第17話 白黒地面・正面突破
高校1年生、15歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
「あれ、城じゃないかしら」
「ぽいですね!!」
「私も城に見えるわぁ。
すごーく豪奢ね〜、観光しに行きたくなっちゃうわ〜」
「………瑠依様っていつもそうなんですの?」
「えぇ、まぁ……」
耳打ちする志乃に葵は渋々頷く。
渚冬と乗っ取られた実行任との争いの場から随分離れたとある街の一角。
志乃達は城を探して右往左往していた。
「フツーに行ったらダメなの?」
「城の前で待ち構えてるかもしれないし、何らかの罠があるかもしれないわ」
桜の疑問に対し、頭に手をやり応える志乃の顔には疲労が滲んでいた。
「そんな原始的な事するんですか……?
権能が使えるのに…?」
「妖魔はよくそういう事するのよ」
「な、成程……?」
「でも、抜け道を見つけたところでそこもどうせ罠が、張られていそうよね。
どうすれば良いのかしら」
「もうふつうに行っちゃいますか?罠があったらそれはそれってことで…」
「大人しく罠にかかって敵に命を握らせるってことかしら?
それはいただけないわよ。」
「うーん、じゃあどうします?」
その頃後ろでは桜と瑠依があっちむいてホイを始めている。
桜は年齢的に幼いが姉の瑠依が妹を差し置いて遊んでいて良いものなのだろうか。
「ねーーお姉ちゃん、何かいい案ないー?」
「そうねぇ……
とりあえず行ってみて、罠があったらなんとかすれば良いんじゃないかしら?」
「それができなさそうだから困ってるんだよ」
当たり前すぎることを言われ、逆に他の言葉を紡げなくなる。
今は命がかかった話をしているのに、ずいぶんと呑気なものだ。
「でも、そうよね。
こちらがいくら工夫したって罠は見抜けないし、どうしようもできない……
逆に正面突破した方が良いのかしら」
「えぇ…、それで良いんですか?」
「相手のことを深く知らない限り仕方のないことだわ」
志乃の冷静かつ的確な判断に全員が納得する。
「そう遠くなさそうなところにあるし、まぁ、小走りでいきましょうか」
「そうですね」
「さんせーい」
「分かったわぁ」
そうしてまだ地理的なことが分かりきってない異界の中を、城だけを目印に走り出すのだった。
「凄く和風な城、ですね」
「西洋って感じではないわよね〜〜」
「問題は何処にどんな罠が仕掛けられているか……
パッと見、異常はないわね……
残念だけど、罠の有無や種類は見抜けなさそうね」
目の前には大きな城。
石垣こそないが、それ以外は葵のよく知る戦国時代に建てられた城と酷似していた。
しかしどこか禍々しい雰囲気を放っているような気がするのは気の所為だろうか。
城の敷地内と外は、地面の色で一目で分かる。
こちら側が、コンクリートの黒。
城側が、細かい砂利の色の白。
意図せず、境界のようになっていた。
これがもし何らかの推理ゲームであるなら、裏を読んで黒いほうが安全だと葵は推測しただろう。
それと同じなら、城側は危険ということになるのだが。
いつだって、安全そうに見える道のほうが危険を孕んでいるのだ。
「全員、権能を使える状態にしてあるわよね?」
振り返った志乃が静かに問いかければ、
「はいっ!」
「もちろんよぉ〜」
「ジュンビマンタン!」
3人分の威勢の良い返事が返ってくる。
志乃は口元に薄っすらと微笑をたたえた。
「何もなければいいのだけれど……
何か襲ってきたら、瑠依様。
私達を捕えるものなら葵様。
未知のものは桜様。
私はどのタイプの罠でも全力を尽くすわ。」
「頼もしいわね〜!」
「執行人ですもの。
これくらいはできなければ務まらないでしょう?」
胸を張って見せる志乃に瑠依は拍手する。
「かっこいいわぁ!!
私もいつかーーー」
「お姉ちゃんは危ないし務まんないから駄目。」
「そんなぁ〜!」
無謀な夢を抱く姉をたしなめ葵は前を見据える。
思い出せば足は竦む。
でも今は1人ではない。
頼もしい仲間が3人もいる。
だから、今度こそ、きっと、大丈夫なはずだ。
「行くわよ!!」
志乃の掛け声に合わせて全員が白と黒の境界線を駆け抜けた。




