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第22話 4年間の空白

高校1年生、15歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!

「ーーーー良く聞いてほしいんや、桜。」


「ーーーーーぇ」


雑音が自分の口から紡がれるのが分かった。


目の前には真剣な顔の湊。


しかし、今よりもあどけないその顔にいつものような笑みはない。


いや、それよりも。


なぜ、兄がここにいるのか。


今湊は人間界に研修にーーーー


「桜。まず、桜は4年間、ずっと、眠ってたんや。時の流れの影響を受けずに。

だから、ほんまは4歳やけど、ちゃうんや」


湊は一呼吸おき、


「まだ、0歳のままなんや」


違う。今、桜は6歳だ。


それに、眠っていたとはどういうことだ。


桜はちゃんと異界に行って、バラバラになってしまった皆のことを探していた。


眠りほうけているはずがない。


たくさん聞きたいことがあるのに、口は動かない。


「今言ってもどうしようもないのはわかってる。

でも、でも、伝えないと、だめな気がするんや」


湊の顔が、苦しげに歪む。


そんな兄の顔は見たことがなかった。


いつだって湊は楽しそうに笑っていて、桜のことを優しい瞳で見つめてくれて、兄として、渚冬には勝てないが、凄く凄く尊敬する存在でーーーー


「桜には、俺以外にもう一人、お兄ちゃんがいるんや。

渚冬っていう、俺の3個上の兄ちゃんでな?」


そんな分かりきったことを、どうしてそんなに辛そうな顔で言うのだろう。


「俺なんかより、何倍も、何十倍も、何百倍も凄い兄ちゃんで……」


どうして、桜も十分に知っていることを言っている湊の目に涙があるのか。


「今は……何処か、違うとこに、いるんやけど、いつか絶対、桜にも、会わせ、るん、や…」


その体が力なく前方へと揺れ、そのまま倒れる。


稲荷家の床、寒くないようにと、毛布にぐるぐるに巻かれて寝かされている0歳の桜の横に、倒れ込む。


「凄い、優しい兄ちゃんで……、氷鬼なんて、言われてるけど、渚兄が、そんなはず、ないんや」


優しいことなど知っている。


氷鬼なんて呼び名が偏見なのも知っている。


それなのに、どうしてそう説明する湊の声が震えているのか。


耳元で、弱々しく声が響く。


「ホントは、渚兄は、

…………水の、権能のはず、なんや」


桜の記憶が、蘇る。


兄は、氷の権能じゃない。


「渚兄は、夕星君のこと、傷つけるはずが、ないんや」


そう、渚冬には、夕星という名前の親友が、いた。


そうだ。かつて、同じように湊から説明を受けた。


それなのに、何故忘れていた。


「渚兄は、多分、俺達を守るために、人間界にーーーー」


守るために。


それはもはや、湊自身に言い聞かせるような言葉だった。


うつ伏せに桜の横に倒れ込んでいる湊の顔は見えない。


でも、凄く悲しい顔をしているのが分かる。


泣いているのが、分かる。


分かって、しまう。


「いつか、絶対」


苦しげに、紡がれる言葉の中に、


「渚兄に、会いに行ったる」


決して揺るがない覚悟が見えた。

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