三十六話 イケメン襲来
そのあとは今後の学校生活についての簡単な説明や、ちょっとした交流会をした。
毎回やりながら思うんだけど、あの喋らないで誕生日順に整列するやつって何が楽しいのだろうか? 別に指で示したら間違えないと思うんだけど…
と言うわけで今日の日程は昼前で終わり、今は帰りのHRをしている。ちょうど終わりそうだ。
「それじゃあまだ学級委員長が決まっていないので…朝霧くん、号令をお願いします」
「わかりました。起立…礼」
『ありがとうございました』
やっと終わった…午前中で終わりはしたが、やはり一大イベント。結構気疲れした。
一安心して思わず伸びをしていると、スマホに着信があった。見ると、星影さんから『この後一緒に帰らない?』ときている。
因みに星影さんの連絡先は中学のグループ活動の時に入手済みだ。……まぁほとんど使わなかったケド。
とりあえず『見られたら嫌なので遠慮します』と返してみる。俺も一緒に帰りたいのはやまやまだが、リスクがでかい気がする。
「お疲れ〜」
「おうお疲れ〜」
そうしていると、凪が帰って行った。元々は方向一緒だったけど、もう真逆なんだよなぁ。少し寂しい。
そんなことを考えていると、また星影さんから着信があった。見ると『今日はみんな親と帰るんだから大丈夫でしょ』ときている。
そういや今日は父兄向けの説明会もあるんだったなぁ。親いないから忘れていた。
そう思い周りを見てみると、もう教室には俺と星影さん、あと平坂先生しか残っていなかった。
まぁそれならいっか。こんな機会そうそう無いし。そう思い星影さんの席に向かう。
「それじゃあ帰るか」
「そうだね〜…よし! 帰ろう」
そう言って星影さんが席を立とうとした時……
ガラッ
「すいません、星影さんはいますか?」
なんか爽やかイケメンが来た。
そのイケメンは見た感じ上級生らしい。ほとんど一年生は帰ってるしね。だが、入学初日に星影さんに用事とはどうしたのだろうか?
…まさか告白!? いや別に星影さんの可愛さを持ってすれば入学初日に告白されても何もおかしく無いんだけど!
「あ、いたいた。ちょっといい?」
そう言ってこっちに向かってくる爽やかイケメン。思わず間に割り込み…
「すいません、お嬢様に何かご用ですか? というか、どちら様ですか?」
「あ、ごめんごめん。自己紹介が先だったね。俺の名前は 北川 悟。この学校の生徒会長をしている」
へ? 生徒会長?
「あれ、覚えてないかい? 在校生代表で挨拶したんだけど…」
やべ、星影さんショックで覚えてないや。
「というより君は? お嬢様って言ってたけど…」
「あ」
そこで俺は我に帰った。そして自分の言動を整理してみる。
初対面の上級生に対して明らかに失礼な言葉遣い。相手は生徒会長で、俺がそのことがわからないということは在校生代表挨拶をきちんと聞いていなかったこと。
…そして極め付けは、星影さんを『お嬢様』呼び。
やらかしたあああぁぁぁ!!!
まずいまずいまずい! え、どうしようこれ。もしかして取り返しのつかないことを…
と俺が真っ青になっていると…
「あっはははははは! あはははは!」
星影さんが腹を抱えて笑い出した。
「あ〜おかしっと、会長。どうなさいましたか?」
「あ、あぁ。生徒会への勧誘でね。うちでは毎年、成績優秀者を生徒会に勧誘するのが慣例になっているんだ。というより、さっきから顔真っ青だけど彼は大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。後でどうにかするので」
「ならいいんだが…因みにだが、彼とはどんな関係なんだい?」
「従者…みたいなものですかね。会長が私に告白しに来たんだと勘違いしたんじゃ無いですか? で、間に割って入ったと」
「そうか。えっと…別にさっきのは気にしてないし、俺には彼女がいるから。」
気遣いが心に刺さる…
「こちらこそ、すいませんでした…」
「そうだ、君の名前を聞いてもいいかい?」
「白原 啓です…」
「教えてくれてありがとう。星影さん、どうかな? 悪い話じゃ無いと思うんだが…」
「そうですね……特に入りたい部活もないですし、大丈夫ですよ」
「ありがとう。じゃあ早速生徒会室で業務についての説明をしたいんだけど、親御さんとかは大丈夫かい?」
「大丈夫です。今遠くにいて、今日来ていないので」
「そうか、では早速。直ぐに終わるから」
「分かりました。啓、ちょっと待っててね」
そう言って星影さんは教室を出て行った。そして去り際に耳元で一言。
「啓のバーカ」
う、うっさいわい!
球技大会あったんですけど、おかげで筋肉痛です…指は動くから投稿はできたよ。ヤッタネ!




