九話 気まずい空気?
星影母が去ったことにより、再び二人きりになった俺と星影さん。その間には、双方を原因とする気まずい沈黙が降りていた......わけではなく。
「おーい。どしたの?」
「さっきから微動だにしないけど大丈夫?」
一方的に俺がガチガチになっていた。
いやだって無理だよ! 会話なんて! この目の前にいる美少女とさっき手ぇ繋いでたってマジ!? 俺明日死ぬ!?
落ち着け......まずは深呼吸だ......ひっひっふー、ひっひっふー、って間違えたぁ!これラマーズ法だぁ!
みたいな感じになるまでにおかしくなっていた。
まあ好きな人と手を繋いで動揺しない人はいないでしょう。俺はその度合いがちょっと大きすぎただけ。
さっき手を洗うときに一瞬躊躇したり、料理して心を無にしようとしてもできなかったり、現在進行形でその感触を思い出して悶えたりしていますがあくまで『ちょっと』です。
「そんなんじゃこっから先持たないよ。一緒に暮らすのにどんなラッキースケベがこれから先待ち受けているのかわかんないんだから」
それあんたが言っちゃダメでしょ! なら尚更無理だわ!
などという暴言を吐けるわけもなく。
「父さん達の出発明日だし、そろそろ帰った方がいいね。送っていくよ」
「あ、ありがとう」
心の中の啓A:おいコミュ障もっと気の利いた言葉かけらんねーのかよ。
心の中の啓B:無理だよ!明日から星影さんと二人暮らしという事実で頭一杯だわ!というかお前も俺なんだからそんなこと言うんじゃねぇよコミュ障!
心の中の啓A:やめよう。互いになにを言っても全部ブーメランだ。誰も幸せにならない。
心の中の啓B:そうだな......
因みにこれ以降家に着くまでの記憶はありません。
啓は心のこえがうるさいタイプのコミュ障です。滑稽ですよね。レパートリーがあるのにそれを活かせないなんて(特大ブーメラン)。
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では、またね〜。