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胃を抑えながら、じっくりと物色。

リュック。スキー用具。ここは荒らされていなかった。多分、シャッターは鍵がかかり裏の窓ガラスには誰も気づかなかったのだろう。確かに窓ガラスは高い場所にある。積雪で偶然にも入れたのだ。


何個かの懐中電灯。電池は小さいのしかない。ノコギリなど日曜大工一式。雪かきスコップ。車の中やボンネットまでくまなく探す。食べ物はカップ麺だけだった。それでも二箱。二十二個。

音さえ気をつければバレない。商店街に行かなければ。

旧い型のストーブ。灯油はないがこれで火を燃やす場所が出来る。寝るのは車の中。二十リットルの容器もある。断水用。東北には必需品。


ツララ突きもあった。頑丈で軽く先端が尖ってる。しかもこれは伸縮機能。柄の部分も刀のサヤみたいなのが付いている。落ちてくるツララ除けのサヤ。

小さい頃、何回も怒られながらもよくこれで遊んだ。

子供用のソリ。冬タイヤをしまう頑丈で大きな布袋。

ここはやば過ぎる程、道具が充実していた。未発見の宝を発見したと松浦は思った。実際、その通りだった。


佐々木達を思い出す。が、胃が満たされ身体も神経も弛緩していた。疲労で眠気が襲ってくる。途端、目が回る。立っていられなくなる。窓を閉めないと。と思った瞬間倒れるように眠りについた。


何時間寝たか分からないが寒さで松浦は起きた。慌てて飛び起きる。窓から冷たい風が吹いている。外は真っ暗闇。火は消えていた。

コンクリの上で気絶したかのように寝入ってしまった。気絶していたのかもしれない。

火を点け窓を塞ぐ。何も出来ない。夜の九時なのか十二時なのか三時なのか全く分からない。

松浦は車の中に入り寝た。朝には起きるんだぞ。と言い聞かせてながら目を瞑った。

目覚めたのは息苦しかったからだ。車のドアを開けて松浦は驚いた。煙が凄かった。焚き火が不完全燃焼を起こしてる。視界が悪くなるくらいの煙が充満していた。松浦は咳き込みながら窓を開け外に這い出た。外はすでに明るかった。


黒煙が空に上がる。必ず気づかれる。

急いで戻りスキー用具のゴーグルをはめ、カップ麺の入った大きな布袋を持つ。が大き過ぎて窓から出られない。カップ麺を一つずつ外にこぼすように出す。子供用のソリは大き過ぎて出せない。

煙で誰か来るかもしれない。カップ麺を袋に戻し急いでその場を立ち去る。自分のミスを嘆く。


雪も降らず風もない久しぶりの良い天気だった。それなのに自分の居場所を自ら暴露してしまった。

跡をつけられないように庭から庭へ移動するもすぐに諦めた。必ずバレる。まっすぐ高速道路へと向かう。






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