四十話 朝っぱらからハプニング?
無事学校につき、靴箱へと向かう。ここら辺は中学校と変わらないなぁ。因みに靴箱の順番は出席番号順に左上から↓↓↓↓…といった感じ。
特筆すべき点があるとすれば近くの一年生と思われる人たちの雰囲気だろうか? どこか浮き足立ってるというか…落ち着きがないというか……
まぁ入学2日目で落ち着けと言うのが無理な話だ。かくゆう俺もそわそわしている。…星影さんのことがバレないかの不安で。
とりあえず靴を変え、教室に向かう…
ドサドサドサ!
ってなんだ!? 同じクラスの靴箱からか?
そう思い音の下方向に視線を向ける。そこにあったのは、開いた靴箱の下に広がる複数の便箋と……
その前に立ち尽くす星影さんの姿だった。
あの人何やってんの!?
…いや違う。たしかになんで違う電車で行こうって約束したのに、というか普段の星影さんの準備スピード的に絶対に間に合わないはずなのに俺と同じ時間帯に登校していることは咎めないと…というより確認しないといけないけども!
あれだけの音だ、もちろん周りの人も気づいている。複数の視線が星影さんに向けられ、内容はわからないがヒソヒソとした話し声も聞こえる。当の星影さんはどうしていいのか分からないようで立ち尽くしている。……ああもう!
思わず俺は星影さんの元に駆け寄っていた。出来るだけ関わりを持たないようにしようと思っていたのに。こんなことしたら噂になってもしょうがないのに。
それでも足を止めることは出来なかった。一刻も早く、星影さんのあの表情をやめさせてあげたかった。
この感情はエゴなのだろう。心のどこかではわかっている。それでも、動き出すにはこの衝動だけで十分だった。
「星影さん? 大丈夫ですか?」
まぁここは有能な白原くん。動揺しているが前回のように『お嬢様』と言いかけるミスは犯さない。やればできる子なのである。
ハイ、嘘です。動揺が一周回って逆に冷静になってるだけでーす。
「え? あ…け、啓?」
うわー星影さんめっちゃ動揺してる。『啓』って言っちゃってるし、すっごくいじりたいけど我慢だ我慢。
「とりあえずこれ拾いますか?」
「あ、うん。そうだね」
「手伝いますよ」
「あ…ありがとう」
キョドってる星影さんかわいい…じゃなくてだね! …結構多いなぁこの便箋。二桁はあるし。……これそういうことだよなぁ。はぁ。
『どういうつもり?』
そんなことを考えていると星影さんが話しかけてきた。声を抑えているということはこうしろってことだよね。
『どういうつもり、とは?』
『そのままの意味。バレたくないんじゃなかったの?』
『まぁバレたくはないですけど、それとこれとは話が別でしょう?』
『あ…ありがとう』
『二回目ですよ』
『…うっさい』
そう言ってしゃがんで拾っていたのが終わり、星影さんはピョンと立つ。
「白原くん、ありがとうございました! どうせならこのまま教室まで行きましょうか!」
!?!?!?
なに言ってんのこの人!?
『ちょ、なに考えてんですか!?』
『え〜いいじゃん! 周りの人にも聴こえちゃったし、これで断る方が失礼じゃない?』
『え』
さりげなく周りを確認すると、そこにはこっちに突き刺さる数多の目線が……というより『聴こえちゃった』じゃなくて『聴こえるようにした』の間違いだろ!
『ね?』
『分かりましたよ…』「それじゃあ行きましょうか」
「うん」
そう言って微笑む星影さんは、間違いなく今日見た中で一番楽しそうだった。
FG◯に周年イベント来ましたね。忙しくなりそうですがこっちも頑張ってやっていきます。




