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二十八話 真剣になるはずだった話し合い

 ゴクリ


「光のことよ」

「というと?」

「まず聞くんだけど…」


 な、何を聞かれるんだ…


「光に手は出していないわよね?」

「へ?」


 ごめん何言ってんのかさっぱりわからん。


「だから、光に手は出していないわよね!? 二度も言わせないでよこんなこと!」

「……あ、え? え、えええぇぇぇ!?」


 さすがに二度も言われ、赤面する八重さんを見たらいやでもその意味がわかってしまい俺は思わず大声が出てしまった。


 顔から火が出そうなほど顔が熱い。おそらく今繰り広げられいる光景は付き合ってもいない男女が別の人の話題について話しているにも関わらず互いに赤面しているという本当に訳の分からないものだろう。


「で、出したの!? 出してないの!?」

「だ、だだだ出してないに決まっているでしょ!?」


 まずい、テンパった結果嘘でもついているかのような返答を…


「そう。ならよかったわ」


 あれぇ〜? テンション戻るの早すぎません? というより…


「そんな簡単に信じていいんですか?」

「何? 疑ってほしいの?」

「い、いえいえ滅相もございません!」


 なんかさっきから色々と温度差が酷くて風邪ひきそうなんだが…


「まぁ別に光の様子見たらすぐにわかるわよ。何年親友やってると思ってんの?」


 いや俺に聞かれても。


「にしてもヘタレねぇ〜あんた。あんなにかわいい女の子と一つ屋根の下で暮らしてるってのに」


 う、うるせえやい! ……まぁお嬢様が可愛いのは全面的に全力で全身全霊で同意するが『これを人は3Zと呼ぶ!(嘘)』。


「それに光って公私の差と言うか、オンオフでの差があまりにも激しいじゃない。よく我慢できるわね」

「そ〜なんですよねぇ、注意したこと全然守ってくれないし、無防備だし、スケジュール管理ガバガバだし。八重さんがくることなんて今日の九時前ですよ教えられたの。でも、可愛いからついつい許しちゃうんですよね〜」

「そ〜なのよ。初めてここに遊びにきた時は本当におどろいたわ。家の大きさもそうだけれどそれ以上に光の甘えっぷりがすごくてね。ずっとくっついてくるし、わがままばっかりだし、どこか気が抜けてるのかいろんなミスするからフォローも大変だし。でも、可愛いからついつい許しちゃうのよね〜」


 そんなことを言い合った俺たちは、気付いたら固い握手を交わしていた。ここに『星影光天然ぽわぽわモード被害者の会』が発足したのである!


 まぁ文句を言いながらも緩み切っている頬を見るに本当にお嬢様のことが大好きなのだろう。


「そういやあんたって光に告白はしてるの?」

「卒業式の時にしましたよ。まぁ恋愛とは距離を置きたいって言われて振られましたけど」

「そう…あ、じゃあもう未練がないから手を出してないの?」

「いいや未練たらたらですよ?」

「え、じゃあダメダメな面見て幻滅したとか?」

「いやもっと好きになりましたよ。ギャップ…的な?」

「え、ならあんたマジでヘタレすぎない?」

「それはおかしいでしょ。一応ちゃんとした理由があるんですから」

「ヘタレの部分は否定しないんだ…」


 うっせぇやい!


「もちろんそんな話題は出ましたよ? なんならあの人から振ってきましたし」

「え…いや、光ならやりかねないか」

「はい。それで私は聞いたんですよ、『不安とかないの?』って。でもね、お嬢様は『不安はないよ』と答えました。その理由は『信頼しているから』です。別に私に性欲がないわけではないですし、そういうことをしたくないかと言われれば『はい』と答えるでしょう。しかし、私がお嬢様が好きである以上、その信頼は裏切れません。だからこそ、私はお嬢様には手は出しません!」


 言い切った…言い切ったぞ! さぁ、気になる八重さんの反応は……


「きもっ」


 あれえええぇぇぇ???


「きもいけどまぁあんたが光を好きであれば光は大丈夫ってことね、きもいけど。なんか安心したわ、きもいけど。光をよろしくね。」


 高頻度で罵倒を混ぜるなぁ!


 そんなこんなで、八重さんとのお話は平和?に終わったのであった。


 おかしいな…この話本当はめっちゃ真剣に心配する春とめっちゃ真剣に話し合いしてめっちゃ真剣に答えた啓を春が認める流れになるはずだったのに……


 唯一残った啓の答えも春に一刀両断されてるし…


 というよりこの二人の会話書くの楽しすぎました。くっつかない(確定事項だ! ハーレムルートは絶対ない!)からこそ気軽にかけて楽しかったです。


 そのせいで深夜テンションが悪さしたんですけどね…ハハッ



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