二話 急すぎる展開
な、なんだってえええぇぇぇ!?
「いつ出発?」
「冷静だな......」
まあこんな程度で取り乱すわけにもいきませんしね。もうコーコーセーですよ、コーコーセー。
「出発は明後日だ」
「ハアアアアアァァァァァ!?!?!?」
「お、取り乱した」
そりゃ取り乱すよ!
「こういうのってどんだけ早くても一週間前には伝えるでしょ!?」
「何故?」
「いや......心の準備とか......別れを惜しむというか......」
「そんなこと俺らがするか?」
「しないね」
「だろ?」
この父にしてこの俺あり、である。
「にしてもアメリカってどしたの?」
「ああ、なんかうちの会社が海外に支社を作るらしくてな、その関係だ」
これでも我が父上は『部長』、結構偉いのだ。まあ田舎の支社のだけど。
「じゃあ結構帰って来れない感じ?」
「そうだな。年に三回帰って来れたらいい方だろう」
「ほえー」
「もちろん母さんも一緒に行く」
まあ父さん全然家事できないしね。この人を一人暮らしさせたらどうなるかは目に見えている。
だからといって母さんは専業主婦というわけでもない。父さんの秘書みたいなポジションで働いている。出会いもその時らしい。まぁ親の恋バナ聞かされて喜ぶ子供は少数派だろう。......とそれよりも当の母さんがさっきから微動だにせんのだが?
「母さん?大丈夫?」
「えっ。な、何?」
本当に大丈夫だろうか?
「さっきからぼーっとしてるけど」
「あ、あぁ大丈夫。予想の3倍夫と息子がドライで驚いてただけだから」
そんなにドライだったかね?
「まあ母さんのことは一旦置いといて」
おい父上。
「というわけでお前はこれから一人暮らしをすることになるわけだ」
まあそうなるよね。急に外国に行くのもいやだし、頼れる親戚は県内にいないし、姉上今県外の大学で一人暮らしだし。
「まあ、お前を一人暮らしさせるのにあたって不安はないんだが......」
うちは共働きだからね、俺も家事は一通りできる。浪費癖もないし、仕送りさえしてもらえれば食っていける。最悪能力使えば飢え死にはない。住む場所はここ使えばいいしね。
にしても高校生にして一人暮らしか......
「まぁこっからが本題だ」
......ん?あれ、山場こっから?
「支社を作るにあたっていくのはもちろん俺だけではない」
そりゃそうだよね。ウンウン。
「そしてその一緒に行くうちの一人にお前と同級生の娘さんがいてな」
ほうほう、それで?
「その子も一人暮らしをすることになるんだが、その子は家事ができないそうなんだ」
なるほどなるほど。あれ、なんか雲行きが怪しいぞ?
「そこでだ」
「いやです」
「まだ何も言ってないぞ」
「だってその話の流れでろくなことになる訳ないじゃん!?」
「まあそうだが」
「おい」
何この父親。
「そこでお前に住み込みの家政婦をしてもらいたいそうだ」
やっぱそうだよね、家事を手伝って欲しいとかそういうふうな話だよね。ん? 『住み込み』? 聞き間違いか? 一応確認を......
「父さん今『住み込み』って言った?」
「ああ、言ったぞ」
聞き間違いじゃなかった......
初めてブックマークがつきました。とても嬉しかったです。具体的にいうとベッドの上で飛び回るくらい。
とあるゲームで、芸術は人に鑑賞されてこそ云々、みたいなセリフを見たのを思い出しました。モチベ急上昇中です。
頑張ります。
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