表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜  作者: 雪野 結莉
5章 別れ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/255

6

 ルーク様は、うまく魔獣の首を一突きにし、魔獣は絶命した。


 ドサッと大きな音を出して、魔獣は倒れた。


 よかった。


 そう思ったのに、わたしも魔獣と同じように、その場に倒れた。


「ジーナ!」


 ルーク様がわたしを抱きとめてくれる。


 さっきまで仮面をつけていたのに、今はどこかへ仮面が飛んでいってしまい、わたしがよく見る素顔のルーク様が、泣きそうな顔をしてわたしを覗き込んでいた。


 もぉ、大きくなったんだから、泣きそうな顔しないの。


 そう言いたいのに声が出ない。


 そして、背中がとても冷たい。


 冷たい?


 あぁ、そうか。

 過ぎた痛みは冷たく感じるんだ。

 わたしは魔獣の爪で、背中を引き裂かれている。

 背中、きっとひどい怪我だ。


 だんだんと、指先にも冷たさが広がっていく。


 そんなわたしを見て、とうとうルーク様の目から涙が溢れて落ちた。


 わたしの顔に落ちた涙だけが、とても暖かく温度を感じることができた。


「ジーナ、ジーナ、きっと助かるから、がんばってくれ」

 ルーク様の悲痛な声が聞こえる。


 そして、ザワザワと人が集まってくる気配がする。


 ほら、ルーク様。

 泣いてたらみんなに見られちゃいますよ?


 ルーク様は、顔をくしゃくしゃにして、ポロポロと涙を流し続けている。



 あぁ、わたし、死んじゃうんだな。


 やだな。

 ルーク様を残して死んじゃうなんて。


 ルーク様の火傷、まだ残っているのに。


 わたしは力を振り絞って、ルーク様の顔に手を伸ばした。

 ルーク様はわたしの手を取ってくれて、自分の頬に充てる。


 わたしは目を閉じて、残りの自分の命を、全て魔力に変えて、ルーク様の火傷に集中させた。


 わたしにできる限り、ルーク様の火傷を消してあげたかった。

 その火傷のせいで、ルーク様は寂しい思いも、悲しい思いもしてきた。

 だから、それをできるだけ取り除いてあげたかった。


 ぷつん。


 わたしの中で、糸が切れるような感覚があって、わたしが目を開けると、火傷の痕がすべて消えたルーク様の顔があった。


 ふふ。

 ルーク様のお顔は、ほんとうに綺麗。


 その綺麗なエメラルドの瞳から、後からあとから涙がこぼれ落ちてくる。


 ポタポタとわたしの頬を暖かい涙が濡らしていく。


「ル…クさ、ま……だ……す、き」


 ルーク様、だいすき。


 わたしが、言いたかった言葉は、うまく音にならなかった。


 もう、目を開けていられない。


 せっかく、火傷が全部治って、綺麗なお顔をしているのに、そのお顔で笑ってるところが、見たかった、なぁ……。


「ジーナ! ジーナ、目を開けてくれ!!」


 そして、ルーク様の腕に抱かれたまま、わたしの体からは全部の力が抜けてしまった。

 もう、心臓も動いていない。


「ジーナぁぁぁぁぁぁ!!!」


 もう、震えるはずのないわたしの鼓膜に、ルーク様の絶叫が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ