表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/68

.32

夕暮れになり群がっていたゾンビがバラけ始める。

ゾンビは暗くなると捕食を辞める。

佐々木はアユミと松浦の足の具合を見てから言った。

[ユウキ、行くぞ]

ユウキは黙って立ち上がる。アユミが腰を上げて、私も行くわ。と言った。佐々木はアユミを見て[逃げやしないさ]と答えた。アユミは座った。


二人が降りて行くのを見てからアユミが松浦に言った。

[どちらかが病気になったら佐々木は私達を見捨てるわ]

松浦は驚いた。

[そんな事は]

[するわ]

松浦の言葉をアユミは遮る。松浦は今まで一度たりとも病気になった事はない。下痢くらいか。

松浦は不安になり自分の足の裏を見る。もう一度洗う。アユミも足を洗った。


松浦は佐々木が居なくなったらどうしたらいいかを考え始めた。

この町に住んでいたから地理は分かる。

どこに住むのがいいのか。町中はダメだ。近くに高台の高速道路がある。そこから少し歩くが小さなパーキングエリアがある。ゾンビが居ない可能性が高い。

どこから登れるかも分かる。階段が壊れてなければの話。


高速道路が見えるかどうか立ち上がる。ここからは見えない。

アユミが、どうしたの?と聞くが、いや。と答えた。

佐々木が中腹から声をかけた。

[大丈夫だ。降りれそうなら降りてこい]

アユミはシャツを脱ぎ足を包めた。ブラジャーだけの上半身は擦り傷や土でまみれていたが女の身体だった。松浦は勃起した。そのまま松浦もシャツを脱ぎアユミの真似をした。足が痛くてキツくなる度に松浦はアユミの半裸を見て山を降りた。


佐々木とユウキは使えそうな物をどんどん屋上に投げている。二人の顔と身体はススだらけで黒い。

屋上のコンクリは暖かい。アユミと松浦は寝そべった。

松浦はアユミのお腹が呼吸で動いてるのに見入る。アユミは見られてるのに気付いていたが松浦の好きにさせた。


佐々木が上がってきてアユミに布をかけた。松浦にはなかった。松浦はアユミの言葉を思い出したから言った。

[ここからは見えないが近くに高速道路がある。少し歩けばパーキングエリアがある。そこなら大丈夫だと思う]

佐々木に見捨てられる可能性を減らしたかった。

[上がれる場所は近いのか?]

[階段の場所も分かる。壊れてなければ]

佐々木の質問に松浦は答えた。

[どこだ?]

[俺達を見捨てないなら教える]

松浦は佐々木の顔を見て言った。佐々木はすぐに答えた。

[見捨てるワケがないだろうが]

しばし沈黙。

[三日で治そう]

佐々木が沈黙を破った。

それから三日間、屋上で過ごした。

佐々木だけが動いた。魚を獲ったり、まだくすぶってる焼却施設に入ったり。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ