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4話:サンニの森

サンニの森へと到着した。行商人とワイルドモンキーズとかいう護衛団に別れを告げて森へと入っていく。



オーガが縄張りにしそうなところを重点的に探し回る。森の中では魔獣の奇襲があるかもしれないのでさすがに腕を組んで歩くことはない。寂しい。。



ところで、魔法というものは体内にある魔力を火や水といったものに変換し、それを体の中から外へと放出することである。もし魔力のまま外へと放出しても空気中ですぐに霧散してしまう。

使った魔力は、もちろん体内から無くなる。だが空気中に漂っている魔力を体が自動的に吸収して時間が経つと元に戻る。

逆に魔力を外に放出させずに体の中で循環させれば身体能力が上がる。ただその時に少しずつ魔力は外へと漏れ出てしまうのでやはり多少は魔力を消費するし、循環させる量を上げれば上げるほど、身体強化の度合いは上がるが漏れ出る魔力は多くなる。



俺の魔力の量は、飛び抜けて多いわけではない。むしろ精々平均的なBランクの魔力量に匹敵するのがヤマの量だ。もっと上を目指すには絶望的だ。

リリーはそれこそ魔力量だけならSSランクでも上位に入る量だが。


だが、それは俺が強くなるのを諦める理由にはならない。魔力がないなら他を磨けばいいのだ。



すぐにオーガが見つかると思っていたがなかなか見つからず、そんなことに思いを馳せながら探し続ける。









オーガが見つからずにしびれを切らし始めた頃、


「リリー!向こうの方で人間と何かが戦っているのを感じる!行くぞ!」


俺はそう告げながら走り出す。


「了解しました。私には何も感じませんがレア様が感じたのならば絶対です」


俺は戦い方の性質上、感知することに長けている。そんな俺に全幅の信頼を寄せ、リリーは俺の後に続いて走り出す。























♢♢♢


「はあっ……はあっ」


息を上げながら走るが後ろから追ってくる魔獣についに追いつかれ棍棒を振り抜かれる。すんでのところでかわすことはできだが、体制を崩し顔から地面に激突する。急いで振り向くと、棍棒を振り上げたオークと目が合う。


もうダメだと死を覚悟した時走馬灯が思い浮かんだ。



私の名前はランカ・ランデリオン。貴族だ。ただし女である上に兄がいる以上、跡継ぎの可能性は限りなく低い。そんな私の将来の既定路線は他家に嫁ぐことだ。

だけど、私はそんなのが絶対に嫌だった。幸い17歳にしてギルドのAランクになれるほどの戦いの才能があった。



そして今日、Aランク依頼のオーガの討伐依頼を受けサンニの森へとやってきた。

オーガを1人で倒すことが出来れば、王都の騎士団にコネを使わずに堂々と入団でき、両親も何も口を出さないと思ったからだ。

1対1であれば、遠距離型魔術師である私がオーガを倒すことは難しい。だが、私の魔法を当てることさえ出来ればオーガを倒すことはできる。

オーガに気づかれないうちに遠距離から大魔法をぶっ放しそのまま逃げ切る、という作戦を立てそれを実行しようとした。


魔法を放ち1体のオーガを倒すまでは良かったのだが、奴らは鼻がよく、思った以上に知性があり群れで行動する。


一撃目の魔法で位置がバレた私は、オーガの群れに追われ今に至るというわけだ。しかも逃げている途中に別のオーガの群れのテリトリーに入ってしまい、2つのオーガの群れに追われていた。


(はあ、、既定路線は嫌だからと頑張ってきたのにここで死ぬのか。)


目をつむり、死を覚悟するもいつまで経っても棍棒が振り下ろされない。



恐る恐る目を開けてみると、1人の少年がいた。









♢♢♢

「ふう。なんとか間に合ったよ」


そう言って俺は体内に魔力を循環させ身体能力を上げて、オーガの棍棒を剣で受け止めた。



オーガは驚いた目でこちらを見たが、すぐさま気を取り直してもう一度棍棒を振り上げる。

オーガのパワーの乗った棍棒を何度も正面から受け止めれば名剣でもなんでもないこの剣は折れてしまうので、かわそうと身をかがめるが後ろに赤い髪の女が座り込んでることを思い出す。



「チッ」


オーガが棍棒を振り下ろした瞬間、舌打ちをしながら後ろを振り向き女を抱えて跳躍し、棍棒をかわす。



二歩三歩と走り一旦オーガから距離を置き、抱えた女を下ろす。


「動ける?動けるなら向こうにいるメイドのとこまで走って行って。そうすれば安全だから」


そう言ってオーガへと向きなおる。


「わ、私も手伝うわ。今オーガは群れで行動しててあの一体以外にも何体かまわりにいるわ!あなた1人じゃ無理よ!」


「いや大丈夫。1人でやりたいんだ」


「で、でもあなたの魔力量じゃ10体が限界よ!群れは2つあって20体はいるのよ!」




相手の魔力量を推し量る場合、直接相手に触れれば体内にある魔力を感じ取ることができる。俺が彼女を抱えている時に彼女はそれで俺の魔力量を察知したのだろう。


だが、それがどうした。魔力量の多さが戦いの強さとは限らない。俺はそれを証明してやる。



「まあ見てなよ」



そう言って、オーガを見ると陣形を組んでいる。どうやら準備は万端らしい。




俺は笑みを浮かべつつ剣を構えた。




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