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ナビゲーター  作者: 楠瀬 和裄
3/4

初めてのご案内。

元々がハードゲーマーだったので

ナビゲート希望のプレイヤーさんが現れるころには

回復職でも安全に中心都市に案内できるようになっていた。


最初のご希望者は一緒にレベル上げをしたいと希望していた。

パーティを組むのが難しいというのが目下の悩みだったようだ。

発展途上のこのゲームは

低レベルの人とレベルを下げて一緒に遊ぶシステムというものが未実装で

しかもレベルが上がるチュートリアルクエストも未実装で

回復職で同行するのは

パワーレベリングになってしまって後々困る事になると思われた。

しかし、ここで安易な生産職紹介や市内のエリアクエスト紹介などの

回避策を提案するの悪手なのは自明。

さりとてそのまま一緒にやるのもバランスが悪い、

残っているのは攻撃職と支援職。

支援職は低レベルではあまりその特性を生かせない。


冒険の準備をするという事で生産職の技能を実演紹介する。

HPを回復する薬品、

状態異常を回復する薬品、

ステータスアップが出来る食事、

今回持ち出すジョブに適した武器の作成。

マーケットや商店で買う事は出来るが、

別の選択もある事を提案する。

これにはハイクオリティというボーナスが着く事を知ってもらう為。

たとえばHPを回復する薬品は回復量が増し

状態異常の回復薬品は個数が増える。

食事は効果時間とステータスが延びるか、個数が増える。

飲み物は前衛向けであればHPが徐々に回復するものがあることも

合わせて紹介する。

防具や武器はステータスがアップするほか、

付帯効果があればその延長も付与される。


準備をしながらお話を聞くと

ジョブの適正武器では命中率も悪く威力が上がらなくてきついとの事。

食事に関しては火力が上がるものを作っていたのだが、

命中が上がる物を作り直す事にして

今回はパーティで期待される武器スキルを上げる事を提案する。

合わせて

「レベルによっては適正武器でない方が威力がある」ことも紹介する。

経験値的には美味しくは無い事ははっきりと告げ、

しかし今後に損にはならない事を強調する。


やっぱり一緒に遊ぶからには真剣に、

今後のプレイで恥をかかないようにサポートするのも

ゲームのナビゲーターの役割だと思うからだ。


準備を整え、近隣エリア境へ、

近接エリアではコンビでは完全に美味しくなく

且つ、ゲームマナー的にも体裁が悪い。

その辺の事をお話しながら、

襲ってくるモンスターだけを倒し徒歩で移動する。


目的のエリア境でバトルを始める。

最初はスカスカでかすりもしなかったものが

リアル1時間ほどで当たるようになってくる。

そうすると興に乗ってくる、

途中からセパレートしソロでやってもらう。

取得経験値が一桁になったところで

残りのプレイ時間を聞きその後の予定を決める。

そろそろ疲れてきたかな~との事で別の経路で街に帰ることにする。

このエリアには海が見える場所があるのだ。

まだグラフィックエンジンの性能上、

とても美しいわけではなかったが案内をしてみる。

ついでに有るクエストを紹介しつつ、来るポイントへ案内する。

そこは上る事は出来ないのだが灯台の下で割と海がきれいに見えるのだ。

そして遠目に鯨らしきものを見る事が出来る。

一応はご満足いただけたようだ。

そのままログアウトしてももう襲われないレベルにはなっていたのだが

街まで同道する事になった。

ついでにドロップアイテムを整理し、

分解可能なアイテムは素材アイテムに分解し

分解にはアイテムロストが存在するが、

ハイクオリティが出れば素材アイテムが増える

もしくは上位素材に変わる事も紹介する。

合わせてアイテムによってはスタックできる素材に変わるので

鞄の邪魔にならない利便性も紹介する。

今回は素材アイテムが取り出せたので

武器や防具を作る。

ハーネス系のアーマーと要望される武器とジョブの適正武器ができた。

今日の記念に名入加工もする。

コツコツ鍛錬する事を承諾していただいたお礼である事も添えて

お渡しする。

人は得てして楽しい事、爽快な事を選びがちで、

ゲームの中でまで努力するのはな~というプレイヤーも一定数存在する。

それはそれで否定するものではない、その人の楽しみ方なのだ。

ただ今後のこのゲームの展開を考えると

途中で飽きてしまう楽しみ方でもある。

長く飽きずに楽しんでいただくにはそれなりの素地が必要。

そんな事に納得を見つけていただいてこちらもうれしいとも告げる。


「また機会があればお願いするかも」という言葉とともに

住居エリアに入っていく。


振り返らない背を見てお辞儀をして別れる。

こうして2時間ほどの最初のナビゲートは終了したのだ。


いつのまにか後ろに部下たちが集まっていた。

「こんな寄り添い方ってあるんですね」

「一緒に力押しで良いかなとか単純に考えてました」

「あ~それはご希望次第だね~

 この方は多分、ランカークラスになると思う」

「うっは、そんな事も予想できるもんなんですか?」

「地味なスキル上げを嫌がらなかったこと、

 適正武器にこだわらなかった事

 それにメモを取ってらしたと思う、

 時々動きが止まってたので

 プレイヤースキルを磨く事を知っているんだと思うし

 PCでのサービスが始まったらPCに乗り換えるんじゃないかな

 光通信が安価になったら多分、そちらも乗り換えると思うね

 あとはこのゲームの今後のコンテンツ次第だね~

 そこまでする魅力あるものに育つかどうか、

 それは私にも分からないから」

「やっぱり、廃人の言う事は違うね」

「ちょっと参考にしますね」

「基本はリアルと一緒、注意点としては詮索しすぎない事かな

 そして興味を持ってもらう事」


そんなアドバイスをして自分のシフトを終了する。

事務作業をしつつ、他ブースで溜まっていたクレームを処理しておく。

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