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5話:オーガとの戦い

オーガの群れへと突っ込んだ俺は、先頭にいるオーガの腹を横一閃でなぎ払おうとする。


オーガはそれに反応出来ずに、あっさりと内臓をぶちまけ、膝をつく。だがそれでも死なないので、膝をつきちょうどいい位置になった首めがけてもう一度剣を横に薙ぐ。オーガの首が吹っ飛んだ。


(まず1体)


次いで2体のオーガが俺の前後から棍棒を振り抜いた。それを横に跳ぶことで躱し、振り下ろした態勢で隙だらけになっている2体のうち、前にいたオーガの心臓目掛けて、1番得意な雷魔法で創った槍を投げる。


「雷槍!」


この魔法の良いところは、射出速度が尋常じゃないところだ。鈍足なオーガではまず躱せない。


そして振り向きざまに跳躍し、後ろにいたオーガの首の高さまで跳ぶと、もう一度雷槍を創り出し、オーガの首に向かって投げる。


2体のオーガが絶命した。


(これで3体)













♢♢♢

「す、すごい。一瞬で3体も倒したわ」


銀髪のメイドの所まで走った私は、少年の戦う姿を見て驚愕した。


「で、でもまだ20体近くのオーガがいるわ。さすがに彼1人じゃどうしようもないんじゃ?」


そう言って仲間であろう銀髪のメイドに、暗に加勢をしなくて良いのかという疑問を投げかける。


「そんなに心配しなくても大丈夫です。まあ見ていれば分かります」


そう言いながら銀髪のメイドは少年を見て優しく微笑む。


(綺麗な人だなあ)

















♢♢♢

3体のオーガを倒すと、さすがに警戒すべき相手と判断したのか残ったオーガ達はなかなか攻撃して来ずにジリジリと囲んで距離を詰めてくる。


(ふう、さすがに数が多いな。1体ずつ殺していくのは時間がかかって他の魔獣を呼び寄せるかもしれないな)


そう考えていると3体のオーガが逃げる隙間が無いよう上と左右から棍棒を振り回してきた。一瞬の思考の後、雷に次いで得意な風魔法で障壁を作りそれらを防ぐ。


「風壁!」


そして、棍棒を振り下ろしてやはり無防備になったオーガ達に向け、一瞬で雷槍を創り出し射出する。3体のオーガが絶命した。


(これで6体!)


3体のオーガが絶命し、一旦オーガ達との間に距離が出来た瞬間に、大きく跳躍し群れから離れる。


跳躍した後に重力に従って地面に落ち、着地したのと同時に手を天へと掲げ、雷槍を10本生成する。それに気づいたオーガ達が逃げ出すために走りだそうとした瞬間、それらを射出する。


「天雷槍!」


直後、雷槍が10体のオーガの心臓を貫いて絶命させた。


(あと4体)


残った4体のオーガは、2つあった群れのそれぞれ大将と副将らしい。さっきまでの奴らとは大きさが違う。


4体のオーガは逃げるような素振りを見せず、ただ俺を殺すことだけに集中しているようだ。だが俺のやることは変わらない。


一本の雷槍を創り出し、それを副将らしきオーガに向けて射出するも棍棒で弾き落とされる。


(くっそ、俺の雷槍を。もう一度だ)


悔しくなった俺は、今度は20本近い雷槍を創り出し、大将らしきオーガに向けて射出する。


「大天雷槍!」


狙われた大将オーガは今までのオーガとは一線を画す棍棒捌きでそれらを全て叩き落とした。


(なっ……)














♢♢♢

「ちょっと!良いんですか!?彼の魔力量はBランクそこそこですよね?それをあんな大魔法連発じゃすぐに枯れちゃうんじゃ?」


魔法にもランクがあり、下はFから上はSSまである。彼が雷槍と呼ぶ魔法は1発ですら、Aランク相当の魔法であろう。それをああも乱発していては彼の魔力量では枯渇してしまうのが普通だ。


リリーは誇らしげにランカの問いに答える。


「レア様の魔力量は確かに多くはありません。でもその代わりレア様は魔力操作が異様に上手いんです」


その答えを聞いてもランカは納得することができず首をかしげる。


「例えば私やあなたが魔法を使おうとした場合、魔力を火や水に変換した瞬間に体から放出します。でもその放出の瞬間に魔法として使っていない魔力が体から漏れ出たり、そもそもその魔法そのものが放出の際に魔力に戻るなどロスが大きいのです。

レア様は努力の末に細かい魔力操作を会得し、魔力のロスを最小限にとどめることができるのです!さらには魔力操作の習得の過程で見つけた、魔力は練り上げることで活性化できるという性質を存分に利用出来るのです!」


「つまり?」


「つまり普通の人が100の魔力を必要とする魔法をレア様は50であったり、物によっては30の魔力で済ませられるのです!さらには魔力を練り上げることで普通の人が100の魔力を使って100の威力しか出せない魔法を、レア様は100の魔力を使えば150の威力の魔法が繰り出せるのです!」


「つまり?」


「つまりレア様はすごいということです!」


リリーはそう言って胸を張った。














♢♢♢

残りの4体のオーガ達を倒すために剣を構え直す。外野がうるさいが気にしない。


(さて、どうするか。ただ雷槍を投げたんじゃ弾かれる)


考えがまとまらない内に、4体のオーガが突っ込んでくる。大将オーガが振り下ろした棍棒を剣で受け止めると、剣は折れてしまった。すかさず剣を捨て、大将のオーガから離れようとバックステップを踏むと、後ろから2体目の大将オーガの棍棒が迫ってくる。すぐに風壁を創って防ぐ。2度3度と棍棒を振るってくるために長くは持ちそうにない。



2体目の大将オーガに足止めをされている間に副将オーガが迫ってくる。風魔法によって砂を巻き上げその副将オーガの足止めをする。


「砂塵!」


砂塵によって副将オーガが目を瞑っている間に、3本の雷槍を創り上げ副将オーガの頭と首と心臓へと射出する。数瞬の後、副将オーガは膝から崩れ落ち絶命する。


(よし、あと3体!)


次にとりあえず楽に倒せそうな2体目の副将オーガを探すも見当たらない。突如、辺り一面が暗くなり上から副将オーガが迫っていることに気づく。

オーガの体重の乗った一撃を、風壁では防げないと考えた俺は、風を使ってその一撃を逸らして躱す。


振りかぶって無防備な副将オーガの背中に向かって3本の雷槍を射出し、絶命させる。


(これであと2体!)


大将オーガに生半可な攻撃では意味がないと分かったので、距離を置く。追いかけてくる2体の大将オーガの前に雷槍を落とし足場を不安定にさせることで一旦の足止めをする。


(よし、これで魔法を創る時間ができた)


俺は両手を天へとかざして、2本の雷槍を創る。

ただの雷槍ではない。普通の雷槍よりも格段に大きい。ただ大きいのではなく使った魔力量は普通の10倍、それだけでなく普通の雷槍に使う魔力よりもさらに練り上げた魔力を使ったものだ。威力は、普通の雷槍の20倍近いだろう。


それらを不安定な足場を抜け、迫ってくる2体の大将オーガへと向けて解き放つ。


「超双雷槍!!」


放たれた超双雷槍はそれぞれ大将オーガにぶつかると地の響くようなすごい音をさせながら弾けた。










「ふう、終わった」


超双雷槍は、大将オーガを肉片一片残らず弾き飛ばし、オーガの後ろの森をも大きく吹き飛ばした。


周りにオーガがいないことを確認して、リリーと赤い髪の女がいるところへ向かう。




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