.33
足の具合も治ってはないが熱もウミも出ず回復に向かっている。佐々木がご丁寧に松葉杖を作ってくれた。
松浦は自分から話すことはないが佐々木の質問には全て答えた。佐々木も松浦が答えないだろう場所の質問はしなかった。
一日多く屋上で過ごし四日目の早朝、移動する事になった。
途中の民家で物資探し。靴や服はたくさんある。持てるだけ持っていく。
道路から山道に。道とはいえなかったが人間、ゾンビすらも通ってない証拠でもあるので、安心も出来た。
草木に囲まれたフェンスの中の螺旋階段から高速道路へ登る。高速道路は山の斜面を利用して造ったらしく、片側は切り立った崖や山だった。さすがに山からゾンビが来る可能性は無いに等しいだろう。
高速道路は前も後ろも車一台見当たらない。アスファルトの道路が続くだけ。
ゾンビも居ない。死体も白骨も無し。雑草だらけの道路だけが荒廃した世界を現していた。
松浦達は歩き始める。日が高くなるにつれ日差しがキツくなる。木陰になるようなのはどこにもなかった。ひたすら同じ景色。もう何かあってもいい頃だと松浦が焦り始めた時に標識と車が見えた。
パーキングエリアまで十キロ。そして車。その車は大型貨物。道路を塞ぐようにしてある。
佐々木とユウキが小走りで先に近寄る。荷台の中は段ボールの束が詰まっていた。大量の段ボールを運んでいたトラック。使える物は運転席にもなかった。