7話
「ヘックシ!!」
ん…寒さと自分のクシャミで目が覚めた、自分を見たら全裸だった。
昨日、どうしたんだっけ?そうそう酒場でスフイアって美人と呑んでで…
って事は記憶に無いがお持ち帰り出来たのかな?お持ち帰られたか?此処何処だろう?
辺りを見渡すと、薄暗い部屋の中に置かれた檻の中でした。やっちゃったのか…
檻は縦横幅が1.2m立てないし寝そべれない微妙な大きさです、ガシガシ押しても
ビクともしません、とても頑丈です、終わりました、人生…
辺りを見渡すと、他にも10個程同じような檻に僕と同じ境遇の仲間が居ます。
取敢えず、隣の檻で泣いている方に話しかけてみましょうコミニュケーションは大事です。
「あのー、ここ何処なんでしょうか?僕らって?」
「うるせぇ今それ所じゃねぇ、クッソあの女狐め!!酒に何か入れやがったな…」
どうやら、僕と全く同じくスフィアに一服盛られてここに着たようです、全裸です。
「僕もスフィアに騙されたみたいで・・・これからどうなっちゃうんでしょう。」
「そうか、お前もあの女狐にか、お互い運が悪かったな、恐らくは鉱山採掘所か魔獣狩りの餌か肉壁だろう、他の連中も見た所核無しばかりだから、一山幾らの奴隷なんだろう…」
どうやら奴隷は確定のようです、僕の首にも他の人の首にも黒い首輪が付いています。
「この首輪って何ですか?何か嫌な感じがするのですか」
「お前、隷属の首輪を知らないのか?どんな田舎から来たのか?これは奴隷契約の魔法具で契約に反すれば締まるし、無理に外せばドカン!だ、気を付けろよ、本来は契約者と隷属者の相互同意で嵌められるのだが、どうやって俺の意志に反して嵌めれたのか…」
うん、状況は最悪の様です、セキュリティは万全の様です、ふぅぅ…
隣の泣いていた彼は、どこかで見たような…あ、一昨日の検問に居た騎士の人だ。
先輩から賄賂を受け取っていた人だ、その話をした所、魔獣核を売って王都の実家に寄るついでに遊びに来て騙されたとの事、一応騎士の家出身で彼自身も騎士叙勲を受けた貴族階級らしい。
しかし、貴族であっても隷属の首輪を付けている以上、騙されたとしても国も騎士団もおいそれ手を出せないらしい、彼も絶望に包まれている。
僕はまだ、他人事のように感じている、妙に落ち着いて居られるのは何故なんだろう?
何と無く先輩が颯爽と現れて助けに来てくれる、キャー素敵恰好良い結婚してーって成るかと思っていたが、彼の話を聞いて段々不安に成ってきた…先輩ポスケテ…
「貴様ら!やかましいぞ!!首輪を絞められたいのか!!!」
驚いて声のする方向を見ると、でっぷり肥えた中年が2メートル超えの大男10人を従えドア傍に立っていた、暗くてドアが有るのが解らなかったし、考え事していたので開いたのにも気が付かなかった。
「ふん!あの女狐、どうにか数は揃えれたようだな。」
中年の発言に周り呼応するかのように「助けてくれ、金なら払う」「俺も払う奴隷は嫌だ」
「私は騎士だこんな事をして良いと思っているのか!!」思い思い口にし騒ぎ始めた。
「ふぁーはっははは!核も持たない屑共が何を言う、儂のコレクションにもなれない下等な奴らの癖に!お前らはこれから北大陸開拓に売られるんだ、儂が長年求めていた法士の奴隷と交換にな!貴様らで丁度100人、儂の為に死んで来い!!おう、お前らとっととこの屑共を運び出せ!貨物列車の時間だ!」
「ヘイ」
増々ヤバイ感じに成ってきた、絶体絶命だ。無駄にムキムキなマッチョの大男達は僕らの入った檻を軽々持ち上げ、運びだし始めた。
「とっとと車に積み込め!!」
「おう、奴隷商の景気が良さそうじゃないか?」
話声のする方を見ると、身なりの良い悪人って感じ…ヤクザかマフィア風体の男が中年に話しかけていた。
「おぉ、これはこれはバルドス様、如何なされました?」
「ある方からの依頼で人探しをな、念の為寄らさせて貰った、構わんな?」
「おぉ、人探しですかレーンエイム一家のNo3である貴方自ら動くとは、余程の人物なのでしょうね。ただ儂共は真っ当な商いですので、お探しの方が居るとは思えないのですが。」
「居なければそれに越した事は無い、だが万が一居たら…王都が全て灰に成るのでな。」
「それは…怖いですねぇ、オイお前らバルドス様をご案内して差し上げろ!」
「先ずそこの檻の連中からだ」
「いえいえその屑共は…」
ヤクザの偉いさんと中年が話ている中、ヤクザと目が合った。
「黒髪たれ目ニヤケ顔なイケメン、特徴が似ているな、お前毒 蛙の兄貴を知って居るか?」
えっと、毒 蛙?認識の術が変な翻訳しているな、毒・ポイズン、カエル、蛙、フロッグ、ドード…とうどう…東堂!!!
「東堂先輩の事ですか!!」
「あちゃー、当りかよ、まいったねこりゃ…おい奴隷商!この方を直ぐ引き渡せ」
やったぁ!あっさり助かりそうだ!!ヤクザの人は中年に僕の解放を要求し、連れていた部下に何かの通信機のようなもので連絡する様指示を出していた。
「バルドス様、困ります!その屑共はこの後すぐ列車に乗せ運ばなければなりません
幾らレーンエイム一家の方のご命令でも無理でございます。」
「お前、今の内に従った方が良いと思うぞ?これは飽く迄俺の優しさで言うのだが、偶々買った奴隷で保護してましたとかだったら、最悪安らかに死ねると思うぞ?」
解放しろ無理ですってそんな会話を5分程続けて居た時、それは現れた!
キュィーーーン!ズドーーーン!!
天空高くから轟音と共に何かが落ちて着た、観なくても解る、先輩だろうと思ったがやっぱり先輩だった。
先輩、空も飛べたんですね、どれだけ器用なんですか?自由過ぎませんか?本当に。