第15話 丸焦げ回避
高校1年生、15歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
前回投稿めっちゃ間違えててごめんなさい!
「逃げましょう!」
声の限り叫んだ葵の声を合図に全員が走り出す。
「させるかよぉ!!」
「きゃ…!」
「ッ、お姉ちゃんっ!!」
振り向けば、一番走り出しの遅かった瑠依の体に靄の縄のようなものが絡みつき、拘束されていた。
「させないよ!!」
葵の悲痛な声に振り返った渚冬がその手から家の柱ほどもある氷矢を放つ。
氷矢は真っ直ぐ怜央を射抜き、瑠依に巻き付いていた縄が緩まる。
「お姉ちゃん!権能!!使って!!」
「でも火事にーーー」
「命優先!!
火事になってもいいよ今は!」
まだ呆けたことを言っている姉のそばに駆け寄つていった刹那、
「うおわっ!!」
瑠依の体の周りを炎が取り巻く。
葵は危ういところで紅蓮の炎を避ける。
炎の中から出てきた姉は所々黒い靄の破片を身にまとい、髪の一房に炎を燃やしていた。
「あっぶな!!
私まで丸焦げになるとこだったよ……?!
しかも、お姉ちゃん、髪に、火付いてるし!!」
「だって、権能使えってあおちゃんが……」
「ハハッ、半端者は威力も半端ってか、笑えるなぁ?
そんなことで俺を止められるわけねぇだろうがよ!」
「ここは僕に任せて!
皆は雅を探しに行ってくれ!」
葵と瑠依の前に立ち、庇うように両手を広げる渚冬に葵は賛同できなかった。
「でもっ……!」
「1人は危険よ、渚冬様!
多分怜央は妖魔に乗っ取られてるわ!!」
「なら余計にです!!
ぼくなら行けます、志乃さま、どうか妹と葵ちゃんと、瑠依ちゃんを……っ!」
「無駄話してる暇あんのかよ、おい?」
黒い靄が数を増す。
雅の時のトラウマが蘇った葵の足が震え始める。
自分じゃ絶対に叶わない。
本能的にそう感じる。
襲いかかる黒い靄。
渚冬は氷のバリアを張って全て受け流す。
「早く!!行ってください!」
額に汗を浮かべ絶叫する渚冬に志乃は拳を握った。
「っ、死んだら許しませんからね!
葵様、瑠依様、桜様、行きますよ!!」
覚悟を決め、怜央と渚冬とが争う場所と反対方向に走り出そうとする志乃のそでを引っ張ったのは桜だ。
「いやっ、渚兄が!!」
「お兄様なら大丈夫です。
あのお方は強い。
権能も、………心も。
だから、行きましょう。あなたのお兄様を、信じましょう。」
葵とて同じ思いだった。
渚冬を一人にするのははばかられる。
しかし、自分1人あの場にいただけではお荷物になるだけだと分かっていた。
せめて志乃と共に戦ってほしい。
しかし、此の後、本戦が待ち受けている。
雅を奪還するには2人の妖魔と戦わなければいけないはずだ。
葵と、瑠依と、桜。
3人だけで妖魔二人を倒せる気はしない。
あの二人の恐ろしさを眼前で見た葵だからこそ、この選択に口出しできない。
「行きましょう、桜様。」
「……わかった。
後で渚兄のことたーくさん怒ってやるもん」
「……私も少し言おうかしら」
遠い後ろで爆発音が聞こえる。
戦場は葵達を巻き込まないよういつの間にか遠ざかっていた。
攻撃の残滓さえ届かぬほど遠い場所で、渚冬は1人で戦っている。
そう考えれば、今すぐ駆け寄りたくなる。
でもそれでは渚冬の、選択を、覚悟を、水の泡に帰すことになる。
氷が砕ける音が、建物が崩壊する音が、葵達の耳に割り込む。
それを無視して進むことの辛さは全員が共有している。
「行きましょう」
志乃の静かな、しかし様々な感情が滲んだ声に押され、葵達は渚冬とは反対方向へと、走り出した。




