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第四十九章 アイ ラブ マイブラザー

「クダイ!!」


シトリーが叫びきるよりも先に、クダイの身体は宙に舞い、重力に従って地面に落下した。


「ぐはっ」


呻かずにはいられないくらい鈍い痛みが全身を襲う。

閉じていた目を開くと、そこには化け物のようなエンテロがいる。


「無眼の構えで何を見ようが、お前が攻撃する前にこちらが攻撃すればいいだけのこと。それだけなんだよ」


竜人となったエンテロは、全ての能力においてクダイの上をいく。

そもそもの基礎がクダイにはない。無眼の構えは無敵の力には違いないが、かと言って、クダイ自身の経験の少なさまでは埋められないのが実情。

早くにケリをつけられなかったのがその証拠だ。

優位に立った時、そこは足場も無いような崖っぷちも同然。

クダイは甘かった。


「そんな………光は見えてたのに………」


トカゲのような顔付きのエンテロが近寄って来る。その様が不気味この上ない。


「ジャスティスソードの災いを受けない。無眼の構えを使う。尊敬するぜ。誰もが不可能だと思った力を身につけてるんだからな。だが、剣の型がパターン過ぎる。それも騎士が使う型だ。誰に教わったかは知らないが、たいした師匠じゃあないな」


「シャ………シャクスをバカにするな!僕が未熟なだけだ!」


「くく。どうだか。ま、未熟ってのは否定しないが」


「このやろう!」


型も何も無い大振りでジャスティスソードを振るっが、エンテロはのけ反りかわす。そしてクダイに鉾を向けた。


「今度はさっきのようにはいかんぞ」


「バケモンめ………」


「たいして変わらねーよ………お前もな」


エンテロが笑った時、後頭部にコツンと何かが当たった。

 首だけを動かし、後ろを見る。そこにはシトリーとシメリーが、いつの間にか傍まで来ていた。


「何の真似だ?」


「ク、クダイは私達が守る!」


シトリーが勇気を振り絞った。


「シトリー!シメリー!逃げるんだ!」


「やだ!私達だって………!」


シトリーが杖を構えると、


「シトリーばっかにいいカッコさせないからね!」


それはシメリーなりの合図。二人ならやれると。


「こいつは驚いた。よく見りゃエルフじゃないか。人間と一緒にいるとは珍しい」


「うるさいっ!行くよ!シメリー!!」


「わかったよ!シトリー!!」


二人は両手を合わせ、目を閉じて詠唱する。


「「Das saubere Gebet eines traumenden jungen Madchens」」

二人の間から光が立ち上り、エンテロへ攻撃する。


「くくっ。無駄だ」


だが、あっさりと掻き消され、


「ほうらよ!」


風で軽く吹き飛ばした。


「シトリー!!シメリー!!………テメェ!!!」


ジャスティスソードで殴り付けるようにかかって行ったが、やはり軽くかわされ、鉾を突き付けられる。


「まあ、なんだな。一瞬でも俺をビビらせたんだ、胸を張ってあの世へ……行けっ!!


クダイを一突き………のはずだった。

鉾は悪意のあるものに阻まれ、動きを止めている。

長く大きな刃の剣。複雑な装飾がちりばめられた。


「シャ………シャクス………」


クダイの前に大きな背中があった。


「何だお前……?邪魔するなよ」


そう言いながらも、エンテロは邪魔されたのだと気付いている。


「俺の弟子を可愛がってくれたみたいだな。礼をしなければならん」


「ははっ。いらねーよ。でもなんだな、どうしてもってなら考えないでもねーけどよ」


エンテロはシャクスから距離をとった。

悪い風を感じたからだ。


「大丈夫か、クダイ」


「な……なんともないよ。それよりシトリーとシメリーが………」


「ここで休んでろ」


シャクスはクダイを座らせ、エンテロの脇を抜けて二人のところまで歩く。


「二人共、ケガはないか?」


「え……あ、うん」


シメリーがちょっと意外に思えたのは、シャクスが優しかったこと。いつもしかめっ面で、人を威嚇するような目つきでさえ優しかった。


「少し離れるんだ」


シャクスに言われ、二人はトコトコとまた岩陰まで離れた。


「よう、邪魔した詫びはあるんだろうな」


的がクダイからシャクスに移っただけのこと。骨のある戦士なら申し分ない。

エンテロは舌をペロリとした。


「詫び?フン、詫びのは貴様だろ」


「………ほう。俺が?」


「俺の仲間をいたぶったんだ。頭を下げるくらいでは済まさんぞ」


「気にいらねー。仲間がどうしたとか言う奴は嫌いなんだよ」


「そうか。そいつは助かる。化け物の趣味はないんでね」


「野郎………」


一生懸けても友人関係は築けないと思った。どうにもこうにもシャクスの存在がカンに障る。


「来い!スカイカリバーの錆にしてやろう」


シャクスはスカイカリバーを構えた。


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