一級河川の資格あり
三輪山で有名な奈良県桜井市の山間部が源流で奈良盆地を横断して流れてくるこの一級河川は大阪府堺市で大阪湾に注ぎ込む
大阪市北部を西に流れる淀川に対して、大阪市の南のほぼ市境を西に流れるのが大和川だ
かつては大阪府柏原市で南から流れてくる石川と合流したあと、北に向かって流れていた
1704年に付け替え工事が行われて現在の流れとなった
付け替え工事の原因は例にもれず氾濫が頻発したからとのこと
しかし、この工事のせいで対岸に向かい合って同じ地名のところが数ヶ所できてしまった
もともと一体だったその地区を川が横切ったため左岸と右岸に別れた
そしてこの川が市境となっているところも多いので2つの市にまたがってしまったところもある
ただ、鎮守様は今でも共同であったりして、神社の行事は市を越えて住民の行き来があるらしい
氾濫はこの付替え工事で収まったが、もともとこの川にはもう一つ大きな地理的難所がある
中流域の大阪府柏原市と奈良県北葛城郡王子町の県境辺りに亀の瀬渓谷という場所がある
ここは山に挟まれ川がとても狭くなる場所だが、その狭くなる理由が北側の山の地すべりによるものである
いまでも地すべりは継続して起こっている
そのため常時対策工事が行われている
かつて大規模な地すべりが起こった時は川床が36メートルも隆起してしまい、流れを堰き止め上流の王子町に大きな浸水被害をもたらしてしまったことがあるらしい
この川へは子供の頃からよく釣りに出かけた
当時の大和川は全国でもっとも汚い川との汚名があった
確かに釣り上げた魚の背中が曲がっていたなんてしょっちゅうあった
とても食用の魚がいるなんて考えられない川だった
そしてこの川は浅いようで突然深くなるところもあり、川の中には絶対入ってはいけないと親からきつく言われていた
確かに水が濁っているので川底は見えない
また、川の水からは異臭もしていた
かつて、大型台風が大阪を襲った時に、大和川が氾濫しそうになったことがある
幸い氾濫の危機は免れたが、一番近い場所にあった橋が使用不能になった
数年後に近くに橋が掛け替えられるまで、かなり遠回りして川を渡った記憶がある
ところがいつの頃からか水質改善工事が始まった
気がついたら大和川は全国でもっとも汚い川でなくなっていた
2009年にワースト2位、2010年にはワースト3位で環境省の水質基準も満たしているらしい
とはいえそのレベルのようだ
しかしシラスウナギの稚魚までいるらしい
ただ、子供の頃からこの川を見て育った者としては、いくら浄化されたと聞いてもこの川には食用の魚はいないとしかやはり思えない