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帰り際に上から声をかけられる。三人は見上げる。一つの窓から男が両手を挙げている。

[なんか用か?]

佐々木が冷たい声で言い放つ。

[食べ物探してるんだろ?ある場所は知ってるんだ。折半でどうだ?]

ヒゲだらけの顔で分からないが声の感じから四十代から五十代。

男の下の道には松浦達の足跡以外はついていない。おそらく単独。

佐々木は松浦を見る。話だけでも聞こう。と松浦。佐々木は小さくうなずく。

[遠くは無理だ。数時間で戻らなければならない]

[病人がいるんだな。多分、そこに薬もあるぞ]

ヒゲの男はあざとかった。佐々木の言葉で読み取った。よく考えれば分かる事だが瞬時に理解するのは頭の回転が速くなければ思いつかない。つまり油断出来ない相手だ。

黙ったままの三人にヒゲが声をかける。

[二時間あれば戻れる]

[一人じゃ無理なんだな]

佐々木も負けていられない。襲われる危険を犯してまで三人に声をかける理由はそれしか思いつかない。もしくは…。

[相手はたくさんのゾンビだ]

[降りるか?俺達が行こうか?]

[ここに上がるのは無理だ。俺が降りる]

男はロープで降りてくる。手ぶらだ。武器も何も持っていない。

地方の競馬場か安居酒屋に居るようなオッさんだった。

[食べ物は欲しい。どのくらいあるんだ?]

[どれくらいか分からん。だが手つかずの店がある。腐ってるのもあるが食べられる物も必ずあるはず]

[どこだ?]

[それはまだ言えない。いいか。絶対に半分だぞ。あと襲うのは無し。終わったら一緒につるむのも無し。あれ?お前、松浦じゃねぇか?]

ヒゲの男が松浦を覗き込む。佐々木とユウキは松浦を見る。松浦はヒゲの顔をマジマジと見るが誰か分からない。

[俺だよ。山下。分かるか?競馬場。一味唐辛子]

松浦はそれで思い出した。競馬場でよく出会い馴染みになった男だ。何にでも一味唐辛子をたっぷりかけて食う男。


[山ちゃんか?]

[おうよ。山ちゃんよ。オメーよく生きてたな]

山ちゃんは顔をクシャクシャにして喜んだ。

[なら安心出来るな。いや、ホントよく生きてたなぁ]

[食料が無いんだよ。余裕無いのは分かるが何か無いか?]

[うーん。まぁオメーには世話になったしな。仕方ねぇ。一緒に来てくれるんならやるよ]

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