十八話 湯煙騒動(プロローグ)
晩御飯を食べ終わり、ようやく一日を終えることができそうな俺。しかしその前には、高い高い壁が立ちはだかっているのだった......
「お嬢様、お風呂はどう致しますか?」
そう、風呂の問題である。男性と女性が同時に暮らし、ましてや付き合ってもいないこの状況。ぶつかるのはある意味必然と言っても過言ではないだろう。
あ、因みに家の中なんで敬語です。ハイ。
「あ〜、啓先入っちゃっていいよ〜」
はやっ!?
え、こういうのってヒロインが『あんたの入った後のお湯に入るのもだし、私が入った後のお湯にあんたが入るのもな〜』みたいな感じで最低でも五分は悩むもんじゃないの?
「女の子の入浴は時間がかかるんだよ〜。待たせる訳にもいかないしね」
日常の些細なことでも気遣ってくれる光お嬢様マジ天使けっこんしy......っと危ない危ない。
......なんかお嬢様と暮らし始めてから俺の中の理性君が職務放棄してる気がする......
「わかりました。ではお嬢様をお待たせしないためにも1分で済ませてきますね」
「それじゃ啓の疲れが取れないでしょ?いつも通り入っていいよ。むしろそうして」
やはりお嬢様は天使だった。
因みに今日一日で溜まった疲労の大部分がお嬢様と一緒にいたことによる心労であることはここだけの話。
というわけでお言葉に甘えた俺は早速風呂場に来ていたのだが......
「うん、でかいな」
いやね、もうでかいどころの騒ぎじゃないんですよ。
10人は余裕で浸かれる湯船にバカでかい脱衣所、シャワーは四つ。ここって元々3人家族の家ですよね〜!(ですよね〜)(すよね〜)(ね〜)反響うっさ!
今、そんな贅沢言うなたわけ今すぐそこ変わりやがれいや変わってくださいどうかお願いします、と思ったそこの貴方。一つ先に言わせてください。
こう言うのはね、非日常だからいいの。わかる?ホテルとかでたまに入るからこその特別感に満足感、だから良いんですよ。
そこをなんと毎日! 平日も休日も関係なく! どんなにあの狭い風呂でしか味わえないフィット感に似た何かを味わいたかろうと! 明らかにサイズオーバーの風呂に一人で入らなければならない! しかも掃除すんのは俺だよ! 本当にありがとうクソッタレめ!
まぁ贅沢なのは百も承知だが文句の一つや二つ言っても許されるのではなかろうか。
そんなことを思いながら湯船に浸かる。あ、ごめん。長々文句言ったけど全部撤回するわ。最高だこれ。
やっぱりでかいなこの風呂。入ってみたらよりでかく感じますわ。ハイ。というかこれ余裕で泳げるよな? よし。俺の50m自由形 2分半の泳ぎ見せてやるぜ!
そうして湯に頭ごと浸かり(ちゃんと洗った後)蹴伸びをしようとしたその瞬間のことだった。
「ちょっといい?」
因みにタイムは作者自身のです(うろ覚え)。
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では、またね〜。