二十三話 八重 春 襲来
ピンポーン
もはや家というより館といった方が相応しい気のする星影邸にチャイムの音が控えめに響く。
とうとうこの時が来てしまったか...
いや別に長い時間待ち構えていたという訳でもなく、俺が帰ってきてから30分ぐらいしか経っていないのだがそれとこれとは別の話である。
相手はわかりきっているが一応確認すると、モニターに映っているのは予想通りの見知った顔である...なんか顔色悪くないか?
まぁモニター越しの錯覚かもしれないし、聞いて何言われるかもわからんし、この客呼んだお嬢様なんか『部屋に連れてきて〜』とかいって自分の部屋でゴロゴロしてるし......
なんか変なのが混じってるって? しょうがないだろ俺が星影さんに敵わないのは立証済みなのだから。
まぁうだうだ理由並べても状況が変わる訳じゃないし...よし、行こう。
「お待たせして申し訳ありません。只今開けますので少々お待ちください」
「え?だr」ブツッ
予想通り、いや予想以上に反応がドライだったため反射的に切ってしまったがそんなことはどうでもいい。
玄関に向かい、鍵を開け、いつもの五倍の重さはある扉を気合いで開ける。その先に待っていたのは...
「は?」
ポカーンという音が聞こえてきそうなほどあんぐりと口を開いた 八重 春 だった。
「な、な...」
「な?」
「何であんたがここにいんのよおおおおぉぉぉ!?!?!?」
あれから数分後...
顔を振り回したり、ほっぺをつまんだりとさまざまな奇行によりようやくここが現実だと認識したらしい八重さんの第一声が...
「何であんたみたいなのがそんな格好でここにいる訳?」
これである。正直に返答しよう。
「俺が聞きたいです」
「なにそれ」
至極真っ当な返答である。だがしかし、俺にここで押引け問答をしている暇はない。一刻も早く八重さんを光お嬢様の部屋までお連れしないといけないのである。
たとえお嬢様が俺に連れてくるように頼んですぐにイヤホンを耳にさし、Y◯UTUBEを開いていたおり、それを俺がこの二つの目でバッチリ確認していたとしても、一刻も早く八重さんを光お嬢様の部屋までお連れしないといけないのである。
じゃないとこの空気耐えれないです。ハイ。
「ここで長話に興じるのも良いですが、光お嬢様が部屋でお待ちですので、ご安心いたします。」
「え、光...お嬢様?あと何その口調」
もう一度言おう。俺が聞きたい。
今回は久々の光抜きでしたね(サビ抜き的な)。
光成分の足りていない読者の方々、ご安心ください。私もです(何一つ安心できない)。
まぁこの作品で光抜きの回の割合は3%ぐらい(序盤除く)なので禁断症状は出ないでしょう。
次回はちゃんと光も絡むので期待せずにお待ち下さい。
最後に、面白いと思って頂けたら、ブックマーク登録・評価(目次下の☆☆☆☆☆を★★★★★に)して頂けると励みになります。
感想、アドバイスなどあればコメントもしていただけると嬉しいです。ですが、作者や見る人が不快になるようなものはお避けください。
では、またね〜。




