてぇぇぇぇ!!!!」


瑠依の両手から地獄のように業火が放たれる。


それは狙い違わず女に着火。


その女は絶叫を上げ、炎はその声に連鎖反応を起こしたかのように、勢いよく燃え広がる。


黒靄のすべてが燃え上がり、たちまち城内は火の海へ。


桜は何事かと頭上を見上げ、ーーーー空に浮かび掌から火花を散らせる瑠依と目が合う。


「瑠依オネーさん!!」


桜の驚愕に満ちた声を耳にして。


地面に転がり、苦しげにあえぐ葵の姿を目にして。


瑠依の頬を涙が伝った。


「遅く、なっ、て、ほ、本当に、本当にごめんなさい!私が馬鹿でごめんなさいっ…!

助けにっ……、助けにきたわっ……!」


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