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四十六話 ダイエット計画始動!!

「ゼェ…ゼェ…」


 すでに日が落ちた後、人のまばらな土手の上。金曜日の午後とはいえすれ違う人はみんなランニングか犬のお散歩で、幅がお世辞にも広いとは言えない道でも、障害はないに等しい。


 そんな道で俺と星影さんは二人でランニングをしていた。理由はもちろん、星影さんのダイエット計画の為である。いや〜お嬢様の計画にわざわざ付き合ってあげてる俺、やさし〜。


 まぁ最近俺も運動不足だったからね。ちょうどいい機会ではあったから付き合っているのだが……一つ納得いかない事がある。


「ゼェ…ハァ……」

「啓? 大丈夫? そろそろ休憩入れようか?」


 そう、俺の息はめちゃくちゃ上がってるのに、隣を走っている星影さんは全くと言っていいほど疲れていないのである。


「お願い…します」

「じゃあそうだね…あ、あそこのベンチ行こうか」


 そうして、土手を降りたところにあるベンチに移動して腰を下ろし、水分補給をしようとしたのだが…


「あ、もう空になってる」


 結構走ったこともあり、持ってきた水筒の中身は既に無くなっていた。


「ほんとだ、じゃあなんか買ってこようか?」

「その申し出はありがたいんですけど…ここら辺の店把握してないんですよね」


 気づいたら結構遠くまで来ていたようで、周りの風景はそこまで見覚えのあ

るものでは無かった。どこにどの店があるのかよく分からない状態でこんな夜中に星影さんを一人で行かせるのは少々危うい。


「あ、あそこに自販機あるじゃん。あそこで買ってくるよ」

「あ、ほんとだ」


 暗闇に紛れて気付かなかったが、少し先に自販機が淡く光を発して佇んでいた。


「じゃあお願いします」

「任されました、って事ではい」

「ん?」


 急にこちらに手のひらを差し出す星影さん。どうしたのだろうか?


「財布。私持ってきてないから」

「えぇ…俺が持ってなかったらどうするつもりだったんですか?」

「そんなこと考えてないよ。だって信じてたし」

「その信用嬉しくねぇ…って言うかただの他力本願でしょうに」

「細かいことはいいの!」

「はいはい」


 そんな悪態をつきながら財布を星影さんに渡す。すると星影さんはダッシュで自販機のところに向かった。……一体あの細い体のどこにあんな体力が? あ、もう戻ってきた。


「はいスポドリ、私の分も勝手に買ったけどいいよね」

「ありがとうございます……え?」


 なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたのだが……まぁいいか、買ってきてくれたし。


 一刻も早く水が飲みたかった俺はそうやって思考を打ち切り、乾いた喉を潤していく。はぁ〜生き返るわ〜。


 そして口を飲み口から外し、ふと横を見ると同じようにスポドリを飲む星影さんの姿があった。


 普段見ないなんの変哲もないジャージも、この人が着たらすごく映えて見える。そしてさっきダッシュしたからかところどころに汗が浮いており、それすらも星影さんを引き立てる一要素でしかない。


 こういうときに、ふと『あぁ、本当に俺は星影さんの事が好きなんだなぁ』と実感する。


 急に同居することになって、今まで知らなかった色んな事を知った。食いしん坊で、ぐうたらで、家事は本当に一切手伝ってくれないし、いつも急に何かを振ってくる。よくない面もいっぱい知った。


 でもそれ以上に、おいしいと言ってくれる時の笑顔、時々言ってくれるありがとうの言葉、本気で注意した事はちゃんと守ってくれるし、無理難題を言ってくることもない。急なトラブルだってこの人とだったら日常の中の楽しいスパイスだ。この生活が始まってから、俺の星影さんへの気持ちは今まで以上に大きくなっている。


 だからこそ、時折不安になる事がある。急に始まった同居生活、星影さんも何も思わなかったわけじゃないだろう。いくら家事をしてくれると言っても、相手は最近振ったばかりの男で、でも彼女はいつも楽しそうに笑ってくれる。


 その心のうちを知る事は決してできない。たとえ直接言われたとしても、その全てを知る事は他人である以上絶対に不可能だ。俺はちゃんと星影さんにもらった分のものをちゃんと返せているのだろうか、と考える時もある。


 だからこそ、この生活を目一杯楽しみたい。星影さんもきっとそれを望んでくれているだろうから……まぁ今でも十分過ぎるくらい楽しいんだけどね。


 そんな事を考えているうちに時間は思ったより過ぎていて、結構体の疲れも取れてきた。


「じゃあそろそろ引き返しますか」

「そうだね。もういい時間だし」

「そういやどれくらい走ったんだろう…」

「あ、やめといた方が……」


 なんか星影さんが言っている気がするがとりあえず地図アプリを開いて家までの距離を調べて……え。


「じゅ、11キロおおおぉぉぉぉ!?!?」

「だからやめといた方がいいって言ったのに」


 そう言う星影さんの手にあるスマホには同じアプリの画面が。どうやら先に調べていたらしい。


「往復22キロって…実質ハーフマラソンじゃん!!」

「はいはい、嘆いても家までの距離は変わんないんだからちゃっちゃと行くよ〜」

「はい…」


 まぁキツイのは確かだけど、この人と一緒ならなんとなく苦ではない気がした。




 因みに次の日無事? 全身筋肉痛に苛まれた。…………次の日土曜でよかった……………………

 はい…気づいたら前回の更新から一ヶ月半が経過していました……ごめんなさい。


 これからは本当に! 気をつけて! 行きたいと思います!(前科ありすぎて信用ゼロ)


 ps:最近試しに5キロ走っただけでズタボロになって体力の衰えを感じました……

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