二十五話 勘違い?
俺がお嬢様の部屋を出てから二時間後。もう十二時も過ぎ、お昼の準備が出来たこともあり、俺は今お嬢様の部屋に戻ってきているのだが...
「ちょっと...春! いい加減にして///!」
「いい声で泣くわね。でもまだまだこれからよ!」
「あ...そこはダメぇ///!」
「こんな程度で終わらないわよ! 光は耐えられるかしら!?」
うん...なにこれ? なんか部屋の中から変な? 声が聞こえるんだが..….
でも呼んでと言われている以上入らないわけにもいかんからなぁ。とりあえず...
コンコンコン
「啓? ...あっ/// 入ってきていいよ!」
いやほんとに入っていいのか? これ。まぁ...入っていいというなら……
ガチャ
覚悟を決めて中に入った俺を待ち受けていたのは…
「くらえ! 必殺コマンド!」
「やめて/// 乱暴しないで///!」
格ゲーで八重さんに一方的にボコボコにされるお嬢様だった。
「何やってんですかお嬢様…」
「え、格ゲーだけど」
違う。そうじゃない。
「それは見たらわかりますけど、なんであんな声出してたんですか?」
「私は別にゲームに反応してただけだよ?あんな声って何のことかなぁ?」
そんなことを言い、首を傾げながらこっちににじり寄ってくるお嬢様。
というより来ないで! 気まずいとか勘違いとかそんな事はどうでもいい! 距離が近い! 可愛さで倒れる!
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、八重さんが助け舟?を出してくれた。
「あんたの勘違いじゃないから安心していいよ。私に『啓の困ってる顔が見たいから十二時前になったら協力して!』って言ってきたのは光だから」
「ちょっと春! なんで言っちゃうの!?」
「もう十分困らせたんだからいいでしょ…というよりずっと変なセリフ言わせ続けられたこっちの身にもなって……」
なるほど…八重さんもお嬢様に振り回されてる側の人間なのか...なんか親近感湧いてきたなぁ……
とりあえず俺は優しいのでイヤイヤやってるにしては八重さんの声もノリノリだった事には言及しない。後が怖いし...
「も〜! どうしてそんなすぐにネタバラシするのよ!」
そう言いながら八重さんのことを叩くお嬢様。まぁ叩くといっても強くではなく『ポカポカ』といった感じである。うん…かわいい。
「さっき言ったじゃん…しかもずっと遊びっぱなしだったからお腹減ってるの…お腹と背中くっつきそう」
文句を言いながらも付き合ってあげてるあたり本当に仲がいいのだろう。お嬢様から解放もしてもらえたし、八重さんには感謝だな。
でもなんか八重さんの俺に対する態度軟化した? こんな短時間で? …まぁいいか、悪いことでもないし。
「それじゃあもう出来てるので食べましょうか」
「うん。啓のご飯美味しいから楽しみ!」
なんという純粋な笑顔! …さっきまで悪巧みしてた人のものとは思えない。
「…イチャイチャしやがって……心配して損した……」
ん? 今八重さんなんか言ったか? 扉の音で聞こえなかったけど…
「春? なんか言った?」
お嬢様も聞き取れなかったのか八重さんに尋ねているが…
「いや、なんでもないよ」
「そう? なら良いけど」
まぁ本人がそう言うなら大丈夫かな?
そう判断した俺はその事を思考の斜め前に放り投げて二人と一緒にリビングへと向かうのであった。
こういう頭空っぽにして書くパートって書いてて楽しいんですけど中身が無いせいで題名に困るんですよね…ネーミングセンスの無い自分が恨めしい。
おかげさまで二十五話到達です! もっと前の段階で力尽きると思ってたのですが案外書けるものですね。それもこれも皆さんの応援のおかげです!
まぁ寄り道しまくってるせいでまだ学校すら始まっていないので完結までに何話掛かるのか恐ろしいですが……気長にやっていきます。うん。
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では、またね〜。




