四十九話 運動後のご飯は至高
無事? に体力テストを終えた(シャトルラン? なにそれ美味しいの?)俺たちは午前の授業を終え、お昼ご飯を食べていた。
いつものように二人で食べようと凪が席にやってきた時、俺は切り出した。
「なぁ、凪と千夏さんって本当にただのいとこなのか?」
そう、俺はそれが気になり過ぎて残りの午前の授業に全く集中出来なかった! このままでは午後の授業にも支障をきたしてしまう!
「と言うわけで単刀直入に聞いてみたわけだがそこんとこどうなん?」
「な〜にが『と言うわけで』だよ。要するにただ揶揄いたいだけだろうが」
「そうだぞ」
「くっ…純度百パーセントの悪意を感じる……」
まぁ俺以上に純粋なやつはそうそういないしな。
「さぁ、キリキリ吐きやがれ」
「はぁ……まぁいいけどさ。本当にただのいとこだよ」
「本当に?」
「本当に」
「ホントのホントに?」
「ホントのホントに。っていうかそもそも波が嘘とか隠し事ができる性格に見える?」
「いや全然」
早速前言撤回。純粋さで千夏さんに勝てるわけ無いのである。
「そういうことだよ」
「なぁ〜んだ。つまんね〜の」
「そんなの探って楽しい?」
「楽しい! ……だって現在進行形で恋バナすることなんて滅多にないし」
そう、俺は情報網が狭すぎるが故に噂が回って来るのが他の人より半年くらい遅いのだ。
そんな状況でくっついただの離れただのいった話題についていける訳無いのである。
……くっついた情報を入手する頃には当のカップルが別れてるなんてことザラだしね。
そして凪よ、俺に憐憫の目線を向けないでくれ。心が折れるから。
「波って本当に純粋というか天然と言うか……こっちの身にもなって欲しいよね。外でも容赦なくスキンシップしてくるし、一緒に寝ようとか今でも誘って来るし……そこに邪な気持ちが一才無いのが本当に…………」
うわぁ、なんかやさぐれてる。普段温厚な凪がこんなになるなんて珍し……いやガチャで爆死した後大体こんな感じだな。
「しかもどっちも両親が現状を容認してるせいで断ろうにも断りずらいし……こっちの気持ちには全然気付かないし……」
「ん?」
「あ」
聞き捨てならぬことが聞こえてきましたなぁ!
「凪さんや……お主は千夏さんの事が好きなのかね?」
「確信した上でニヤニヤしながら疑問形で来るのめっちゃ腹立つ」
「で、真相のほどは?」
「あぁそうですよ僕は波のことが好きですよこれで満足かコノヤロウ!?」
「声でかいぞ〜」
「ハッ!?」
勝手に自滅している馬鹿ハ一旦放っておいて周りの確認をば……うん、聞いてた人はいなさそうだね。当の千夏さんは……なんだあれ!?
視線を向けた先にあったのは三段の重箱の蓋を開け目を物理的に輝かせている千夏さんだった……よだれ垂れてる。
にしてもすごいなアレ。作る方も大変だろうけど食う方も相当だぞ。いかに運動好きといえど絶対太るよね……あぁ、そういうことか。そこに行ってるんですね。なるほどなるほ……
「ケイ?」
「ヒエッ」
恐る恐る凪に視線を戻すとそこには真顔でこちらを見てくる凪の姿が……あっかん、ハイライトさんが仕事を放棄していらっしゃる。
「波を狙おうなんて思って無いよね?」
「な、ないないない! 俺星影さん一筋だし」
「本当に?」
「本当に!」
「ホントのホントに??」
「ホントのホントに!!」
そういうとわかってくれたのか表情を笑顔に戻す凪……よかった機嫌なおって。
「僕も親友を手にかけたくはないからね」
ごめん全然良くなかった。笑顔でそれ言われると洒落にならないから。
「冗談じゃないよ? 本気だよ?」
「サラッと人の心を読むなぁ!!」
三ヶ月もお待たせしてしまい申し訳ありませんでしたぁ! と言うわけでお久しぶりの笠見です。
もう言い訳もなにもありません。精進するのみです。頑張ります。
因みに『題名の割に弁当の描写無さすぎるだろ!』というご指摘は受け付けていないので悪しからず。




