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まだ十キロも歩く事が分かり松浦はその場にヘタり込んでしまった。
仕方なく、四人は大型貨物の日陰で休憩をとる。
佐々木は相変わらずタフで汗を流しながらも高速道路から下に降りられないかを探し出している。
[凄いな。周りは森と山だけだ]
佐々木は戻って言った。人間とゾンビの心配は減るが生活品が不足するだろう。幸いにも水は小川があるはず。それに動物も。
高速道路に上がってから一体のゾンビも見かけない。道路の雑草を注意深く見るも踏まれた形跡は無かった。
四人はゆっくり歩き続ける。数回休みを取りながらパーキングエリアに着いたのは夕方前。
店舗は、山側の方にあり、後ろ側が土砂崩れで半分まではいかないが店舗は埋まっていた。湧き水が染み出しているのか、水道管が壊れてるのか、道路にまで水が流れてる。さらなる土砂崩れの心配があるが水があるのは大きな救いだった。
人間が居ないのは一目瞭然の荒れ果てた店舗。自販機が倒されてるものの中身はありそうだ。腐ってるとは思うが。
暗くなる前に施設を点検する。店舗の裏側の窓ガラスから泥が溢れていたが、ゾンビや死体はなかった。
松浦とアユミは既に動けないので、アユミは駐車場の車の中を探し、松浦は水の出所を確認する。
少なくともここ一年は誰も来て居ない事が分かる。
蛇口から水は出たが濁っていて飲み水にはならない。
車を動かしバリケードにし、簡易な寝場所を作った。
焼いてあった数匹の魚を食べる。これで食べ物は終わる。下に降りれる場所と小川を探して罠を仕掛ける。と佐々木は言った。
オーロラが出始めた頃には四人ともドロのように眠った。
翌朝、セミの声がうるさくてアユミは起きた。と同時に足が痛くなってるのに気付き顔をしかめる。もしこれ以上酷くなったら。と考えて身体が震えた。
四つん這いで松浦達を起こす。佐々木はすぐに起き出し、周りを見てくる。と言った。松浦は寝足りないのか寝たまま向こうを向く。
緊張感とか不安とかないのだろうか?
とアユミは松浦のイビキを聞いて思った。が松浦の足の裏を見て首を振った。
松浦の方が酷いかもしれない。
水は出しっ放しにしていたがまだ濁っている。でも昨日よりかはだいぶいい。
アユミは少し悩んだが、水に足を浸した。
傷口が染みて涙が出る。足を丁寧に洗う。このまま顔と腕と太ももまで洗う。
上半身も洗いたいが、この水溜めの容器の大きさでは足りない。
喉が渇いてるが流石にこの水は飲めない。
ユウキが起き出したので水をもらう。ぬるかったし、プラスチック容器の匂いもした。贅沢は言ってられない。