第1話 This is ラーメン!!
高校1年生になりました天音雫です!
変なタイミングで番外編を挟んでしまい、投稿遅れてすみません!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
今年は辰年ですが、卯年の執行人とか出てきています。この物語独自の時系列ということで解釈していただけるととても嬉しいです。すみません。
「渚兄と桜、今頃何してるんやろーなぁ」
湊は、ラーメンを啜る手を止め、思わず呟いていた。
熱気のこもった店内のカウンター席に座り、味噌ラーメンを食べていた湊は、関西にすっかり馴染んでいた。
もともとかなり幼い時に既に一度、関西で修行をしたのでこれが二回目の修行である。
そしてさらに、
「何か考え事か?
あんま思い詰めんのは良くないでー湊君!」
自分に様々な知識を授け、神主のいろはを教えてくれる相手も、一回目と同じ、人間の師匠の、白﨑慧人であった。
慧人は湊が神であることも、時雨夜の存在も知らない。
神が神社の神主になる為の修行をするにあたって、存在を明かさないことは絶対厳守のルールだった。
一回目、まだ10歳にもなっていない頃、湊は人見知りながらにこの白﨑慧人の管理する神社に修行に行き、様々なことを教えてもらった。
そうするうちに、慧人になつき、見事に関西弁に染まって渚冬の元へ帰った。
久しぶりに再会した兄に、
『渚兄!!ずっと会いたかったで!』
と笑いかけた時の、あの兄の衝撃を受けた顔は今でも鮮明に覚えていた。
そんな、湊を関西弁に染めた慧人とは、もう何年も会っていなかったため、
『気まずいんちゃうん……?』
と湊は危惧していたが、そんなことは全く無かった。
慧人は、湊が鳥居を潜って、挨拶しようと口を開きかけた瞬間に、
「湊君!久しぶりやな!随分身長伸びたやないか!
え、何cmになったん?俺もしかして抜かされてしもうたかもしれん!」
と肩をバシバシ叩きながら笑っていた。
慧人とは歳がちょうど10歳離れていたが、慧人は、
『敬語なんて使わんくてええで!』
と言って無理矢理敬語封印をさせたため、その名残で湊はすぐに、
「久しぶりやなぁ、慧人の兄ちゃん!俺、今は175センチやけど、まだまだ成長中やで!」
と返す事ができ、湊は、変わらないもんやなぁという感慨を抱きつつ、意外と強く叩かれ続ける肩の痛みに少しばかり顔をしかめた。
気まずくならなかった安堵感に胸を撫で下ろしつつ、暫く談笑して、”かっぷらーめん“について教えてもらった湊は、余りの便利さに驚きが止まらなかった。
お湯を入れて3分待つだけで、カチカチの麺が柔らかく美味しくなるなど、時雨夜にいた時には想像もできなかった。
時雨夜では有名な、人間界の3代文明(車、飛行機、船)の中にカップラーメンを入れて4代文明にしたほうがいいのではと思うほど、湊は感動していた。
初めてカップラーメンについて聞いて感動した湊に、慧人は湊を”かなりのラーメン好き“と解釈し、翌日関西でも有名なラーメン屋へと湊を連れて行き、今へと至る。
湊は実際にカップラーメンを見てみたい気持ちもあったが、ラーメン自体が時雨夜にはないのでこちらはこちらで感動していた。
美味しさに感動しつつ、舌を火傷しつつ、ラーメンを食べていた湊が不意に思い出したのは唯一無二の家族、渚冬と桜のことだった。
ただ、二人にもラーメンを紹介して食べさせてやりたいもんやなぁなんて考えていただけだったが、ホームシックになったと勘違いされ、
「何か考え事かい?あんま思い詰めんのは良くないでー湊君!」
という前述の言葉と共に頭を撫でられた。
「いや子供ちゃうわ!
別に我が家が恋しくなったわけちゃうで?
まだ関西来て2日目やしな!」
「湊君……もう立派な神主になるから堪えなあかん、とか思わんでええんやで……?」
「いや堪えてへんわ!
慧人の兄ちゃんのその勘違いが修正されにくいの何とかならへん?!」
湊の頭を撫で続け、眉尻を下げて優しそうな目で、
「ほら、ラーメン伸びるから早よ食べ。
俺ならずっとここにおるから……」
「いやだから……っていうかラーメンって伸びるん?!え、仮に5分放置したら、何m伸びるん?!」
ラーメン屋で周りでその会話を聞くものさえも笑わせてしまう、和やかな会話を交わす湊は、桜が呪いにかけられたことも、魔呪祓い屋の爆発騒動も、葵と雅の邂逅も、何一つ知らなかった。
[ 修正点 ]
稲荷ぐるみは仮の姿です1に、渚冬と湊は双子の兄弟であると誤って記載していました。
正しくは年の離れた兄弟でした。
申し訳ありません。稲荷3兄弟の現在年齢を下に記載させていただきます。混乱を招いてしまい申し訳ありませんでした。
稲荷 渚冬 20歳
稲荷 湊 17歳
稲荷 桜 6歳