9話
「ベルモント?おデブ誰だそりゃ?」
「昔、王妃様と陛下が居ると必ず絡んできた方ですよ?覚えてませんか?って本気で覚えて無いって顔ですね、隊長…いや隊長の『興味の無い事』を覚えているか聞いたのが間違いでしたよ。」
デイビットさんは先輩の事、隊長って呼んでるんだ…デイビットさん達騎士団は元々の行方不明事件に付いて調査し誘拐だと言うのが解り奴隷商を調べるのに近くに居たらしい…
と言うのも誘拐された中に有力貴族子弟の他、王族が一人混ざって居た為、親衛隊である近衛師団のしかも隊長と騎士団長自ら動いて居たそうです。
しかし、仲が良さそうだな二人とも。
「先輩~、僕にも紹介してくださいよ。」
「ん?あぁ忘れてた訓練終わった?おデブよ、このおバカが俺の弟分で俺の全てを引き継ぐ後継者の西条だ、便宜を掛けてくれ!西条、この爆発しろって顔のイケメンが知らない他人のディビットだ、おデブって呼んでやれ、結構強いぞ?」
先輩、適当すぎる紹介だな…知らない他人って。それより両手両足に20キロ近い重石を付けさせられ、スクワットと腕立てと腹筋させといて忘れてたって、まぁ僕が悪いのだけど
「西条殿、私はファルメール王国の騎士団総長を務めるデイビットと申します、世間では『26傑の蒼閃』とも呼ばれておりますが、どうぞディブと御呼びください。隊長の事は全然知らない他人ですが、これからもよろしくお願いしますね。」
このイケメン歯まで光らせたよ!魔法?聖法?なんかそんな技が有るのかと問い詰めたい。
「ディブさんですか…つまり先輩がつけた渾名が『おデブ』って事ですね。」
「えぇ、西条殿も隊長のご性格解って置いてでしょう、昔からおデブって呼ばれてます。」
「良いじゃ無ぇかよ、細かい事は!それより欲しい情報はあったんだろ?奴隷屋に」
「はい、1か月前から何度か強制捜査とかしたのですが、表向き真っ当な商売でしたので、無理に踏み込めず困って居る所にこの騒ぎです。お蔭で地下の秘密倉庫から売買記録や遺留品やら何やら色々見つかりましたし、バルドス殿の協力で列車の荷も抑えられました。今、私の部下とマフィアの部下が変装して西条殿の代わりに荷物として乗り込んでます、荷受け側を一網打尽にすべく聖都駐留軍も協力してくれる手筈になってます。」
「レイムの所には後で行くから、俺から直に頼んで置く、稀にゃ世の中の為に働いてもバチは当たらんだろうしな」
「その点も感謝しております、我々では入れない場所の情報を頂きましたから。」
「うん、しかしおデブ、気持ち悪い位に素直だな、如何した?何か有ったのか?」
「この10年色々有ったんですよ、隊長が絶対に嫌がりそうな戦いが…」
「うんそうか、頑張れ!俺は知らんからな!だから絶対に話すなよ関わりたくない」
先輩現場大好きなタイプだから事務仕事とか書類仕事をいつも僕に押し付けてる、
同じ感じなのだろうか、その分面倒な仕事は代わってくれるんだけど。
と、考えていたらデイブさんに何処からか連絡が入って難しい顔していた。
「隊長、問題が発生しました。どうやら此方に送られてきた例の奴隷法士なのですが、異世界人らしいんですよ…」
「は?マジか?どんな奴だ?俺の知り合いか?」
異世界人って事は福ちゃんか白戸さん?まさか梓ちゃんか!?
「そういうと思って、バルドス殿に手を回して貰って『現地で奴隷法士が暴れ被害が出た為奴隷は殺害した』事に成りました、今頃レーンエイムの本家に移送されている手筈です。」
「本当、お前さん有能になったねぇ、ファウストも楽出来てるんじゃね?」
「これ位は他の皆も当然レベルですよ、隊長が逃げた所為ですけどね。」
「あ~それは悪かった、だが俺の所為じゃないからな?」
「解って居ますよ、ただ後で遊びに行くと思いますから、よろしくお願いしますね?」
「ファウストか…お前さんが秘密には…出来ないんだろうからな、王様何だからもちっと重々しくしとけよって思うのだがね。」
「無理でしょう、私もですが隊長と遊びたいです、間違いなく…」
先輩は屈託の無い笑顔でデイビットさんと話す、僕や福ちゃんと話す時とは感じの違った、凄く自然な感じでなのがちょっと羨ましい。
だけど、この猫マスク如何いう仕組みなのだろう、表情が豊かで素顔のようだ。
「全く、どうも成らんね昔から、お前ら二人は…お、そうだ西条ちゃん良い事思いついた!!」
先輩がニヤニヤしながらこっちを見る、この顔は禄でも無い事を提案する時の顔だ。
「何ですか先輩?何か企んでる顔してますけど?」
「いえいえ、何も企んでませんよ?おいおデブちょこっと西条ちゃんと練習試合しろ!正統騎士の戦い方を体に教えてやってやれ、ボコボコにしていいけど手加減だけはしてやれよ?」
「あはは隊長わっかりましたー、死ぬ寸前位までってことですね。」
「ちょ、ちょっと待ってください!!それ洒落に成ってないですしディブさんも乗らないで下さいよ!キャラ変わってますよ!」
「うん、西条ちゃんよ、拒否権は無いし怪我しても生きてれば何とかするから安心して死んで来い、俺は移動の手配しておくから、頑張れ。」
えぇぇぇぇぇ!!だ、誰か助けて!!!
「ほら西条殿、よそ見をしていると危ないですよっと!」
この後、嬉しそうに真剣持って攻めてくるディブさんの連撃を受けては気絶し起こされ騎士の人に介抱されてはまた戦わされ撃たれるという作業を10回程受けた。
この人も先輩と同じ属性なのか、でも剣筋が見えているのに避けられないって原理が解らない、先輩の全方位どこから来る攻撃よりはマシだけど『見せて』くれてるんだろうな、1撃1撃がとても重く痛いけど。